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(論点)相続放棄できる熟慮期間中でも相続放棄ができなくなるケース

2024年09月27日

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の財産や負債を一切相続しないことを選択する手続きです。通常、相続放棄は自分が相続人であることを知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。この3か月の期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続を受けるかどうか慎重に判断するために設けられた期間です。しかし、熟慮期間内であっても、相続放棄ができないケースがいくつか存在します。以下に4つの具体的な事例を挙げ、その理由を解説します。

目次

1. 相続財産の一部を処分してしまった場合

2. 相続財産を消費してしまった場合

3. 相続税の申告をしてしまった場合

4. 相続財産を管理した場合

まとめ


1. 相続財産の一部を処分してしまった場合

 相続放棄ができない代表的なケースの一つは、相続人が被相続人の財産を処分してしまった場合です。たとえば、亡くなった親が所有していた自動車を相続人が売却してしまったとします。この場合、売却行為自体が「相続を承認した」とみなされ、相続放棄の手続きを行うことができなくなります。民法において、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、それは「法定単純承認」とされ、相続を放棄する権利を失うことになります。

具体例

 被相続人が残した不動産を売却してしまい、その後に多額の負債があることが判明した場合、負債を避けるために相続放棄をしようとしても、不動産売却という処分行為が既に行われているため、相続放棄が認められないことになります。

2. 相続財産を消費してしまった場合

 相続財産を使ってしまった場合も、相続放棄ができません。たとえば、亡くなった人の預金口座からお金を引き出して生活費に使ってしまうなどの行為が該当します。このような行為は相続財産を「取得」したとみなされ、やはり相続を承認したものと見なされるため、相続放棄ができなくなります。

具体例

 親の預金口座から引き出したお金を家の修繕や生活費に使った後、親に多額の借金があることがわかった場合、相続放棄をしようとしても、既に預金を消費しているため、相続放棄は不可能です。

3. 相続税の申告をしてしまった場合

 相続税の申告をすることも、相続放棄を妨げる要因となります。相続税は、相続財産を取得した者が納税するものであり、申告を行うこと自体が相続を承認した証拠とされます。相続税の申告を済ませた後に、相続放棄をしようとしても、その申告行為が相続の意思を示したものとみなされ、放棄は認められなくなります。

具体例

 被相続人が多額の財産を持っていたときに、その財産について相続税の申告を行った後に、被相続人が抱えていた負債の存在が発覚した場合、相続放棄を試みても相続税の申告という事実が相続の意思を示したものとされ、放棄は認められません。そもそも、相続税の申告をするということは、自身の相続があったことを知っているわけですし、相続発生から10ケ月以内に申告をすることから、熟慮期間は超過してしまっているケースが多いと考えます。

4. 相続財産を管理した場合

 相続財産を管理した場合も、相続放棄ができなくなるケースがあります。特に、亡くなった人の財産を整理し、負債の清算や財産の分配などの行為を行うことは、相続を承認したとみなされる可能性があります。たとえば、遺産分割協議に参加して他の相続人と話し合いを行うなどの行為も、相続を認めたものとされる場合があります。

具体例

 兄弟で遺産分割協議を行い、不動産の分配について話し合った後で、被相続人が多額の負債を抱えていたことが判明し、相続放棄を希望しても、協議に参加していた時点で相続を承認したとみなされ、放棄は認められません。遺産分割協議に参加して協議内容に合意するということは、たとえ遺産を全くもらわなかったとしても、自身の持つ相続権を処分したとみなされますので、相続放棄はできなくなります。

まとめ

 相続放棄は、相続財産に関する権利と義務をすべて放棄する手続きですが、熟慮期間内であっても、相続財産を処分したり、消費したり、管理したりすると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。相続人は、被相続人が亡くなった後に何らかの財産処分や管理を行う前に、慎重に相続放棄の手続きを検討することが重要です。また、相続に関して不明な点がある場合や、負債の有無が不確かな場合は、早めに専門家に相談することが推奨されます。相続の手続きは複雑であり、誤った判断や行動が後々大きな問題を引き起こす可能性があるため、十分な注意が必要です。

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