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死後事務委任契約

おひとりさまの死後事務と費用

目次

1.死後事務委任契約とは

2.事例から見る死後事務委任

3.相続人がいる場合も死後事務委任契約は必要なのか

4.事後事務委任契約の中に取り決めることができる事項(代表的なもの)

5.死後事務委任契約書の作成について

6.死後事務委任契約を頼めるような人はいない場合

7.死後事務委任契約にかかる費用

8.死後事務委任契約は遺言書とセットで

1.死後事務委任契約とは

 死後事務委任契約とは、自身の死後に発生した葬儀や各行政機関への届出等を信頼できる方にお願いする契約になります。「そんなの遺言に書いておけばいいんじゃないの?」という質問をよく受けますが、遺言は確かに死亡した場合に効力を発生しますが、その内容は財産の承継先を決めるものに限られ、葬儀や各行政機関への手続きといったものは該当しません。そこで、検討されるのが死後事務委任契約になるわけです。

2.事例から見る死後事務委任

 (事例)

 ある夫婦(夫A、妻B)がいました。彼らには子供がいません。ある日、不慮の事故で妻Bが亡くなってしまいました。Bの葬儀や各行政機関への手続きなどを済ませました。妻Bは、遺産について遺言書を残しておいてくれたので、遺産の承継は問題なく行うことができました。

 この時、Aさんは「もし自分が死んでしまったら、家や遺産は遺言で親族に譲るとして、葬儀などをどのようにすればいいのだろうか?」と考えるようになりました。

 ①遺言と死後事務委任契約の違い

  先にも書きましたが、遺言で決めることのできる内容は「財産の承継先」であり、死後発生する葬儀の手配、火葬、埋葬の手配、各種手続きや親族への連絡などについては、取り決めておくことはできません。(遺言で出きることは、民法で厳格に定まっており、それ以外のことはできません。)人が亡くなった場合発生することは財産に関することばかりではありません。遺言には「遺言執行者(遺言の内容を実現する責任者)」が指定されている場合がありますが、遺言に死後事務関連の内容は書くことができない以上、遺言執行者でも、死後事務をすることはできません。

  また、大きな違いとして「遺言」は単独行為(自分一人でできる)ですが、死後事務委任契約は、「契約」ですので、双方契約(自分と相手でする)です。

 ➁死後事務委任契約

  契約は「契約自由の原則」というものがあり、契約の内容については各当事者間で自由に取り決めることができます。ですので死後事務委任契約は、「死後の事務を委任」することが目的の契約になります。

 このように遺言は遺言、死後事務委任契約は死後事務委任契約と完全に分けて考えることが重要になってきます。

3.相続人がいる場合も死後事務委任契約は必要なのか

 例えば、病院で亡くなった場合、医師から死亡診断書と併せて死亡届に付き添いの家族にサインを求められる場合があります。法律上、死亡届は死亡の事実を知ったときから7日以内に届け出なければなりませんが、実際は葬儀や火葬の関係から1,2日で届出をする必要があります。死亡届は「親族」のサインが必要です。

 それでは、身寄りがなかった場合や親族が疎遠になった方の場合はどうなるのでしょうか。死亡届を提出しないと役所から火葬の許可が下りないといったことが発生してしまいます。火葬はできないので、ご遺体が放置されてしまうような状態になってしまいます。

 しかし、死後事務委任契約を信頼できる方と締結しておけば、その方のサインで死亡届を提出でき葬儀・火葬・埋葬の手続きをすることができます。

 親しい親族がいる場合には、必ずしも死後事務委任契約は必要ありません。

4.事後事務委任契約の中に取り決めることができる事項(代表的なもの)

 ①医療費の支払いに関する事務

 ➁家賃・地代・官営費等の支払いと敷金・補償金等の支払いに関する事務

 ③老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務

 ④通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務

 ➄菩提寺の選定、墓石建立に関する事務

 ⑥永代供養に関する事項(樹木層なども含む)

 ⑦相続財産管理人の選任申し立て手続きに関する事務(相続人がいない場合)

 ⑧賃貸建物明渡に関する事務(遺品整理と住居引き渡しまでの管理)

 ⑨行政官庁等への諸届け事務

 ⑩公共料金などの支払い、解約事務

 ⑪関係者への死亡の通知事務

 ⑫SNS・メールアカウントの削除事務

 などがあります。

※何をどこまでするのかにより事務費用が異なってきますので、面談時にご相談ください。

5.死後事務委任契約書の作成について

 死後事務委任契約書は、死後事務を任された方が事務をする際に、正当に委任を頼まれたものであることを証明するために必要な書類となります。ですので、原則「公正証書で作成」することが推奨されているようです。しかし、亡くなるまで比較的年数がある方にとって、心情の変化があるかもしれませんので「契約書のあの部分を変えてほしい」というご要望が出てくるかもしれません。その場合、公正証書だと柔軟性がありませんので難しいという話になってきます。

 どちらも一長一短がありますので何とも言えないのですが、私は死後事務を滞りなく進めてもらうのならば、公正証書で作成するのがいいと考えています。

6.死後事務委任契約を頼めるような人はいない場合

 死後事務委任契約を頼める人がいない場合、司法書士などの専門家への依頼を検討することをお勧めします。まずは、司法書士に相談していただき死後事務委任契約を締結するようにしましょう。

7.死後事務委任契約にかかる費用

 実費に加え以下の費用が掛かります。(税別表示)

などです。相談時に詳細について取り決めていきます。

大体、80万円ほどを契約締結時に預託していただく必要がございます。もちろん預託金は、事務所の口座とは異なる口座で管理いたします。

遺言で精算の指定をしていても、遺言執行者が選任され、実際に遺言が執行されるのはなくなられてから随分後になってしまい、遺体引き取りや葬儀納骨などの手続きが追い付かない場合があるからです。

 死後事務委任契約作成については、150,000円~(税抜)。そして、公正証書とする場合には公証役場への費用11,000円が必要です。同行する場合には、30,000円(税抜)にて対応いたします。

8.死後事務委任契約は遺言書とセットで

 遺言書は財産の分配について、死後事務委任契約はそれ以外の死後の事務を目的としていますので、セットで作成しておくことにより、死後の事務手続きと相続で発生した遺産の分配を専門家に任せることができます。遺言による遺産承継事務は別途費用が発生してしまいますが、亡くなった後の「想い」をスムーズに実現することができます。特に相続人がいらっしゃらない方の場合、何もしないで、あなたの遺産は国庫に帰属はしません。相続人不存在の場合相続財産管理人選任の手続きを経て長期にわたる調査後、初めて国庫に帰属します。当然相続財産管理人を選任する場合も、裁判所に納める予納金が発生します。財産を寄付などすることを決めている場合には、遺言書で形に残しておかないとあなたの「想い」は実現されません。ぜひご検討してみてください。

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