36:突然亡くなった結婚前の夫のNISA口座の調査
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
遺言には、法律上定められた形式に合致していない場合には無効になったりします。これから、具体例を挙げて解説していきますので、遺言書作成の前に「どのような場合に無効になるのか」を知っておいてください。
1.日付が正しく書かれていない場合
2.氏名が手書きで書かれていない
3.印を押印していない自筆証書遺言
4.加筆や修正がルールに従っていない遺言書
5.財産目録以外のすべてを自書していない遺言書
6.財産や相続人の指定が不明瞭な遺言書
7.実在しない財産が記載されている遺言書
8.遺留分を侵害している遺言書
9.公序良俗に反する遺言書
10.本人の正常な意思に基づいて書かれたか疑わしい遺言書
11.最後に
・正しい例 「令和5年1月17日」としっかり自書することが必要です。
・無効となる例 「令和5年1月吉日」、スタンプ印による日付(自筆が要件です)
手書きによる署名がない自筆証書遺言書は無効となりますので、ワープロ打ち、スタンプ印などは無効原因となります。
※遺言書を共同で作成することはできないので、必ず一人の遺言者名だけを書かなければなりません。
捺印も必須条件で、印を押していない自筆証書遺言書は無効となります。
実印か認印でもいいか?との質問を受けることがありますが、法律上の要件で実印は要求されていないものの、偽造等を防ぐためにも極力、実印を利用することをお勧めいたします。
加筆や修正の方法には、厳格な規定があるため従っていない場合、「その部分が無効になります」。
加筆や修正が無効になった場合には、加筆・修正前の内容に戻ってしまうため、遺言者の意図しない遺言書になってしまう可能性があります。
【修正の方法】
修正箇所には「二重線を引く」「近くに押印する」「横に正しい文字や数字を追記」をしてください。押印の際には、消した文字や追記した正しい文字などが見えるように印を押すことに注意してください。
見えない箇所があれば、記載がないものとみなされる可能性があります。
【加筆の方法】
挿入の記号で場所を示したうえで、文字や数字を追記し、その近くに押印を行います。押印の際は、元の文字や数字、追記した文字や数字が印で隠れてしまわないように注意してください。
【修正・加筆後の記載事項】
遺言書の行頭や末尾の余白部分に、「〇字削除〇字加入」「〇字加入」などと自書しさらに署名する必要があります。
(加筆修正による無効を避けるためのヒント)
(1)もう一度すべて書き直す
私も3回書き直しました・・・・。
(2)財産目録を作成する
「別紙目録記載の不動産」等の記載でよくなり負担が少なくなります。
パソコン利用や代筆によって作成でき、不動産登記簿や通帳のコピーなどの既存資料でも代用できるため。
2019年の民法改正で、財産目録を作成する際にパソコン利用や代筆、既存資料の利用が認められました。しかし、遺言書本体を自書することについては従来と変更はありません。
CD・DVD・メモリーなどの電気記録媒体に「録音」や「録画」した遺言も無効となります。
財産の指定、相続人の指定などにあいまいな部分がある場合、その部分は無効であり、相続人に混乱やトラブルを引き起こす恐れもあります。
土地が分筆や合筆されているケースや、建物を増築後に登記していない場合などは、不動産を特定することができなくなる可能性があります。そこで・・・
(財産の指定)
不動産に関しては「不動産登記簿」、預貯金の場合には「通帳のコピー」などを資料として利用する方法が確実かと思われます。
(相続人の指定)
続柄や氏名、生年月日、住所を組み合わせて正確に特定できるように記載することが重要です。
すでに生前贈与や売却した財産などがあっても勘違いや覚え違いなどで、遺言書に記載してしまうケースがあります。遺言書に記載したものの、相続財産と一致するものが実在しない場合、記載は当然無効となりますが、「相続人間の混乱の原因となる」可能性があるので注意が必要です。
相続人には、被相続人が死亡した後の生活保障を図るため、最低限の取り分が保証される「遺留分」呼ばれる権利があります。相続人の遺留分を侵害する遺言は、相続人からの請求によって覆され該当部分が無効となる場合があります。
代表例として、「愛人への遺贈」が知られています。不倫関係の維持継続のためなど、公序良俗に反する遺言は無効になります。
遺言書としては要件を満たして有効なものでも、相続人からの「遺言無効確認の訴え」によって無効になるケースもあります。
事例として、認知能力が低下した者に対し、特定の人物が自身に有利になるような遺言書を書かせるといったことが発生する危険性もあります。
そこで、・・・・
このような危険性を含む場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作成することをお勧めしています。公正証書遺言の場合、公証人によって選別がされていることから、遺言能力に問題ないと判断される傾向が強くなります。
自筆証書遺言は、自分一人で完結できる反面、遺言書としての要件を満たしていなかったり、ミスが発生しやすいなどのデメリットがあります。
このようなミスが発生させない方法として大事なことは、作成前に法的な効力が発生するための書き方を把握することも重要ですが、有効な要件を満たしているかどうかを確認したら時間をおいて無効になるケースに該当しないかどうかを改めて確認してみてください。
それでも不安という方は、専門家に相談することをお勧めいたします。アイリスでも、自筆証書遺言の法務局保管手続きまでサポートいたします。場合により、公正証書遺言作成への手続き変更アドバイスも実施いたしております。
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
相談者の方から相続登記のご依頼があり、被相続人の不動産を特定するために「固定資産材評価証明書」の取得をお願いいたしました。被相続人は、生前離婚歴があり、離婚の際、財産分与を受けていました。しかし、ずいぶん前に亡くなっており、登記簿上の名義人の住所と、被相続人の最後の住所地が同じでしたので、住民票の除票の写しもしくは戸籍の附票の取得をお願いいたしました。
生前贈与のために相談に来られた方で、登記簿を確認すると「平成の大合併」で、地番の変更はありませんが、平成18年に○〇郡から○〇市に編入されていましたが、登記簿を確認すると平成18年以前に、相続登記がされていて、そのために旧住所で登記がされている状態でした。
先日の相談で、遺言書に「特別受益の持ち戻し免除」の条項を入れると、遺留分対策になるのかという質問を受けました。