36:突然亡くなった結婚前の夫のNISA口座の調査
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
目次
1.決済用口座とは
2.信託口口座とは
3.決済用口座と信託口口座の強制執行リスク
4.決済用口座と信託口口座の金融機関破綻の場合のリスク(ペイオフ対策)
5.まとめ
1.決済用口座とは
決済用口座は、相続人間で遺産の分割や相殺を行うために用意された口座であり、一般的には普通預金口座などが利用されます。相続人間での遺産分割が合意された場合、決済用口座から各相続人の口座に対して遺産分割の金額が振り込まれます。
2.信託口口座とは
信託口座は、遺産を遺贈された人が、死後もその遺産を運用するために用意される口座です。遺贈人は、信託口座に資産を移管することで、自分が死後にも遺産を守り続けることができます。また、信託によって、相続人間のトラブルを防ぐことができる場合があります。
3.決済用口座と信託口口座の強制執行リスク
決済用口座は、相続人間の遺産分割に必要な口座であり、一時的な運用に利用されます。一方、信託口座は、遺産を遺贈された人が、遺産を守り続けるために利用される口座であり、長期的な運用に利用されます。
それでは、第三者の債権者等から強制執行のリスクはどうなっているのでしょうか。
まず、決済用口座は、相続人間の遺産分割に必要な口座であり、一時的な運用に利用されます。このため、差し押さえや仮差し押さえなどの強制執行が行われる可能性があります。例えば、相続人間での債務が存在する場合には、債権者によって決済用口座が差し押さえられることがあります。
一方、信託口座は、遺産を遺贈された人が、遺産を守り続けるために利用される口座であり、長期的な運用に利用されます。このため、信託口座には信託財産の特別の保護が与えられており、差し押さえや仮差し押さえなどの強制執行が困難である場合があります。ただし、信託財産の保護には一定の条件があり、信託契約書によって異なるため、注意が必要です。
つまり、決済用口座は、一時的な運用に利用されるため、強制執行のリスクがある場合があります。一方、信託口座は、長期的な運用に利用されるため、信託財産の保護が与えられる場合がありますが、信託契約書によって条件が異なるため、注意が必要です。遺産承継業務においては、適切な手続きを行い、リスクを把握して対処することが重要です。
4.決済用口座と信託口口座の金融機関破綻の場合のリスク(ペイオフ対策)
ペイオフとは、預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した場合の、預金者保護の方法のひとつである「預金者への保険金の直接支払い(ペイオフ方式)」のことを言います。取扱金融機関が破綻し、かつペイオフ方式が適用された場合は、一定額まで払い戻しをする仕組みのことを言います。
平成17年4月以降、実際に金融移管が破綻した場合、1金融機関1預金者あたりの元本1,000万円までと、その利息等が保護の対象となります。保護の基準を超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われます。
信託口口座も通常の預金形式である場合には、受託者(委託者の預金を管理運用する人)と紐付けされている場合ですと、受託者の預金の残高+信託口口座の残高の合計が、1000万円+その利息を超えている部分については、金融機関が破綻した場合、保護の対象とはなりません。(金融機関によっては受益者に紐づけされているケースもありますので、ご契約先の金融機関にご確認ください。)
一方で、決済用口座について、「3条件(1.決済サービスを提供できること、2.預金者がいつでも払戻しを請求できること、3.利息がゼロであること)を満たす「決済用預金」は、引続き全額保護」となります。
5.まとめ
遺産承継業務でよく利用する決済用口座ですが、単体では差押え等の強制執行のリスクがありますが、信託口口座とすることで強制執行のリスクを避けることができます。
しかし、信託口口座を普通口座と同じ利息付きの口座で作成してしまいますと、ペイオフのリスクが発生します。特に、受託者には善管注意義務や損失てん補義務があります。
信託口口座を作成する際に、「無利息の決済用口座で作りたい」と言えば作ってもらえると思います。
預貯金が1000万円を超える場合は、受託者の管理する信託口口座は無利息型の決済用口座にしておいた方が良いでしょう。
※信託口口座開設には、所定の手数料が必要になります。おおむね5万円から10万円ほどです。また、月額で管理費用が発生する金融機関もございますので、利用する先の金融機関にご確認ください。
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
相談者の方から相続登記のご依頼があり、被相続人の不動産を特定するために「固定資産材評価証明書」の取得をお願いいたしました。被相続人は、生前離婚歴があり、離婚の際、財産分与を受けていました。しかし、ずいぶん前に亡くなっており、登記簿上の名義人の住所と、被相続人の最後の住所地が同じでしたので、住民票の除票の写しもしくは戸籍の附票の取得をお願いいたしました。
生前贈与のために相談に来られた方で、登記簿を確認すると「平成の大合併」で、地番の変更はありませんが、平成18年に○〇郡から○〇市に編入されていましたが、登記簿を確認すると平成18年以前に、相続登記がされていて、そのために旧住所で登記がされている状態でした。
先日の相談で、遺言書に「特別受益の持ち戻し免除」の条項を入れると、遺留分対策になるのかという質問を受けました。