36:突然亡くなった結婚前の夫のNISA口座の調査
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
先日、相談者様からのご質問で「配偶者居住権」に関するものがありましたので、自筆証書遺言に記載する場合の注意点について話をしていきたいと思います。
1.配偶者居住権とは?
2.配偶者居住権の発生事由
3.配偶者居住権の存続期間
4.配偶者居住権の終了事由
5.配偶者居住権の対抗力
6.配偶者居住権の遺言書への記載事例
7.まとめ
「民法第1028条
1.被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2.居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3.第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。」
とあります。
被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた配偶者について
①配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割
➁配偶者居住権を取得させる旨の遺贈
③被相続人との間の死因贈与契約
のいずれかがあること。(民法第1028条第1項上記条文参照)
ここで注意していただきたいのは、「相続させる」ではなく「遺贈する」としなければならない点です。
配偶者居住権の発生事由に「相続」がないからです。
原則:配偶者の終身の間(民法第10030条本文)
例外:遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。(民法第1030条但し書き)
①存続期間が満了したとき(民法第1030条)
➁配偶者の義務違反の場合の消滅請求(民法第1032条第4項)
③配偶者が死亡したとき(民法第1036条、597条第3項 使用貸借の期間満了の条文を準用している)
配偶者が死亡した場合、定めた存続期間内であっても終了します。
④居住建物の全部消失(民法第1036条、616条の2 賃貸借の条文を準用)
登記をすることによって対抗することができる。(民法第1031条第2項、605条 不動産賃貸借の条文を準用)
「 遺言書
第1条
遺言者は、その所有する次の不動産(以下「本件建物」という。)について、無償で使用収益をすることができる権利である配偶者居住権を、妻の田中花子(昭和〇年〇月〇日生)に遺贈する。
不動産の表示
※この部分は、物件目録に登記簿を添付すれば「別紙〇の不動産」という表記で記載を省略することができます。添付しない場合は、下記の通り記載事項に漏れがないように注意してください。
所 在 ○○市○○区○○町1番地1
家屋番号 1番1
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺平家建
床 面 積 100㎡
第2条
遺言者は、本件建物を配偶者居住権付きとして長男の田中太郎に相続させる。
第3条
遺言者は、本遺言の遺言執行者として、妻田中花子を指定する。
遺言執行者は、配偶者居住権の設定の登記手続等、本遺言の執行に必要な一切の権限を有する。」
このような記載により、建物の所有権については長男に、そして配偶者居住権は奥様に設定することができるようになります。
登記は、所有権移転 原因「相続」で長男へ名義変更。そして、その建物に配偶者居住権設定により奥様が当該建物に無償で済める権利を設定します。
追記)遺言書に登記簿を財産目録として添付しない場合に、当該不動産を特定するために必要な項目があります。上記遺言書の記載例でも示していますが、
建物の場合、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」
土地の場合、「所在」「地番」「地目」「地積」
の記載が必要です。
このように遺言書に記載する「配偶者居住権」については、記載の方法が決まっています。特に、不動産を特定する際に記載すべき内容を間違えてしまうと、土の不動産に配偶者居住権を遺贈するのかがわからなくなってしまいます。
アイリスでは、遺言書のサポートとして、メモ書きの原案から、遺言書の作成をサポートしております。詳しくは、アイリスまでお問い合わせください。
先日、ご相談で、結婚間近の男性が、婚約者にデジタル資産をあげたいと言っていたので、亡くなった男性のご両親から、その調査方法についての問い合わせがありました。
相談者の方から相続登記のご依頼があり、被相続人の不動産を特定するために「固定資産材評価証明書」の取得をお願いいたしました。被相続人は、生前離婚歴があり、離婚の際、財産分与を受けていました。しかし、ずいぶん前に亡くなっており、登記簿上の名義人の住所と、被相続人の最後の住所地が同じでしたので、住民票の除票の写しもしくは戸籍の附票の取得をお願いいたしました。
生前贈与のために相談に来られた方で、登記簿を確認すると「平成の大合併」で、地番の変更はありませんが、平成18年に○〇郡から○〇市に編入されていましたが、登記簿を確認すると平成18年以前に、相続登記がされていて、そのために旧住所で登記がされている状態でした。
先日の相談で、遺言書に「特別受益の持ち戻し免除」の条項を入れると、遺留分対策になるのかという質問を受けました。