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遺産調査で未登記不動産があった場合 

遺産を調査している時、固定資産税納税通知書の一覧に「未登記」と記載された建物があった場合、ご存じない方は驚かれると思います。この場合の対処方法と、相続登記義務化に伴い、取り扱いに変更が発生しているものがありますので解説いたします。

目次

1.未登記不動産の課税

2.未登記不動産の調べ方

3.未登記不動産の遺産分割協議書への記載方法

4.届出先と期間、取り扱いについて

5.まとめ


1.未登記不動産の課税

 未登記不動産も固定資産税は課税されています。役所から毎年送られてくる固定資産税の納税通知書には、「未登記」の記載がありますが、一覧に記載されています。実務で、実際に相続のときに遺産を調査して、その時初めて「建物が登記されてない」ことに気づく場合がほとんどです。

 役所は、担当の方が足をつかって新しい家屋が建っていないか町中を確認して回っているのはもちろんですが、噂によれば、毎年航空写真を撮って、課税台帳や地図の記載と照らし合わせて調査してる自治体もあるとのことです。

 登記をしていなくても、課税はされるのです。

2.未登記不動産の調べ方

 毎年6月ぐらいに役所から送られてくる固定資産税の納税通知書を見てみてください。建物の中に「未登記家屋」との表記がある物件があれば、法務局への登記がされていない建物になります。あとは「家屋番号が空欄」になっている場合もあるそうです。

 一番困難なのが同じような建物(物置小屋)などが複数あり、どれが未登記なのかが判断できない場合がありますので、お近くの司法書士にご相談していただければ、特定して相続登記(名義変更)等の手続きをしていただけると思います。

 他の調べ方としては、役場で「固定資産 土地・家屋名寄帳」又は「固定資産税評価証明書」でも確認することができます。

3.未登記不動産の遺産分割協議書への記載方法

 相続が発生した場合、未登記不動産も相続財産になりますので、遺産分割協議書に記載しその帰属先を明記する必要があります。

 登記されている建物なら、登記簿に載っている「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」をそのまま書けばよいですが、登記されていない建物の場合はどうでしょう?

 この場合は仕方がないので、納税通知書に載っている情報をそのまま省略せずに遺産分割協議書に記載することになります。

 (記載例)

「不動産の表示

所在  ○○市○○町○○番地

構造 階層 屋根  木造 平家建 亜鉛鋼板葺

建築年次  昭和○○年

床面積  ○○.○○㎡

(未登記のため、○○市長発行の令和4年固定資産納税通知書の記載による。)

※若しくは、(未登記)と記載していても大丈夫です。」

4.届出先と期間、取り扱いについて

 この未登記不動産の所有者が変更となった場合(相続により所有者が変更になった場合を含みます)の届出先は、高松市役所では「資産税課」が担当窓口になっています。

 また、届け出期間は高松市HP上では、この届出は義務化されており、

(1)固定資産(土地・家屋)の登記簿上の所有者が死亡した場合、現所有者であることを知った日から3か月以内に現所有者申告を提出しなければなりません

(2)現所有者の申告を正当な理由がなくて申告しなかった場合は、10万円以下の過料に処せられます。

と、罰則付きのものになっています。

 しかし、3か月以内に遺産分割をして帰属先を決めるのは困難ですので、その場合には、相続人全員の同意書の添付で受け付けていただけます。

(未登記建物の申告の添付書類)

 ①遺産分割協議前

  亡くなられた方の除籍謄本

  相続人の戸籍謄本

  全員の同意書及び印鑑証明書

 ➁遺産分割協議後

  亡くなられた方の除籍謄本

  遺産分割協議書

  帰属先の相続人の戸籍謄本及び印鑑証明書

 ※高松市役所では、コピー可となっていますが、自治体によっては原本を要求され、自治体でコピーする場合もございます。また、添付書類も異なる場合がありますので、あらかじめ担当窓口にご確認ください

 未登記不動産を取り壊す場合、役所への届出をしないでいると、いつまでも固定資産税を支払い続けることになりますので、窓口に行き「未登記建物を取り壊したので届出がしたいのですが」と言っていただければ、対応してくれます。

5.まとめ

 未登記不動産の役所への届出は、義務化されています。正当な理由なしに3か月間届出を怠ると10万円以下の過料に課せられます。

 相続放棄をする相続人がいるなどして、3か月以内に遺産分割協議ができない場合には、予め窓口に相談をしておいた方がいいと思われます。

 アイリスでは、未登記不動産の届出の書類作成と届出の代行をいたしております。

1件8,000円(税抜)となっておりますので、受任いたしました相続登記の遺産調査時に未登記不動産がある場合には、こちらからご連絡いたしますので、代行のお申し付けください。

解決事例

相談者の方から相続登記のご依頼があり、被相続人の不動産を特定するために「固定資産材評価証明書」の取得をお願いいたしました。被相続人は、生前離婚歴があり、離婚の際、財産分与を受けていました。しかし、ずいぶん前に亡くなっており、登記簿上の名義人の住所と、被相続人の最後の住所地が同じでしたので、住民票の除票の写しもしくは戸籍の附票の取得をお願いいたしました。

生前贈与のために相談に来られた方で、登記簿を確認すると「平成の大合併」で、地番の変更はありませんが、平成18年に○〇郡から○〇市に編入されていましたが、登記簿を確認すると平成18年以前に、相続登記がされていて、そのために旧住所で登記がされている状態でした。