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デジタル遺産・遺品の相続について

近年、利用者が増加しているデジタル資産・遺品について、相続の観点から解説いたします。

目次

1.デジタル遺産・遺品とは

2.デジタル遺産に相続税はかかるのか

3.デジタル遺産が問題になる場合

4.問題点回避策として

5.ポイント


1.デジタル遺産とは

 ①金融口座

  ㋐ネットバンク・非通帳口座

  ㋑仮想通貨

  ㋒FX取引のアカウント

 ➁ポイント

  ㋐各種サービスポイント

  ㋑マイレージ

 ③有料会員サービス

  ㋐オンラインサロン

  ㋑動画サブスク

  ㋒音楽サブスク

 ④その他

  ㋐電子マネー

  ㋑通販サイトのアカウント等

 などが挙げられます。

※デジタル遺品とは、生前の写真データやデジタル文書等を指します。

2.デジタル遺産に相続税はかかるのか

 デジタル遺産・遺品も財産的価値がある者であれば、当然相続財産となります。

 ですので、相続税の課税の対象となります。勝手に処分しないように注意しましょう。

3.デジタル遺産が問題になる場合

 デジタル遺産・遺品は、専らデジタル機器で利用や保存がなされ、実体がなく目に見えないものであるため、以下のような問題があります。

(1) 相続人がその存在に気付かない

 デジタル遺産・遺品は、不動産や現金など目に見えるものではないため、デジタル遺産・遺品の持ち主以外の者には、その財産の存在を知られないということがあります。

 そのため、取引所を介さないで保有している暗号資産(仮想通貨)について相続人がその存在に気付かないまま忘れ去られてしまったり、故人がインターネットでFX取引を行っていると知らない間に大きな損失が生じたり、自動更新の定期課金サービス(通称「サブスク」)を解約せず利用料金を延々と払い続けたりすることがあります。

(2) 電子機器にアクセスできない

 パソコンやスマートフォンなどの電子機器には、パスワードが設定されていることが多く、家族にもロック解除のパスワードを教えていないことが多いと思われます。

 デジタル遺産・遺品の持ち主が亡くなると、ロック解除のパスワードを知らない遺族は、故人のパソコンやスマートフォンにアクセスできず、電子機器内に残されたデータやクラウド上のデータなどを確認することができず、デジタル遺産・遺品の調査が進まなくなってしまいます。

4.問題点回避策として

 デジタル遺産・遺品の問題点を回避するためには、次のような対策が考えられます。

(1) 生前のうちにデジタル遺産・遺品を整理しておく。

 具体的には、解約できるものは解約しておく、相続手続にあたって最低限必要な情報は遺族や信頼できる人に知らせておくこと等が考えられます。

(2)遺言やエンディングノートを作成し、デジタル遺産・遺品に関する情報を記載しておく。 

 エンディングノートは、法的な拘束力はありませんが、決まった形式がなく、自由に記すことができることがメリットですので、手軽に活用することができます。特に、ID、パスワードなど、デジタル遺産・遺品の整理(サービスの解約等)に必要な情報を記載しておくとよいでしょう。

(3)おひとり様の場合、お元気なうちに「死後事務委任契約」で、死亡後のデジタル資産等のサービス解約等の事務作業を委任し、残った財産の帰属先を「遺言書」でしてしておくことをお勧めいたします。死後事務委任契約内でID・パスワードなどの情報を記載しておき、亡くなったのちに受任者に作業をしていただき、遺言執行者に集めた財産のうち葬儀費用を除いたものを承継先に移転するように指定しておけば、財産が宙に浮いてしまうことはないでしょう。

5.ポイント

 亡くなった後に、携帯電話(スマホ)の契約をすぐに解約するのは待ってください。アカウントの抹消や、解約手続きなどに必要な情報が残されている可能性が高いからです。

 遺言書やエンディングノートから情報を確認できましたら、まずは携帯電話(スマホ)から、各種手続きができるかを確認してください。先に解約して通信ができない状態になりますと、解約手続き等ができなくなってしまう可能性があるためです。 

解決事例

相談者の方から相続登記のご依頼があり、被相続人の不動産を特定するために「固定資産材評価証明書」の取得をお願いいたしました。被相続人は、生前離婚歴があり、離婚の際、財産分与を受けていました。しかし、ずいぶん前に亡くなっており、登記簿上の名義人の住所と、被相続人の最後の住所地が同じでしたので、住民票の除票の写しもしくは戸籍の附票の取得をお願いいたしました。

生前贈与のために相談に来られた方で、登記簿を確認すると「平成の大合併」で、地番の変更はありませんが、平成18年に○〇郡から○〇市に編入されていましたが、登記簿を確認すると平成18年以前に、相続登記がされていて、そのために旧住所で登記がされている状態でした。