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(論点)根抵当権について今一度見直してみる

根抵当権とは、不動産を担保にして設定されるもので、特定の債権ではなく、一定範囲内で複数の不特定債権を担保します。元本確定前は、借入れや返済が自由に行えますが、元本確定事由が発生すると、債権が固定され、新たな借入れは担保されなくなります。元本確定事由には、相続や破産、競売などがありますが、法人の破産は登記されないこともあります。
目次
1.根抵当権についての概説
2.元本確定とは何か
3.元本確定登記
4.債務者の破産と元本確定
5.共用根抵当権と破産
6.まとめ
1.根抵当権についての概説

根抵当権とは、不動産などの資産に対して設定される担保権の一種であり、一定範囲内の不特定の債権を担保することを目的としています。通常の抵当権が特定の債権に対して設定されるのに対して、根抵当権ではその債権が不特定であり、定められた「極度額(上限金額)」と「債権の範囲」内であれば、何度でも借入や返済が可能です。これにより、ビジネスや取引の継続的な資金需要に柔軟に対応できる点が根抵当権の大きな特徴です。
2.元本確定とは何か

根抵当権において、担保される債権は通常、流動的であるため、どの時点でどれだけの返済義務が残っているかが確定していません。この流動的な性質が「元本未確定」と呼ばれる状態で、根抵当権の大きな特徴の一つです。しかし、「元本確定事由」が発生すると、その時点での債務が確定され、それ以降は新たな債権を担保することができなくなります。具体的には、以下のような状況が元本確定事由となります。
①元本の確定期日が到来
根抵当権の契約で定められた期日が来た場合、元本が確定します。
➁相続が発生
根抵当権者や債務者が死亡し、相続が発生した際、相続開始後6ヶ月以内に根抵当権者や債務者間での合意がなされない場合、元本が確定します。
③合併が発生
根抵当権者または債務者が合併した際に、根抵当権設定者が確定請求を行うと元本が確定します。
④競売の申立てや差押え
根抵当権者が担保不動産について競売を申し立てた場合、または滞納処分による差押えが行われた場合、元本が確定します。
元本が確定すると、新たな貸付金はその根抵当権で担保されなくなり、流動性が失われ、元本確定時点での債権が確定します。これにより、根抵当権が普通の抵当権のように機能し、以後、新たな貸付には対応できなくなります。
3.元本確定登記
元本確定事由が発生した場合、原則として「元本確定登記」を行います。これにより、元本が確定したことが公示され、債権の流動性が失われたことが記録されます。しかし、いくつかの事例では、元本確定登記をしなくても「登記簿上で確認できる」状況が存在します。たとえば、次のようなケースです。
破産手続き開始決定
個人の根抵当権設定者が破産手続きを開始した場合、その事実は登記簿に記録され、これを見れば破産していることが分かるため、元本確定登記を行わずとも元本が確定したとみなされます。
ただし、法人が設定者である場合、破産の登記は個別の不動産登記簿には記載されず、法人の商業登記簿で確認することになります。これにより、法人が設定者の場合には重複した登記を避けるため、不動産の登記簿には破産の記録がなされないのです。
4.債務者の破産と元本確定

債務者が破産手続開始決定を受けた場合、元本は確定します。ただし、ここで注意すべき点があります。それは、破産手続きの決定があっても、その後に効力が失われた場合、元本確定の効力も消滅する点です。具体的には、破産手続開始決定後、その手続きが中止されたり、無効になった場合には、元本確定も同時に解除されることがあります(民法398条の20第2項)。これにより、再び流動的な担保の状態が復活することもありえます。
5.共用根抵当権と破産
根抵当権が設定されている場合、債務者が複数いるケースも存在します。このような場合を「共用根抵当権」と呼びます。共用根抵当権の下で、債務者の一人が破産手続きを開始しても、全体の根抵当権が自動的に元本確定となるわけではありません。他の債務者が引き続き債務を履行することが可能であれば、根抵当権全体の元本確定は行われない場合があります。この点において、共用根抵当権は通常の根抵当権よりも複雑な仕組みを持っており、個別の状況に応じて慎重な対応が求められます。
6.まとめ
根抵当権は、不動産を担保として柔軟な資金調達を可能にする重要な制度です。しかし、元本の確定や債務者の破産、相続といった状況に応じてその性質が大きく変化するため、正確な理解と適切な手続きを行うことが求められます。特に、複数の債務者が関与する共用根抵当権においては、個別の事例ごとの判断が必要です。

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