香川県の相続手続きで、見落としがちな"落とし穴"に気づいていますか?登記・相続税・遺産分割で後悔しないために、香川県 高松市の司法書士・税理士による無料相談会(毎月第3水曜開催)でプロに相談しましょう。90分対応・完全予約制。
デジタル遺産の相続

近年、利用者が増加しているデジタル遺産について、相続の観点から解説したいと思います。いざ、相続が発生しても、パスワードがわからないなどにより、デジタル遺産はあるのに現金化できないといったことがないように、注意点などについてもお話をしていきます。
目次
1.デジタル遺産・遺品とは
2.デジタル遺産に相続税はかかるのか
3.デジタル遺産が問題になる場合
4.問題点回避策として
5.ポイント
1.デジタル遺産とは
①金融口座
㋐ネットバンク・非通帳口座
㋑仮想通貨
㋒FX取引のアカウント
➁ポイント
㋐各種サービスポイント
㋑マイレージ
③有料会員サービス
㋐オンラインサロン
㋑動画サブスク
㋒音楽サブスク
④その他
㋐電子マネー
㋑通販サイトのアカウント等
などが挙げられます。
※デジタル遺品とは、生前の写真データやデジタル文書等を指します。

2.デジタル遺産に相続税はかかるのか
デジタル遺産・遺品も財産的価値がある者であれば、当然相続財産となります。
ですので、相続税の課税の対象となります。勝手に処分しないように注意しましょう。
3.デジタル遺産が問題になる場合
デジタル遺産・遺品は、専らデジタル機器で利用や保存がなされ、実体がなく目に見えないものであるため、以下のような問題があります。
(1) 相続人がその存在に気付かない
デジタル遺産・遺品は、不動産や現金など目に見えるものではないため、デジタル遺産・遺品の持ち主以外の者には、その財産の存在を知られないということがあります。
そのため、取引所を介さないで保有している暗号資産(仮想通貨)について相続人がその存在に気付かないまま忘れ去られてしまったり、故人がインターネットでFX取引を行っていると知らない間に大きな損失が生じたり、自動更新の定期課金サービス(通称「サブスク」)を解約せず利用料金を延々と払い続けたりすることがあります。
(2) 電子機器にアクセスできない
パソコンやスマートフォンなどの電子機器には、パスワードが設定されていることが多く、家族にもロック解除のパスワードを教えていないことが多いと思われます。
デジタル遺産・遺品の持ち主が亡くなると、ロック解除のパスワードを知らない遺族は、故人のパソコンやスマートフォンにアクセスできず、電子機器内に残されたデータやクラウド上のデータなどを確認することができず、デジタル遺産・遺品の調査が進まなくなってしまいます。
4.問題点回避策として
デジタル遺産・遺品の問題点を回避するためには、次のような対策が考えられます。
(1) 生前のうちにデジタル遺産・遺品を整理しておく。
具体的には、解約できるものは解約しておく、相続手続にあたって最低限必要な情報は遺族や信頼できる人に知らせておくこと等が考えられます。
(2)遺言やエンディングノートを作成し、デジタル遺産・遺品に関する情報を記載しておく。
エンディングノートは、法的な拘束力はありませんが、決まった形式がなく、自由に記すことができることがメリットですので、手軽に活用することができます。特に、ID、パスワードなど、デジタル遺産・遺品の整理(サービスの解約等)に必要な情報を記載しておくとよいでしょう。
(3)おひとり様の場合、お元気なうちに「死後事務委任契約」で、死亡後のデジタル資産等のサービス解約等の事務作業を委任し、残った財産の帰属先を「遺言書」でしてしておくことをお勧めいたします。死後事務委任契約内でID・パスワードなどの情報を記載しておき、亡くなったのちに受任者に作業をしていただき、遺言執行者に集めた財産のうち葬儀費用を除いたものを承継先に移転するように指定しておけば、財産が宙に浮いてしまうことはないでしょう。
5.ポイント
亡くなった後に、携帯電話(スマホ)の契約をすぐに解約するのは待ってください。アカウントの抹消や、解約手続きなどに必要な情報が残されている可能性が高いからです。
遺言書やエンディングノートから情報を確認できましたら、まずは携帯電話(スマホ)から、各種手続きができるかを確認してください。先に解約して通信ができない状態になりますと、解約換金手続き等ができなくなってしまう可能性があるためです。

最新のブログ記事
【第4回】相続放棄が認められないケースとは?3か月過ぎたら本当にもう遅い?
相続放棄を考えている方にとって最も気になるのが「いつまでに手続きをすればいいのか」「自分のケースでも放棄が可能なのか」という点ではないでしょうか。
特に、「相続開始から3か月」という期間制限に関しては多くの誤解があり、「過ぎてしまったら絶対に相続放棄できない」と思い込んでしまう方も少なくありません。
【香川県全域と徳島市、鳴門市の生前対策】もし認知症になったら…遺言書が書けなくなるリスクとは
遺言書は「書こうと思ったときに書ける」ものではありません。認知症の発症後では無効になる可能性があること、ご存じでしょうか?この記事では、遺言能力の意味と、判断力のあるうちに準備すべき理由をわかりやすく解説します。
【第3回】「相続放棄」と「遺産放棄」は何が違う?誤解しやすいポイントをわかりやすく解説
「相続放棄」と「遺産放棄」、この2つの言葉、似ているようで実は全く異なる法律行為です。
相続に関する相談を受けていると、「相続放棄します」とおっしゃる方の中に、実は"遺産放棄"のつもりだったというケースが少なくありません。