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30:遺産分割協議後に相続人の一人が亡くなってしまった場合、協議書はどうなるの?

2023年11月10日

遺産分割協議を行った翌週に、相続人の一人が亡くなってしまい、遺産分割協議書を作成してもいいのかどうかといった問い合わせがありました。事例を交えながら、調査した結果をお話いたします。

目次

1.そもそも遺産分割協議書を作成するには

2.協議後、相続人の一人が亡くなった場合

3.遺産分割協議書の書き方


1.そもそも遺産分割協議書を作成するには

 遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)は、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人たちの間で公平に分けるための合意書や協議のことを指します。遺産分割協議は、法的な手続きに基づくもので、相続人たちが相続財産をどのように分割するかを明確にするために行われます。相続人全員により行わなければならず、一部の相続人を廃除してなされた遺産分割協議は無効となります。

 遺産分割協議の内容は、相続財産の種類や価値、相続人の数、相続人それぞれの権利や要望などによって異なります。通常、相続人たちは相続財産を公正かつ均等に分割することを目指し、それに基づいて合意を形成します。協議に参加する相続人は、家族内でのトラブルや紛争を未然に防ぐためにも、誠実かつ建設的な協議を行うことが望まれます。

 一般的には、遺言書が存在する場合、それに基づいて分割が行われることが多いですが、遺言書がない場合でも相続人たちが合意に達することが期待されます。ただし、時には合意が難しい場合や紛争が生じた場合、裁判所が介入して遺産分割を決定することもあります。

 上記のような協議によりまとめられた内容を基に「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員の記名・実印による押印を行い、各手続きの届出等については、「遺産分割協議書」に「印鑑証明書」を添付して行います。

2.協議後、相続人の一人が亡くなった場合

 つまり、「遺産分割協議」は行ったが、「遺産分割協議書」作成前に亡くなってしまった場合です。結論から言いますと、改めて亡くなった相続人の相続人と遺産分割協議をやり直す必要がありません。なぜなら、亡くなったご相続人が遺産分割協議によって得た地位を、亡くなった相続人の相続人が引き継ぐことになるからです。

3.遺産分割協議書の書き方

 「遺産分割協議成立後に相続人一人が死亡した場合には再度の遺産分割協議は不要である」という点が重要です。通常、亡くなった方の相続人全員が遺産分割に参加し、作成した遺産分割協議書に署名捺印を行えば問題ありません。しかし、遺産分割が未了のまま相続人が死亡した場合には、遺産分割協議書の書き方が特殊になります。

※事例は、Aが死亡しBCDが相続人となったが、その後にBが死亡し、Bの地位をCDが承継した場合についての記載になります。

「        遺産分割協議書

 被相続人 A(令和〇年〇月〇日死亡)

 最後の住所 〇〇県○○市〇丁目○○

 最後の本籍 ○○県○○市〇丁目〇番地

相続人兼被相続人 B(令和〇年〇月〇日死亡)

 最後の住所 〇〇県○○市〇丁目○○

 最後の本籍 ○○県○○市〇丁目〇番地

被相続人Aの相続が開始したため、相続人全員で協議を行ったところ、後記のとおり遺産分割協議が成立した。

第1条 被相続人Aの有する下記不動産については、Cが相続する。

~略~

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成し、署名捺印する。

令和〇年〇月〇日

相続人兼Bの相続人 ○○県○○市〇丁目○○ C

相続人兼Bの相続人 ○○県○○市〇丁目〇〇 D」

他にも想定されうる状況が考えられます。専門家に相談することをお勧めいたします。