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(論点)遺言書作成時に遺留分相当の遺産を予め分けておくこと

以前、相続関連の相談をうけた内容になります。相談者の気持ちを尊重しつつ、遺留分対策としての遺言書作成の意味について説明したものです。ギャンブル好きの弟に対する財産分配に納得できない相談者への回答が整理されています。
目次
1. 相談内容と背景
2. お母様の遺言書の意図
3. 遺留分とは
4. 弟の遺留分対策
5. 遺言書の意義と家族の関係維持
6. 相談者の理解と納得
1. 相談内容と背景

相談者(長女)は、母親が作成した遺言書において、ギャンブル好きの弟にも少し財産を分けていることに納得がいかないとの相談を受けた。相談者としては弟に財産を渡すことに疑問を感じており、その意図について理解を求めていた。
2. お母様の遺言書の意図
母親が遺言書を作成する際に、弟に対しても一定の財産を分けることを明記していたのは、おそらく「遺留分対策」として専門家のアドバイスを受けたか、または自身で情報を取得しての判断であったと考えられる。遺留分とは、法定相続人が相続財産に対して最低限請求できる権利であり、これを無視すると後々トラブルになりやすい。
3. 遺留分とは
遺留分は、法定相続人が最低限相続できる権利のことであり、相続人が兄弟姉妹でない限り適用される。相談者の弟は、相続人として遺留分を主張する権利を持っている。この権利は、通常、法定相続分の2分の1に相当する。母親が遺産を分ける際に、弟の相続権を無視する形で遺産分割を行うと、弟が遺留分を請求する可能性が出てくるため、あらかじめ一定の分配を指定することは合理的である。
4. 弟の遺留分対策

母親は、おそらく弟が遺留分を請求することを避けるために、遺留分を超えない範囲で弟にも財産を分けることを遺言書に明記した。この方法は、遺言書が効力を持った際に、弟が遺留分の請求をしてトラブルが生じることを防ぐ手段である。もし、遺留分を無視して弟に全く財産を与えなかった場合、弟は法的に遺留分を請求することができ、結果として相談者が取得する財産が減少する可能性があった。
5. 遺言書の意義と家族の関係維持
お母様が弟にも一定の財産を分けることで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、家族内での対立を避ける意図があったと考えられる。特に相続は家族関係に影響を与えやすい問題であり、弟が不満を抱えたまま遺留分請求に至ることを防ぐために、適切な分配が重要である。

6. 相談者の理解と納得
相談者は、このような遺言書が弟の遺留分対策としての合理的な方法であると説明を受け、最終的に納得した。遺留分請求を封じるためには、事前に遺言書において相続人全員に一定の配慮を行い、将来的なトラブルを回避することが重要であるという点が理解されました。
以上が、相談者への回答内容を整理したものです。母親が遺言書を作成した背景には、相続における遺留分対策があり、それが相談者の理解を得られる形で説明できました。
ただし、このように遺言書に常に遺留分に留意した状態で作成しなければならないかというとそうではなく、とりあえず全財産を配偶者に渡したいとのことで、「全財産を配偶者に相続させる。」という遺言内容でも問題はありません。
また、遺言書を作る際に「面倒くさい」「費用がもったいない」という理由で作成を躊躇される方も少なからずいらっしゃいます。次回は、遺言書を作成した場合となかった場合を比較してみようと思います。

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