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(論点)遺言を作成する前にすべきこと

遺言書を作成することは、財産の分配や家族への配慮を明確にするための重要なプロセスです。しかし、遺言者の意思表示が法的に効力を持つためには、形式的な要件を満たしていればよいという側面がある一方で、家族間の合意形成が欠かせない場合も多くあります。遺産相続は、残された家族にとって感情的な問題となりがちであり、遺言がトラブルの原因となることもあります。本稿では、遺言を作成する前に考慮すべき事柄について、法的観点と実務的観点から説明し、家族のコンセンサスの重要性についても考察します。
目次
1.遺言作成における法的要件
2.家族間の意見調整の必要性
3.実務上で見られるトラブルとその対策
4.遺言作成のための具体的な準備
5.結論
1. 遺言作成における法的要件

遺言書が法的効力を持つためには、遺言者の意思表示だけでは不十分で、法律で定められた要件を満たす必要があります。代表的な遺言の形式には、自筆証書遺言、公正証書遺言がありますが、それぞれに異なる要件が存在します。
自筆証書遺言の場合、遺言者が遺言の全文を自筆し、署名捺印が必要です。加えて、日付も正確に記載されている必要があります。一方、公正証書遺言は公証人の立会いのもとで作成され、内容の正確性や法的適格性が保証されるため、法的効力がより強くなります。
遺言書を作成する際は、これらの要件を十分に理解し、適切な形式で作成することが重要です。
2. 家族間の意見調整の必要性

遺言書の作成において、遺言者の意志はもちろん尊重されるべきものです。しかし、実際の相続の場面では、「家族間の合意形成(コンセンサス)」が大きな役割を果たすことがあります。
例えば、遺言者が財産を特定の相続人に多く配分する意思を示す場合、他の相続人との間で不満や争いが生じる可能性があります。法的には遺言が有効であっても、家族間の不仲や感情的な摩擦が後にトラブルを引き起こすことも少なくありません。そのため、遺言者は家族間の意見調整を行い、可能な範囲で事前にコンセンサスを得ることが望ましいといえます。
特に、「遺留分(法定相続分の最低限の取り分)」に関する理解を深めることが重要です。遺留分を無視した遺言内容は、法的手続きによって修正を迫られる可能性があるため、事前に相続人たちと話し合いを持ち、納得を得ることが大切です。
財産の受け取る額に関係なく、遺言者の子供の方が、「重要な話の時はいつも私をのけ者にする」といって、話がこじれたケースもありました。「感情・心情」というものも大事にしてあげる必要性があると考えます。
3. 実務上で見られるトラブルとその対策

遺言があっても、遺産分割がスムーズに進まないケースは数多く存在します。実務の現場では、以下のようなトラブルが見られます。
相続人間の感情的対立
遺言内容が特定の相続人に有利な場合、不満が生じることがあります。法的に正当な内容であっても、家族間での不信感や感情的な軋轢が生じ、遺産分割協議が難航することがあります。
遺言書の不備や無効化
自筆証書遺言で形式に不備があった場合、遺言が無効となり、遺産分割が法定相続に従って行われることがあります。また、遺言書が発見されない、あるいは紛失・改ざんされるリスクも考えられます。
家族の異なる意見
遺産分割の方法について相続人同士の意見が一致しない場合、家庭裁判所での調停や訴訟に発展することもあります。このような事態を避けるためにも、遺言者と相続人があらかじめ話し合いを持つことが望ましいです。(既にこじれていて、遺産分割協議に支障が出るような場合ですと、むしろあらかじめの話し合いは不要になるといった場合もあります。)
これらのトラブルを回避するためには、遺言書を公正証書として作成することが有効です。公正証書遺言は、公証人が遺言の内容を確認し、作成過程を証人が見守るため、形式的な不備が発生しにくく、トラブルのリスクが低減します。また、家族と事前にコミュニケーションを図り、遺言内容についての納得を得ることも重要です。
4. 遺言作成のための具体的な準備
遺言を作成する前に、いくつかの具体的な準備を行うことが推奨されます。これにより、遺産分割を巡る争いを未然に防ぎ、遺言者の意思を確実に反映させることができます。
財産の全容を把握する
遺産の対象となる財産の一覧を作成し、誰にどの財産を相続させるかを明確にしておくことが重要です。特に不動産や株式などの評価が変動する資産については、専門家の助言を受けることが望ましいです。
家族との話し合いを行う
遺言者が家族に対してどのような意図で財産を分配しようとしているか、事前に話し合いを行い、家族の意見や希望を聞くことも重要です。これにより、家族間の理解が深まり、相続時のトラブルを防ぐことができます。
専門家のアドバイスを受ける
遺言書の作成にあたっては、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、法的に適切な遺言書を作成することが推奨されます。また、公正証書遺言を利用することで、形式的な問題を回避し、確実な相続手続きを進めることができます。
5. 結論
遺言は遺言者の意思を明確にし、遺産分割のトラブルを防ぐために非常に重要です。しかし、法的な要件を満たすだけでは不十分であり、家族間の意見調整も重要な要素となります。遺言を作成する前に、財産の全容を把握し、家族とのコミュニケーションを図ることが、円滑な相続を実現するための鍵となります。また、専門家の助言を受けながら、適切な形式で遺言を作成することが望まれます。

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