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(論点)相続税対策としての不動産投資と最近のタワーマンション節税スキームの変更

相続税対策として、不動産投資は依然として効果的な手法の一つです。特に現金や有価証券よりも不動産の相続税評価額が低く抑えられることから、多くの相続人や資産家が節税を目的として不動産投資を活用しています。しかし、近年ではタワーマンションを利用した節税スキームに対する規制が強化され、一部の従来の節税手法が使えなくなりました。本稿では、不動産投資による節税効果とタワーマンションに対する規制強化について解説します。
【目次】
- 不動産投資による相続税対策の基本的な仕組み
- 賃貸不動産を活用した節税効果
- 小規模宅地等の特例を利用した節税
- タワーマンション節税スキームの概要と規制の強化
- 不動産投資による相続税対策のリスクと注意点
- まとめ
1. 不動産投資による相続税対策の基本的な仕組み

相続税の計算において、不動産の評価額は現金や有価証券と異なり、通常は市場価格よりも低く評価されます。土地や建物の評価額は、土地は「路線価」または「固定資産税評価額」、建物は「固定資産税評価額」に基づいて計算されるため、時価よりも低い値がつけられることが一般的です。これにより、相続税評価額が抑えられ、結果として相続税の負担が軽減されます。
2. 賃貸不動産を活用した節税効果
特に賃貸不動産を活用することで、さらなる節税効果が期待されます。賃貸物件を所有している場合、評価額は「借家権割合」などを考慮して減額されます。通常、借家権割合は30%で、建物の評価額は70%に減額されるため、相続税の負担をさらに軽減することができます。また、賃貸用土地も「貸宅地」として評価され、土地の評価額も低く抑えられます。
3. 小規模宅地等の特例を利用した節税
相続税の計算には、小規模宅地等の特例も活用できます。これは、相続人が居住する住宅や事業用の宅地に適用される制度で、一定面積までの土地に対して大幅な評価減が認められます。
- 居住用宅地の場合、330㎡までの土地に対して80%の評価減が適用されます。
- 事業用宅地の場合、400㎡までの土地に対して80%の評価減が適用されます。
これにより、自宅や事業用不動産の相続税評価額を大幅に引き下げることができ、節税効果が高まります。
4. タワーマンション節税スキームの概要と規制の強化

従来、タワーマンションを活用した相続税の節税スキームが多くの資産家に利用されてきました。タワーマンションは、一般的に上層階ほど市場価格が高いにもかかわらず、固定資産税評価額は建物全体に対して一律に設定されるため、上層階の高額物件を購入しても、評価額は低く抑えられていました。これにより、時価との差額を利用した節税が可能となっていました。
しかし、このタワーマンションを利用した節税スキームに対しては、不公平であるとの批判が強まり、2023年以降、国税庁は規制を強化しました。新しい規制では、タワーマンションの上層階と下層階の固定資産税評価額に差をつけ、上層階ほど高い評価がなされるようになりました。この変更により、タワーマンションを利用した大幅な節税は難しくなりました。
- 規制の背景
タワーマンションの上層階は時価で見ると極めて高額になる場合がありますが、相続税評価額が低いままだと、大規模な節税効果が得られてしまい、資産の集中や税負担の不公平さが問題視されていました。こうした背景から、評価方法の見直しが行われたのです。 - 新しい評価方法
規制強化後は、建物の階層ごとに評価額が設定され、上層階の高額物件にはより高い評価額が付けられるようになりました。これにより、タワーマンションを利用した節税スキームが封じられ、不動産投資による節税方法はより慎重に考慮する必要が生じました。
5. 不動産投資による相続税対策のリスクと注意点

不動産投資は相続税対策に有効な手段ですが、いくつかのリスクと注意点も存在します。
- 資産価値の変動リスク
不動産の価値は市場動向によって変動します。相続時には評価額が低く抑えられても、後に売却する際に市場価値が下落している場合、損失を被る可能性があります。 - 賃貸経営のリスク
賃貸不動産を活用する場合、空室リスクや維持管理費がかかることもあり、賃料収入が安定しない場合があります。適切な物件選定とリスク管理が必要です。
6. まとめ
不動産投資を活用した相続税対策は、評価額を引き下げることで相続税を軽減する効果が期待されます。特に賃貸不動産や小規模宅地等の特例は有効な手段ですが、最近のタワーマンション節税スキームに対する規制強化により、従来のような大幅な節税効果を期待することは難しくなりました。不動産投資を検討する際には、長期的な視点でのリスクや市場動向も考慮し、計画的な投資を行うことが重要です。

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