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(論点)相続コンサルタント(民間資格)の役割と限界(士業との連携が求められる理由)

2025年05月12日

相続手続きは複雑で、多くの人々がどこから手を付けるべきか迷ってしまうものです。相続コンサルタントは、こうした手続きのサポートを提供することで、クライアントの負担を軽減する役割を担っています。しかし、相続には法律や税務が深く関与しており、これらの分野は弁護士や税理士などの専門資格を持つ者(士業)のみが扱うことが許されています。相続コンサルタントがどこまでサポートできるのか、その限界と役割について詳しく解説します。

目次

  1. 相続コンサルタントとは
  2. 法律業務と非弁行為の禁止
  3. 税務業務と税理士法違反
  4. 相続コンサルタントの適切な役割
  5. 士業との連携の重要性
  6. 結論

1. 相続コンサルタントとは

 相続コンサルタントは、相続手続きに関する全体的なアドバイスやサポートを提供する専門家です。相続の流れや必要な書類、手続きの進め方をクライアントに案内し、手続きをスムーズに進行させることを目的としています。特に、相続財産の整理や管理、生前対策に関する相談に応じ、士業が必要な場合には適切な専門家に繋げる役割も果たします。

 ただし、相続コンサルタントが扱える業務には限界があり、法的・税務的なアドバイスや具体的な手続きは資格を有する専門家に委ねる必要があります。

※民間資格である相続系のコンサル資格について、数日の研修を経て取得できるものもあり、国家資格とは明らかに知識やできることに差があります。

2. 法律業務と非弁行為の禁止

 相続に関して最も重要なのが、遺産分割協議や相続放棄、遺言執行といった法律的な手続きです。これらの業務は、弁護士法に基づき、弁護士のみが行うことが認められています。無資格者が報酬を得て法律事務を行うことは「非弁行為」とされ、法的に禁止されています。

 例えば、相続人同士の争いが発生した場合に、相続コンサルタントが法的な交渉を代行することや、遺産分割協議書を作成することはできません。こうした業務はすべて弁護士に依頼し、コンサルタントはクライアントの要望を整理し、必要に応じて弁護士に引き継ぐ役割を果たします。

3. 税務業務と税理士法違反

 相続税の申告や財産評価は、税理士が行う専門領域です。税理士法により、無資格者が税務に関する具体的な相談や代理申告を行うことは禁止されています。相続コンサルタントが税務相談を受けたり、相続税申告の代理を行うことは法に触れる行為となります。

 コンサルタントができるのは、相続税の概要や基本的な説明を行うことに留まり、具体的な対応が必要な場合は税理士に依頼する必要があります。税理士との連携を通じて、クライアントが適切な申告を行えるようサポートすることが重要です。

4. 相続コンサルタントの適切な役割

 相続コンサルタントは法律や税務の業務を直接行えないため、以下のような役割を担うことが一般的です。

  • 相続手続きのガイド: 相続の全体的な流れや手続きを分かりやすく説明し、必要な書類の整理や提出を支援します。法律的な判断が必要な場合は弁護士に相談し、税務的な問題が発生すれば税理士に繋げる役割を果たします。
  • 財産の整理と管理: 相続財産を把握する作業は、法律や税務の範囲に含まれないため、コンサルタントが適切にサポートできます。例えば、預金口座や不動産、株式などをリストアップし、遺産分割や申告に備えることが可能です。
  • 生前対策や遺言書の準備サポート: クライアントが生前対策を検討する際、一般的なアドバイスを行い、具体的な法的手続きについては専門家と協力して進めます。遺言書の作成に際しても、士業と協力して内容を精査します。

5. 士業との連携の重要性

 相続コンサルタントが最大限にクライアントに貢献するためには、弁護士や税理士との密接な連携が欠かせません。法律的な問題が生じた場合には弁護士、税務に関する問題が生じた際には税理士と連携し、専門家が適切に対応できるようコーディネートします。

 クライアントのニーズに応じて専門家と連携することで、トラブルを回避し、スムーズに相続手続きが進められるようサポートします。コンサルタントは士業の専門知識を借りながら、クライアントに安心感を提供し、相続手続きを円滑に進めるための重要な橋渡し役を担っています。

6. 結論

 相続コンサルタントは、相続に関する相談や手続きをサポートする役割を担いますが、法律や税務に関しては士業に任せる必要があります。弁護士や税理士との連携を通じて、クライアントに最適なソリューションを提供することが相続コンサルタントの役割であり、相続に関する課題に対して効果的に対応するためには、士業との協力が不可欠です。

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