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(論点)生前贈与 vs. 相続:どちらが得か?

2025年06月16日

生前贈与と相続は、財産を次世代に引き継ぐ方法としてどちらも有効ですが、税負担や手続きの面で違いがあります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、どちらが「得」かを考えます。

(目次)

1. 税制面の比較

2. コスト面の比較

3. トラブルリスクの比較

4. どちらが得か?

結論


1. 税制面の比較

(1) 贈与税 vs. 相続税

  • 生前贈与
    • 贈与税は累進課税で税率が高い(10%〜55%)。
    • 年間110万円までなら基礎控除があり、非課税で贈与できる。
    • 2024年から**「相続前3年以内の贈与」「相続前7年以内の贈与」**に拡大し、相続財産に加算される範囲が広がったため、短期的な贈与の節税効果が薄れた。
    • 特例贈与(住宅取得資金、教育資金、結婚・子育て資金など)を活用すると税負担が軽くなる。
  • 相続
    • 相続税の基礎控除額は 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数) と大きい。
    • 相続税の税率も累進課税(10%〜55%)だが、控除の影響で相対的に贈与税より負担が少ない場合が多い
    • 配偶者は1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税(配偶者控除)。
    • 小規模宅地の特例(最大80%評価減)を活用すれば、不動産相続時の評価額を大きく下げられる。

2. コスト面の比較

  • 生前贈与
    • 贈与契約書の作成費用がかかる。
    • 登録免許税や不動産取得税がかかる(不動産を贈与する場合)。
    • 受贈者(もらう側)が税負担をするため、資金の準備が必要。
  • 相続
    • 相続発生後の申告・登記費用がかかる。
    • 不動産取得税はかからないが、登録免許税は必要(ただし贈与より安い)。
    • 遺産分割協議が必要になる場合があり、手続きが煩雑になることも。

3. トラブルリスクの比較

  • 生前贈与
    • 他の相続人との不公平感が生まれやすい(特に遺留分減殺請求の対象になった場合)。
    • 受贈者の財産管理能力が問われる(贈与した財産を無駄遣いされる可能性)。
    • 認知症発症後の贈与は無効になる可能性がある(意思能力が必要)。
  • 相続
    • 遺産分割争いが起こりやすい(遺言がない場合、相続人同士の話し合いが難航することがある)。
    • 遺言書を作成することである程度コントロール可能(遺留分対策も含め)。
    • 家族関係が悪化していると、スムーズに分割できないリスク

4. どちらが得か?

結論

  • 税負担だけを考えるなら相続のほうが有利(特に小規模宅地の特例や配偶者控除を活用できる場合)。
  • 時間をかけて計画的に贈与を行えば節税できる(毎年110万円ずつの贈与や特例贈与を活用)。
  • 財産のコントロールを考えるなら生前贈与も有効(相続争いを避けるために事前に渡す)。

最適な方法は、財産の種類・家族構成・税制改正の影響を考慮して決めるべきです。

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