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(論点)受取人のいない相続財産はどこにいくのか

相続が発生した際、相続人が存在しない場合、その財産はどこへ行くのかという疑問が生じます。このようなケースは「相続人不存在」と呼ばれ、法律に基づく手続きが定められています。以下、その手続きと財産の行方について説明します。
目次
1. 相続人不存在の確認
2. 遺産管理人の選任
3. 相続財産の公告と受遺者の探索
4. 相続財産の国庫帰属
5. 国庫帰属後の手続き
6. 結論
1. 相続人不存在の確認

相続人が不存在であると判断されるのは、被相続人が死亡した際に法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)がいない場合です。また、相続人がいても全員が相続放棄をした場合も同様に相続人不存在の状態となります。
相続人がいるかどうかは、被相続人の戸籍謄本などを調査して確認します。この手続きは通常、遺産管理人や家庭裁判所が担当します。
2. 遺産管理人の選任

相続人不存在が確認されると、家庭裁判所は「遺産管理人」を選任します。遺産管理人は、相続財産の保全、処分、債務の支払いなどを行うために選ばれる第三者です。遺産管理人は、弁護士や司法書士など、法律に精通した専門家が任命されることが一般的です。
遺産管理人が選任されると、財産の管理とともに、相続債務の清算や未払いの税金の支払い、債権者への対応などを行います。また、遺産の一部を売却するなどして、債務の支払いに充てることもあります。
当然ですが、この遺産管理人への報酬も、前もって家庭裁判所に予納することになりますが、その額は数十万円から数百万円が想定されます。(いったい誰が支払うのでしょうか?)勿論、予納金が支払われない場合、手続きは進みません。
3. 相続財産の公告と受遺者の探索
遺産管理人は、相続財産の内容を公告し、受遺者や相続人の可能性がある者を探します。この公告は、遺産管理人が選任されてから通常2か月以内に行われ、一般的には官報などで公示されます。公告期間中に相続人や受遺者が現れれば、その者に対して相続手続きが行われます。
しかし、公告期間中に相続人や受遺者が現れない場合、最終的にはその財産の処理が行われます。
4. 相続財産の国庫帰属
公告期間が過ぎても相続人が現れなかった場合、相続財産は「特別縁故者」に分与される可能性があります。特別縁故者とは、被相続人の生前に特に親しい関係にあった者で、例えば、長年同居していた友人や内縁の配偶者などが該当します。特別縁故者が財産の分与を希望する場合、家庭裁判所にその旨を申し立てることができます。
特別縁故者への分与が行われない場合、相続財産は最終的に「国庫」に帰属します。これは、相続人不存在の場合に限られる特殊な措置で、国が相続財産を受け取ることになります。国庫帰属の対象となる財産には、不動産、預貯金、株式などが含まれます。
5. 国庫帰属後の手続き
財産が国庫に帰属した後、これらの財産は国有財産として処分されます。不動産であれば、売却されたり、公共の利用に供されたりします。現金や預貯金は、国の財政に組み入れられます。また、株式などの有価証券は、国が売却して現金化することが一般的です。
一度国庫に帰属した財産は、相続人や特別縁故者が後に現れたとしても、その返還が認められることは基本的にありません。したがって、相続人不存在が確定する前に、全ての可能性を考慮して手続きを行うことが重要です。
6. 結論
相続人が不存在の場合、その財産はまず遺産管理人によって管理され、特別縁故者への分与が行われる可能性がありますが、最終的には国庫に帰属します。このようなケースは、法律に基づいた厳格な手続きが必要となり、遺産管理人や家庭裁判所の役割が非常に重要です。相続人不存在の問題は、誰が財産を受け取るのかという個別の問題だけでなく、社会全体における財産の管理や再分配にも関連する重要なテーマです。
ちなみに、日本全体で、受取人のいない遺産額「647億円(2021年朝日新聞記事引用)」だったみたいです。

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