平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

(論点)住所等変更登記を職権で進めるための「検索用情報の申し出書」について

2025年04月21日

不動産の所有者情報を正確に管理するため、法務省では住所等変更登記を職権で実施する制度が導入されています。この制度の円滑な運用に向けては、「検索用情報の申し出書」を提出する必要があります。このブログでは、登記官が職権で住所変更登記を行うための準備とその運用方法について、司法書士としてわかりやすく解説します。(令和7年4月21日施行)

目次

  1. 検索用情報の申し出書とは
  2. 職権による住所等変更登記の背景
  3. 検索用情報の提出方法
  4. 検索用情報に含まれるべき内容
  5. 住所変更登記の実施の流れ
  6. まとめ

1. 検索用情報の申し出書とは

 「検索用情報の申し出書」は、不動産所有者や関係者が、住所変更登記を進めるために必要な情報を法務省に提供するための書類です。この書類は、登記官が職権で所有者の住所変更を行う際に利用されます。不動産の住所変更を速やかに反映させ、正確な情報を管理するために不可欠な手続きです。

司法書士として、不動産登記の更新や変更手続きにおいて、顧客がスムーズに対応できるよう、必要な情報を準備し、適切に申請するサポートを提供します。

2. 職権による住所等変更登記の背景

 法務省が導入した職権による住所変更登記制度の背景には、不動産の所有者情報の正確性を維持する必要があります。従来、住所変更は所有者自身が申請する必要がありましたが、手続きを忘れてしまうことや長期間放置されるケースが多く、結果として登記簿上の情報が古くなってしまう問題が発生していました。

そのため、登記官が職権で所有者の住所変更を行う仕組みが設けられ、これにより、不動産の取引や相続手続きが円滑に進められることが期待されています。

3. 検索用情報の提出方法

 「検索用情報の申し出書」は、法務省の所定のフォーマットに従い、必要事項を記入して提出します。提出は、原則としてオンラインで行うことができ、紙ベースの提出も可能です。提出の際には、申出書とともに、現在の住所や連絡先に関する証明書類も添付する必要があります。

具体的な手続きとしては、まず、法務省のウェブサイトから申出書をダウンロードし、必要な情報を正確に記入した上で、法務局に提出します。提出後、登記官が情報を審査し、必要な確認作業を行った後、住所変更が職権で実施されます。

(所有権移転登記と同時に届け出る場合)

法務局HP引用
法務局HP引用

(検索用情報のみ届け出る場合)

法務局HP引用
法務局HP引用

4. 検索用情報に含まれるべき内容

 検索用情報には、以下の内容を記載する必要があります:

  • 所有者の基本情報
    氏名や旧住所、新住所といった基本的な個人情報が必要です。これは正確に記入することが重要で、誤りがあると手続きが遅れる可能性があります。
  • 対象不動産の情報
    登記簿に記載されている不動産の所在や地番、家屋番号などの詳細を記載します。これにより、対象となる不動産が特定され、住所変更の対象範囲が明確になります。
  • 証明書類の添付
    提出書類には、住民票や免許証のコピーなど、現在の住所を確認できる書類を添付する必要があります。これにより、登記官が所有者の最新の住所情報を確認できるようになります。

5. 住所変更登記の実施の流れ

 住所変更登記は、以下の流れで進行します。

  1. 申出書の提出
    まず、所有者や代理人が「検索用情報の申し出書」を法務局に提出します。提出が完了した後、登記官が申請内容を確認します。
  2. 登記官の審査
    登記官は、提出された情報と不動産登記簿上の情報を突き合わせ、住所変更が必要かどうかを判断します。
  3. 職権での登記変更
    審査が完了すると、登記官が職権で住所変更を実施します。所有者による申請は不要なため、手続きの負担が軽減されます。
  4. 確認通知の送付
    住所変更が完了すると、法務局から所有者に対して変更内容の通知が送付されます。これにより、所有者は住所変更が正しく反映されたかどうかを確認できます。

6. まとめ

 今回の法務省による「検索用情報の申出」制度は、不動産の住所等変更登記を職権で実施する際に非常に重要な手続きです。所有者が情報を正確に提供することで、迅速かつ確実に住所変更が行われ、不動産登記情報の正確性が保たれます。

 司法書士として、顧客の皆様が適切に情報を提出できるようサポートすることは、手続き全体のスムーズさに直結します。住所変更手続きに関して不明点がある場合は、早めにご相談いただき、適切な手続きを進めましょう。

詳しくは、法務省HPまで。 

最新のブログ記事

相続登記の際、遺産分割協議書は非常に重要な書類となります。しかし、時折相談者から「やってもいない遺産分割協議についての協議書が送られてきた」といった疑問や不安の声が寄せられることがあります。このような場合、法令に違反している可能性もありますが、協議の認識に誤解がある場合も少なくありません。本稿では、遺産分割協議書が郵送された場合の対応方法や注意すべき点について、実際の事例を交えながら解説します。

相続が発生した際、遺産をどのように分割するかを決定するために、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議書は、その合意内容を正式に書面で残すものであり、特に不動産の相続登記を行う際に必須の書類となります。しかし、この協議書の内容が不備であったり、相続人全員の同意が得られていない場合、後々のトラブルを招くことがあります。本稿では、遺産分割協議書を作成する際に注意すべき点について詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐための対策を考察します。

相続が発生した際、不動産の所有権移転を行うためには、相続登記を行う必要があります。一般的な相続登記では、父親が死亡し、配偶者と子供が相続人となるケースがよく見られます。この際に必要となる添付書類は、法定相続分による登記と、二次相続対策として子供に所有権を移転する場合で異なります。特に二次相続に備えるための所有権移転には慎重な準備が必要です。本稿では、それぞれのケースでの必要な書類を整理し、どのように進めるべきかを解説します。