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(論点)エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書は、どちらも人生の終わりを迎える際に必要な事項を整理しておくための書類ですが、それぞれの目的や法的効力には大きな違いがあります。今回は、エンディングノートと遺言書の違いについて解説したいと思います。
目次
1.エンディングノートとは
2.遺言書とは
3.エンディングノートと遺言書の比較
4.遺言書に法的効力が及ばない付言事項とは
1.エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分の希望や思いを家族や友人に伝えるためのものです。
記載する内容として以下のものが主なものです。
①医療や介護についての希望
➁葬儀の方法や希望
③デジタル資産の管理方法
④親しい人へのメッセージ
➄遺産の分配についての希望(法的効力はありません)
エンディングノートには法的効力はありません。そのため、遺産分割の際には遺言書の内容が優先されます。エンディングノートはあくまで家族や関係者が故人の希望を理解するための参考資料となります。
2.遺言書とは

遺言書とは、法律に基づいて、遺産の分配や相続人の指定を明確にするためのものです。
遺言書の内容として、民法上で以下の内容を定めることができます。
①遺産の分配方法の指定
➁相続人の指定
③遺言執行者の指名
④その他法律に基づく指示
エンディングノートとは異なり、遺言書は法的に効力があり、適切に作成されている場合、遺産分割や相続において法的に拘束力があります。自筆証書遺言で法務局以外で保管されている遺言書は、相続発生後、家庭裁判所の検認を経ることで、法的効力が確定します。
自筆証書遺言書でも、法務局に保管されている場合や、公正証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けなくても、相続発生時に法的効力を生じます。
遺言書には、遺言書には大きく分けて、自筆証書遺言・公正証書遺言の2種類があります。これらは法律に従って正しく作成される必要があり、特に公正証書遺言は公証人の関与及び、遺言者の意思確認時に証人2名の立会が求められます。遺言書の内容は、遺言者又はその代理人とのヒアリング等により、公証人が遺言書を作成します。
一方で、自筆証書遺言の場合、遺言者本人が自筆で作成するため、法的効力を生じるように専門家のサポートなどが必要になるばあがあります。せっかく遺言書を書いても、法的効力が生じなければ意味がありませんから。
3.エンディングノートと遺言書の比較

(目的)エンディングノートは個人の希望を伝えるためのものであり、遺言書は法的に遺産分割を指示するためのものです。
(内容)エンディングノートは医療、葬儀、デジタル資産など幅広い希望を含むことができるのに対し、遺言書は主に遺産分割に関する事項に限定されます。
法的効力 エンディングノートには法的効力がないのに対し、遺言書には法的効力があります。
エンディングノートと遺言書を併用することで、故人の意向をより明確に伝え、法的に確実な形で遺産を分配することができます。また、最近はやりのデジタル資産についても、パスワードやアクセス方法なども、エンディングノートに記載しておくことで、遺産を見つけやすくすることも可能になります。
4.遺言書に法的効力が及ばない付言事項とは

遺言書の付言事項とは、遺言書に法的拘束力のある事項とは別に、遺言者が相続人や遺族に対して伝えたいメッセージや希望を書き加える部分のことです。これには法的拘束力はありませんが、遺言者の意向や思いを伝えるための重要な役割を果たします。
つまり、家族への想いなどについては、遺言書の中の「付言事項」に書きしたためることができます。付言事項には、法的効力が及ばないため、甲的効力を及ばしたい内容は、別項目で記載しなければなりません。
「付言事項」には以下のような内容を記載します。
①感謝の言葉
➁遺産分割の理由
③遺族へのメッセージや希望
などです。
付言事項の重要性は、法的拘束力はないものの、遺言者の思いを直接遺族に伝える手段として非常に重要です。これにより、遺族は遺言者の真意を理解しやすくなり、遺産分割に関する争いを防ぐことにもつながります。遺言書に付言事項を加えることで、遺言者の意向がより明確に伝わり、遺族間の調和が保たれることが期待されます。
5.まとめ
このように、エンディングノートと遺言書は、別の働きがあります。エンディングノートを書いても、法的効力が生じないため、その中で「長男に全財産を相続させる」と記載しても、遺産分割協議をして遺産を分割しなければ、個々の財産の帰属先が明確にはなりません。使い分けをして、「安心」を手に入れましょう。
もし、よくわからない場合には、専門家に相談することをお勧めいたします。

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