2.1 相続登記義務化と過料リスク
2024年4月より、日本全国で 相続登記が義務化 されました。香川県も例外ではなく、直島町の不動産を相続した場合、 相続から3年以内 に登記を申請しないと過料(10万円以下)が科される可能性があります。
島の土地・家屋は将来的に増える価値も考えられるため、名義未整理のまま放置するリスクは見過ごせません。
2.2 島ならではの戸籍・名義整理の難しさ
直島町では、相続人が島外に住んでいるケースが多いかもしれません。島外相続人との調整、戸籍・住民票の取り寄せ、登記手続きなど、地理的制約が手続きの難易度を上げる可能性があります。
また未登記建物や共有名義の不動産が存在する場合、名義整理に時間がかかるため、早めの準備が必要です。町内でも 相続登記等相談会 を定期開催しており、専門家を交えた相談が可能。
2.3 空き家発生リスクとその影響
過疎化・高齢化が進む中で、将来的に空き家が増える可能性があります。直島町の過疎地域持続的発展計画でも、高齢者のみ世帯や要援護高齢者の増加が予測されており、未活用不動産の管理は重大な課題です。
空き家を放置すると維持コストや安全性の問題が出てくるだけでなく、資産価値の下落や相続人間のトラブルの原因にもなり得ます。
3. 具体的な生前対策の手段
3.1 遺言書(自筆/公正証書)作成
相続トラブルを未然に防ぐには
遺言書 が基本。直島町内外の相続人を考えた上で、自筆遺言か公正証書遺言を選ぶことが重要です。
特に島の不動産をどう承継するか、共有名義にするのか特定の人にまとめるのかなどを明文化しておくことで、将来の争いを抑えられます。
3.2 贈与(暦年贈与など)を活用した資産移転
生前贈与は相続税対策にも有効です。特に
暦年贈与(年間110万円まで非課税枠)を使って、少しずつ財産を子や孫に移転する方法があります。
また、直島における将来の居住者(島内・島外)を見据えながら贈与計画を立てることで、滞りなく資産移転ができます。
3.3 配偶者居住権・小規模宅地等特例・信託の活用
- 配偶者居住権 を設定すれば、高齢の配偶者が直島の家に住み続けながら、所有権を別の相続人へ移す設計が可能。
- 小規模宅地等の特例 を使えば、相続税評価を抑えることができる可能性があります(自宅用地などが該当)。
- 家族信託 を活用し、不動産を信託財産にして管理・承継のルールをあらかじめ定めておくことで、将来のトラブルを回避できます。
4. 空き家対策・利活用の視点