香川県の相続手続きで、見落としがちな"落とし穴"に気づいていますか?登記・相続税・遺産分割で後悔しないために、香川県 高松市の司法書士・税理士による無料相談会(毎月第3水曜開催)でプロに相談しましょう。90分対応・完全予約制。
遺産分割時の相続分の修正(寄与分・特別寄与料)

今まで遺産分割時の相続分の修正として、特別受益についてお話をしてきましたが、今回は寄与分・特別寄与料について解説いたします。こちらも、遺産分割を公平にするための規定です。算出方法については、特別受益と比較してお話をいたします。
目次
1.寄与分とは
2.特別寄与料とは
3.特別受益と寄与分の算出方法の比較
4.まとめ
1.寄与分とは
被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした共同相続人(寄与分権利者)があるとき、その者の本来の相続分(法定相続分又は推定相続分)に一定の加算をして、相続人間の実質的衡平を測ろうとする制度です。要件は以下の通りです。
①共同相続人であること。
※内縁の妻、相続欠格者、非廃除者については、該当しません。
➁被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者であること。
※通常の寄与(一緒に生活をして身の回りの世話をすること)では足りず、特別の寄与(本来施設で介護をすべきところ、自宅で介護をすることなど)。こうすることで、本来、被相続人が支払うべき施設利用料を払わなくてよくなっているので、その分、特別の寄与をしたということになります。
寄与分の確定手続きについては、原則として、共同相続人間の協議で行われます。(民法904条の2第1項)
そして協議が整わない場合又は協議をすることができない場合には、家庭裁判所が、寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定めることになります。(民法904条の2第2項)
2.特別寄与料とは
被相続人に対して無償で療養看護等をした特別受益者は、その貢献を考慮するために方策として、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求することができます。この金銭のことを特別寄与料と言います。ただし、誰でも特別寄与者になることはできず要件があります。
①被相続人の親族であること。
※相続人、相続放棄者、相続欠格者、非廃除者は該当しません。
(長男の配偶者などが該当します。)
➁無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと。
特別寄与料の価額の確定は、原則として、特別寄与者と相続人間の協議により行われます。(民法1050条第2項)
協議が整わないとき又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、特別寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料を定めることになります。(民法1050条第3項)
※寄与分の請求と特別寄与料の請求の相違点の一つとして、「請求に期間制限」がある点があります。寄与分には期間制限は設けられていないのですが、特別寄与料には期間制限があります。
①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6か月を経過
➁相続開始の時から1年を経過したとき
この時を経過してしまいましたら、特別寄与料の請求をすることはできません。
ただし、寄与分も遺産分割協議の期間制限(5年・10年)ができましたので、こちらを過ぎた場合、相続人全員の合意がない限り請求できないことになります。
3.特別受益と寄与分の算出方法の比較
(特別受益)

※「足して引く」
(寄与分)

※「あらかじめ財産をよけておいて、あとで足す」
4.まとめ
このように、遺産分割協議において相続分の修正には「特別受益」と「寄与分」があることを解説してきました。今まで制限がなかった遺産分割協議の期間が2023年4月1日より以下の内容で変更されましたので、特別受益・寄与分を考慮した遺産分割ができる期間が制限されます。
(図)

また、2020年4月1日の民法改正で新たに規定されました「特別寄与料」は、相続人以外の被相続人の親族対象で、被相続人の寄与をした方にも、その請求権を認めるものですが、相続及び相続人を知ったときから6か月、相続発生から1年と比較的短期間の請求が認められていますので、該当する方は請求を検討することができるようになりました。分からない場合には、専門家の無料相談を活用することをお勧めいたします。

最新のブログ記事
「不当誘致に依存しない司法書士」であり続けるという決意——法令と実務から考える私の立場
司法書士業界では以前から「誘致」に関する問題が指摘されてきました。最近では、弁護士向けの違法な集客スキームが摘発されるニュースもあり、法曹業界全体で"外部業者による不当な関与"が注目されています。
私が運営するアイリス国際司法書士・行政書士事務所では、開業以来、外部の広告サービスや案件紹介を一切利用していません。本記事では、その背景と私自身の考え方を、司法書士法施行規則および行為規範の趣旨と照らしながら整理します。
(論点)相続放棄の影響とは?判断前に知っておきたい基礎知識と注意点
相続が発生した際、借金や負の財産が多い場合に「相続放棄」という選択肢を検討する方も少なくありません。しかし、相続放棄は一度手続きを行うと取り消すことができず、また他の相続人や周囲の人間関係にも思わぬ影響を及ぼすことがあります。この記事では、「相続放棄の影響」について、制度の概要から、判断に迷いやすいポイント、放棄後の生活や他の相続人への影響まで、分かりやすく解説します。相続放棄を検討している方、親族の死後に借金の請求を受けた方、または司法書士・弁護士に相談する前に基本知識を整理したい方におすすめの内容です。
【思考】「他人と比べない」ことで、人生が楽になる ― 自分との対話を深める哲学的ヒント
「隣の芝生は青い」とよく言われます。他人の成功や幸せが、自分のものよりも輝いて見えることは誰しもあるもの。しかし、その"比較の視線"に縛られ続けると、私たちは次第に自分を見失い、生きづらさを感じてしまいます。




