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なぜ認知症対策は「元気なうち」しかできないのか — 司法書士が現場で痛感する“取り返しのつかない分岐点”

「もう少し元気なうちに相談に来てくれていたら…」
これは、私が司法書士として現場に立つ中で、何度も心の中でつぶやいてきた言葉です。
認知症対策というと、多くの方は「症状が出てから考えるもの」「困ってから相談するもの」と思いがちです。しかし、実務の現実はまったく逆です。
認知症対策のほとんどは、"元気なうち"にしかできません。
そして、その分かれ道は、本人にも家族にも気づかれないまま、静かに訪れます。
第4回では、「なぜ元気なうちでなければ対策できないのか」を、法律実務の視点から、できる限り噛み砕いてお伝えします。
目次
- 「判断能力」がすべての前提になる理由
- 認知症と診断された瞬間に失われる選択肢
- 家族でも"代わりに決められない"法律の壁
- 香川県の相談現場でよくある後悔の言葉
- 元気なうちの準備が、家族を守る
1. 「判断能力」がすべての前提になる理由

法律の世界では、契約・贈与・遺言・信託など、あらゆる行為に共通する大前提があります。
それが**「本人に判断能力があること」**です。
判断能力とは、単に会話ができるかどうかではありません。
- 自分の財産が何かを理解しているか
- その行為が将来どんな結果をもたらすか分かっているか
- 誰に、何を、どのように託すのかを自分の意思で選べているか
これらを総合して判断されます。
問題なのは、この判断能力がある日突然ゼロになるわけではないという点です。
少しずつ、しかし確実に低下していきます。
そのため、本人も家族も「まだ大丈夫」と思っている間に、実務上は"もう難しい"状態に入ってしまうことが少なくありません。
2. 認知症と診断された瞬間に失われる選択肢

「診断が出たら、もう何もできないんですか?」
相談の場で、よく聞かれる質問です。
答えは残念ながら、できることは一気に減ります。
たとえば――
- 遺言書を作ろうとしても、無効と判断される可能性
- 生前贈与をしても、後から争いになるリスク
- 家族信託を組もうとしても、契約能力が否定される
特に地方では、金融機関や不動産取引の現場が非常に慎重です。
香川県内でも、「少しでも認知症の疑いがある」と判断されると、手続き自体を断られるケースがあります。
つまり、対策をしようと思った時点で、すでに選択肢が閉ざされていることがあるのです。
3. 家族でも"代わりに決められない"法律の壁

多くのご家族が誤解しています。
「子どもなんだから、代わりに決められるはず」
「配偶者だから、当然できると思っていた」
しかし法律は、家族関係よりも本人の意思を最優先します。
判断能力が失われた後、家族ができることは極めて限定的です。
- 預金の管理はできても、処分はできない
- 不動産を維持することはできても、売却は原則不可
- 節税や財産整理はほぼ不可能
結果として、成年後見制度に頼らざるを得なくなります。
成年後見制度は、判断能力が失われた方を守るための大切な制度です。
しかし、「自由に財産を動かすための制度」ではありません。
むしろ実務では、次のような制約が生まれます。
- 自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要
- 生前贈与や相続税対策は原則できない
- 投資・資産組み換えなどの積極的な運用は不可
- すべての支出に記録・報告義務が発生
つまり、"守ることはできるが、攻めることはできない"制度なのです。
「相続対策をしたい」
「空き家を売って施設費用に充てたい」
「家族信託で柔軟に管理したい」
こうした前向きな選択肢は、後見開始後にはほぼ不可能になります。
ご家族からは、こんな言葉をよく聞きます。
「こんなに何もできないとは思わなかった」
「もっと早く知っていれば…」
この"制度の現実"こそが、私が最もお伝えしたいポイントです。
4. 香川県の相談現場でよくある後悔の言葉

香川県は、全国的に見ても高齢化率が高い地域です。
特に高松市・坂出市・丸亀市周辺では、
- 空き家の増加
- 独居高齢者の増加
- 子ども世代が県外在住
という事情が重なっています。
その結果、
「親の判断能力が落ちてから、県外の子どもが慌てて帰省する」
「いざ不動産を売ろうとして止まる」
「金融機関に断られる」
こうしたケースが後を絶ちません。
実際の相談では、次のような言葉が頻繁に出てきます。
「まだ元気だから大丈夫だと思っていました」
「こんなに早く悪くなるとは想像していませんでした」
「病院で診断が出た瞬間に、何も進まなくなりました」
皆さん、本当に同じことをおっしゃいます。
そして私は毎回、胸が締めつけられます。
対策さえ間に合えば、防げたはずの問題ばかりだからです。
法律の問題というより、
「タイミングの問題」なのです。
5. 元気なうちの準備が、家族を守る
では、何をいつ始めればいいのでしょうか。
答えは明確です。
"元気な今すぐ"です。
早すぎる対策は存在しません。
しかし、遅すぎる対策は確実に存在します。
元気なうちであれば、
- 遺言書の作成
- 家族信託の設計
- 任意後見契約
- 生前贈与
- 不動産整理・売却
- 口座の一本化
- エンディングノート作成
これらすべてを、本人の意思で自由に選択できます。
そして何より大きいのは、
「家族が迷わなくて済むこと」
です。
認知症対策とは、財産を守るためだけの準備ではありません。
家族が
「これで良かったのだろうか」
「親の本当の希望は何だったのだろう」
と悩み続けなくて済むための準備です。
私は司法書士として、
数多くの"間に合わなかったご家族"を見てきました。
だからこそ、声を大にして言います。
認知症対策は、元気なうちにしかできません。
これは脅しでも営業トークでもなく、現場の事実です。
「まだ早いかな」
と思った"今この瞬間"が、実は最適なタイミングなのです。


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