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終活支援サポート(尊厳死宣言公正証書とは)

先日、岡山県倉敷市の倉敷公証役場に出張したとき、面談室内の机に「尊厳死宣言公正証書」の記載サンプルがありました。内容を確認すると、終末医療での延命措置の禁止についてなど、細かく内容を記載してありました。7年程前まで介護施設の施設長をしていたので、興味がわき拝見させていただきました。この「尊厳死宣言公正証書」についてお話をしたいと思います。
目次
1.「尊厳死宣言公正証書」とは
2.どのような内容を記載できるのか
3.まとめ
1.「尊厳死宣言公正証書」とは

「過剰な延命治療を打ち切って、自然の死を迎えることを望む人が多くなってきており、事実実験の一種として、「尊厳死宣言公正証書」が作成されるようになってきました。
「尊厳死」とは、一般的に「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え、または中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。」と解されています。近代医学は、患者が生きている限り最後まで治療を施すという考え方に忠実に従い、生かすべく最後まで治療を施すことが行われてきました。しかし、延命治療に関する医療技術の進歩により、患者が植物状態になっても長年生きている実例等がきっかけとなって、単に延命を図る目的だけの治療が、果たして患者の利益になっているのか、むしろ患者を苦しめ、その尊厳を害しているのではないかという問題認識から、患者本人の意思(患者の自己決定権)を尊重するという考えが重視されるようになりました。「尊厳死」は、現代の延命治療技術がもたらした過剰な治療を差し控え、または中止し、単なる死期の引き延ばしを止めることであって、それは許されると考えられるようになりました。
近時、我が国の医学界等でも、尊厳死の考え方を積極的に容認するようになり、また、過剰な末期治療を施されることによって近親者に物心両面から多大な負担を強いるのではないかという懸念から、自らの考えで尊厳死に関する公正証書の作成を嘱託する人も出てくるようになってきました。
「尊厳死宣言公正証書」とは、嘱託人が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、または中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にするものです。
ところで、尊厳死宣言がある場合に、自己決定権に基づく患者の指示が尊重されるべきものであることは当然としても、医療現場ではそれに必ず従わなければならないとまではいまだ考えられていないこと、治療義務がない過剰な延命治療に当たるか否かは医学的判断によらざるを得ない面があることなどからすると、尊厳死宣言公正証書を作成した場合にも、必ず尊厳死が実現するとは限りません。もっとも、尊厳死の普及を目的としている日本尊厳死協会の機関誌「リビング・ウィル」のアンケート結果によれば、同協会が登録・保管している「尊厳死の宣言書」を医師に示したことによる医師の尊厳死許容率は、近年は9割を超えており、このことからすると、医療現場でも、大勢としては、尊厳死を容認していることがうかがえます。いずれにしろ、尊厳死を迎える状況になる以前に、担当医師等に尊厳死宣言公正証書を示す必要がありますので、その意思を伝えるにふさわしい信頼できる肉親等に尊厳死宣言公正証書をあらかじめ託しておかれるのがよいと思われます。」(公証人連合会HPより引用)
公証役場で尊厳死宣言の公正証書を作成する場合には、宣言をされる方の印鑑登録証明書または運転免許証などの顔写真付きの官公署発行の身分証明書を用意していただき、あらかじめ電話で日時を予約して、相談、打合せにお越しください。 宣言の内容等について、公証人が十分な打合せをさせていただいた上で公正証書作成の準備をしていただけます。
2.どのような内容を記載できるのか
例文の中で一番に目を引いたのは、「延命措置」の否定と、「緩和ケア」の要望です。治る見込みのない状況での延命措置を否定し、死に至るまでに機関の中で痛みを伴う場合には、緩和措置を積極的にしてほしいという内容でした。
これを施設に入所するときに施設の責任者に見せて、意思表示をしておく必要があります。

3.まとめ
以前、介護施設の施設長の経験がありますが、施設に入所してくる利用者の方の状態は様々で、意思表示をしっかりできる方もいれば、すでに認知症が進み意思表示できない方もいらっしゃいます。
意思表示できれば問題ないですが、意思表示できない場合、ご家族の意思表示が優先されていたように思います。はじめに医師に係る段階で自身の意思表示を公正証書をもってしておけば、ご自身の意思が優先されます。
元気なうちに、ご自身の延命治療などについての意思表示として「公正証書」で残しておくこともできます。近いうちに私自身も作成しようと思っております。その時についてもお話をしたいと思います。


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