1. 土庄町（小豆島）地域の現状と特色

1.1. 土庄町ってどんな町？

　土庄町は香川県・小豆島の西北部に位置し、豊かな自然と歴史的景観を有する町です。世界最狭の海峡「土渕海峡」など観光資源にも恵まれています。
　一方で、島という地理的な制約、高齢化、人口減少が進んでおり、町としての持続可能性や地域資産の活用が大きな課題になっています。

1.2. 空き家問題と住まいの終活事情

　土庄町では、空き家の増加が深刻な地域問題です。小豆島全体で約3,000戸もの空き家があるとの指摘があり、町は「小豆島・豊島　空き家活用・住まいの終活ガイドブック」を発行。
　このガイドブックには、終活（生前整理）、相続、空き家活用の具体策が記載されており、島に住む人、島を離れた所有者、将来的な相続人すべてにとって重要な情報源です。

　また、空き家バンク制度があり、相続・売却・利活用を通じて空き家を再活用するチャンスがあります。
　しかし、空き家を放置したままだと固定資産税や将来的な管理コストがかさむ可能性があり、生前にきちんと対策しておくことが重要です。

1.3. 島の事業承継・非上場資産の重要性

　島内で個人事業や中小企業を営む方にとって、後継者問題は大きなテーマです。香川県では、経営承継円滑化法による支援があり、非上場株式などへの贈与・相続時の納税猶予を受けられる制度があります。
　島ならではの事業、土地資産を次世代にスムーズに引き継ぐためには、制度理解と計画が必須です。

2. 生前対策の基本と島ならではの注意点

2.1. 遺言書・公正証書遺言の意義

　遺言書は、生前対策の最も基本的な手段です。特に島の不動産（住宅、土地など）を相続するとき、遺言があれば将来的なトラブルを大きく減らせます。
　公正証書遺言を作成することで、遺言内容の信頼性を高め、公証人役場を通じて法的な形式を確実に整えることが可能です。

2.2. 贈与による節税と移転

　生前贈与は相続税対策として非常に有効です。例えば、暦年贈与（年間110万円まで非課税）などを活用すれば、少しずつ資産を子や孫に移す方法があります。
　また、相続時精算課税制度も選択肢のひとつですが、利用には注意が必要です。制度の選び方、実行のタイミングには専門家のアドバイスが役立ちます。

2.3. 事業承継の制度（経営承継円滑化法など）

　事業を営んでいる場合、単純な贈与や遺言だけでなく、経営承継円滑化法を活用した制度設計も視野に入れるべきです。香川県でもこの制度が整備されており、贈与税・相続税の猶予制度があります。
　また、後継者が遺留分や遺産分割で揉めないよう、家族間で早めに対話し、信託や合意を組み込んだ設計も有効です。

3. 空き家活用と相続登記：島における具体的対策

3.1. 空き家バンクと終活ガイドブックの活用

　土庄町の 空き家バンク制度 は、空き家を他者に譲渡したり活用したりするための有効なツールです。
　加えて、町が公表している「終活ガイドブック」は、生前整理や相続、不動産活用の具体案や手続きの流れ、注意点などをまとめています。
　ガイドブックを活用しながら、相続人・不動産所有者としての計画を早期に立てておきましょう。

3.2. 相続登記義務化と登記手続きの流れ

　2024年4月から相続登記が義務化されました（全国）。島内の不動産も例外ではなく、相続発生後3年以内の登記申請が求められます。
　手続きでは、相続人の確定、戸籍・住民票の収集、不動産評価証明書の取得などが必要です（島特有の事情として、土地利用・評価の確認や所有者調査が重要になる可能性あり）。

3.3. 配偶者居住権・小規模宅地等特例などの税制活用

　相続時には、配偶者居住権制度を活用することで、配偶者が亡くなった後も島の自宅を一定条件で無償使用できる可能性があります。香川県のガイドでも言及あり。
　さらに、小規模宅地等の特例を使えば、一定の宅地（居住用など）の評価額を大幅に引き下げることが可能で、相続税負担を軽くできるケースがあります。専門家と相談して、適用可否を確認しましょう。

4. 専門家に相談するタイミングと活用先

4.1. 土庄町近隣・香川県内の税理士・司法書士・弁護士

　生前対策を進めるには、税理士、司法書士、弁護士などの専門家の力が不可欠です。香川県には、相続・生前対策に強い税理士が複数存在します。
　また、相続トラブルや登記手続き、遺言作成に関しては司法書士・弁護士の相談も重要です。香川県／土庄町では、無料法律相談制度が用意されており、町が主催する法律相談を利用するのも有効です。

4.2. 無料相談制度の紹介（法律相談など）

　土庄町では、香川県弁護士会による無料法律相談が定期的に行われています。相続・生前対策・遺言など、気になるテーマを相談できます。
　相談を通じて、自分の資産状況や家族構成に応じた具体的な対策案を立てるきっかけにしましょう。

5. ケーススタディ：島暮らし・島資産を見据えた生前対策

5.1. 高齢夫婦が自宅をどう残すか

　島に住む高齢夫婦が、自宅を子ども（島内／島外）に残す場合。遺言書で具体的に相続を定め、なおかつ配偶者居住権を活用すれば、配偶者が住み続けながら資産移転もスムーズに進められます。

5.2. 子どもが島外に住んでいる場合の相続対策

　たとえば、子どもが島外に住んでいても、小規模宅地特例や暦年贈与を通じて土地・住宅の相続に備えることが重要。さらに、相続人間で価値観や希望をきちんと話し合うために、家族で終活ミーティングを持つのも有効です。

5.3. 島内事業者の株式・資産承継策

　小豆島（特に土庄町）で個人事業や中小企業を営んでいる方は、経営承継円滑化法を使った贈与／相続スキームを組むことで、贈与税・相続税の負担を抑えながら、事業を次世代に引き継ぐことが可能です。さらに、信託（家族信託）を活用して、経営権と所有権を分ける構造を作る選択肢もあります。

6. まとめと行動のステップ

1. 現状を整理する：資産（不動産、預貯金、事業など）、相続人、希望や想いを明確に。
2. ガイドブック・制度を活用：土庄町の終活ガイドブック、空き家バンク、香川県の相続制度をチェック。
3. 遺言／贈与の計画を立てる：遺言書作成、公正証書利用、暦年贈与など専門家と相談。
4. 相続登記を忘れずに：義務化を踏まえ、3年以内に登記手続きの準備を。
5. 専門家相談の活用：無料法律相談、税理士・司法書士との面談を通じて具体策を練る。

よくある質問（FAQ）

Q1. 空き家バンクを利用すると相続税が減りますか？
A1. 空き家バンク自体は売買・譲渡の仕組みですが、活用によって所有不動産を処分・譲渡すれば、相続時の評価額や将来の固定資産税コストを減らすことにつながる可能性があります。

Q2. 相続登記を放っておくとどうなりますか？
A2. 2024年4月以降、相続登記は義務化されており、期限を過ぎた場合の罰則規定はないものの、将来的なトラブル（相続人不明、名義不明地の発生、売却困難など）リスクがあります。

Q3. 経営承継円滑化法を使うには何が必要ですか？
A3. 非上場企業の場合、都道府県知事の認定が必要で、金融支援や税制優遇を受けられます。香川県では申請が可能で、制度を活用するには早めの申請・計画が有利です。

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