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【第3回】該当ありの照会結果~生命保険の契約が見つかった後の手続きと注意点~

2025年10月01日

「生命保険契約照会制度」で保険契約の存在が判明した――。これは相続人にとって大きな第一歩ですが、ここからが本番です。どのように保険会社に連絡し、必要書類を揃え、保険金の請求に至るのか。手続きを誤ると、余計な時間と手間がかかるばかりか、場合によっては請求権を失ってしまうことも。この最終回では、照会後に「該当あり」の結果が出たときの対応を、実務の視点からわかりやすく解説します。

【目次】

  1. 「該当あり」の照会結果が届いたら
  2. 保険会社への連絡と確認事項
  3. 保険金請求に必要な書類と手続き
  4. 相続手続きとの関係と注意点
  5. よくあるトラブルと対処法
  6. まとめ:確実な請求で大切な保険を受け取るために
  7. 【CTA】相続手続きの専門家に相談して、確実な受け取りを

1. 「該当あり」の照会結果が届いたら

 照会結果に「該当あり」と記載されている場合、被相続人が1社以上の生命保険に加入していたことになります。通知には、以下のような情報が記載されています:

  • 保険会社名
  • 契約の有無(該当の有無)
  • 担当窓口の連絡先

 なお、具体的な契約内容(契約金額や受取人など)は記載されていません。詳細を知るには、記載された保険会社に個別に連絡する必要があります。

2. 保険会社への連絡と確認事項

 照会結果を受け取ったら、まずは保険会社に電話や書面で連絡を取りましょう。その際には、以下の点を確認します:

  • 契約者・被保険者・受取人の氏名と一致の有無
  • 契約内容(保険金額、保険の種類、満期や解約の状況)
  • 必要書類の一覧
  • 請求期限(時効)

時効に注意!

 生命保険金の請求権は、原則として3年で時効を迎えます(商法第95条)。死亡から3年が経過すると、保険金の請求ができなくなる可能性があるため、速やかな対応が重要です。

3. 保険金請求に必要な書類と手続き

 保険会社によって若干の違いはありますが、一般的に必要とされる書類は以下の通りです:

  • 死亡診断書または死体検案書のコピー
  • 被保険者の住民票除票
  • 請求者(受取人)の本人確認書類
  • 戸籍謄本(関係性を証明するため)
  • 保険証券(ある場合)

 これらの書類を提出後、内容に不備がなければおおよそ1~2週間程度で保険金が支払われることが多いです。

4. 相続手続きとの関係と注意点

【保険金は原則として「相続財産」ではない】

 生命保険金は、契約時に指定された「受取人」に直接支払われるため、原則として遺産分割協議の対象にはなりません。つまり、受取人が指定されている場合は、その人の「固有の財産」となります。

 ただし、次のような例外には注意が必要です:

  • 受取人が「相続人」などとしか記されていない場合:法定相続人全員が対象となり、相続財産として扱われる可能性があります。
  • 受取人がすでに亡くなっていた場合:保険会社との調整が必要になり、再度請求者の確定が求められます。

5. よくあるトラブルと対処法

 生命保険の請求をめぐっては、以下のようなトラブルも散見されます:

  • 保険契約が失効していた
  • 保険証券が見つからず、契約の詳細確認に時間がかかる
  • 受取人が不明確で、家族間で争いが生じる
  • 必要書類がそろわず、請求手続きが止まる

 このような事態を防ぐには、生命保険契約照会の段階から、専門家と連携して進めることが有効です。司法書士や行政書士、相続に強い専門家に早期相談することで、手続きの不備やトラブルを未然に防げます。

6. まとめ:確実な請求で大切な保険を受け取るために

 生命保険契約照会制度は、相続人にとって重要な「気づき」のきっかけを与えてくれる制度です。しかし、照会で「該当あり」となっても、そこから保険金を受け取るには多くの確認と手続きが必要です。

  • 速やかな保険会社への連絡
  • 書類の正確な準備
  • 相続手続きとの整合性確認

 これらを一つずつ丁寧に進めることが、トラブルを防ぎ、確実に保険金を受け取る鍵となります。

【CTA】専門家と一緒に、確実な保険金の受け取りを

生命保険の請求は、相続の一部にすぎません。その後の不動産名義変更、遺産分割協議、相続税の申告など、多くのステップが控えています。

当事務所では、相続全般にわたるご相談を受け付けております。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

※ノウハウを教えてほしいという相談にはお答えできません。

アイリス国際司法書士・行政書士事務所
司法書士・行政書士 橋本大輔
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