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【第1回】戦後日本における相続制度の転換とGHQの影響

戦後の日本社会における相続制度の変化は、単なる法律改正にとどまらず、価値観や財産構造そのものに大きな影響を与えてきました。特にGHQの占領政策を契機に、戦前までの家制度を支えていた家督相続制度が廃止され、個人単位での法定相続制度へと転換したことで、相続をめぐる諸問題が複雑化しました。本記事では、この転換点を歴史的背景とともに詳しく解説し、現代にまで続く制度的課題について考察します。
■目次
1.戦前の家督相続制度とは
2.GHQ占領政策の概要とその目的
3.民法改正と家制度の廃止
4.財産分散のはじまり
5.相続制度の変化がもたらした社会的影響
1.戦前の家督相続制度とは

戦前の日本においては、「家」単位での財産管理が中心でした。家長が全財産を一手に管理し、死後には長男など特定の家督相続人がそのまま全財産を承継する「家督相続制度」が存在していました。これは個人の財産権よりも、家の維持・存続を優先する制度であり、農地や不動産を守る役割も果たしていました。
2.GHQ占領政策の概要とその目的
第二次世界大戦後、連合国による日本の占領統治が始まり、GHQ(連合国軍総司令部)は戦前の日本社会の改革に着手します。財閥解体、農地改革、教育改革などと並び、家制度の撤廃もその一環でした。GHQの思想的根底には、特定の家や階級が富を独占することを避け、民主的な個人単位の社会構造を築こうとする意図がありました。
3.民法改正と家制度の廃止
1947年の民法改正により、家制度が正式に廃止され、相続制度も個人単位の「法定相続制度」へと大きく舵を切ります。これにより、長男に限らずすべての子や配偶者に均等な相続権が与えられることになり、財産が複数人に分割される「財産の分散」が制度上生じるようになりました。
4.財産分散のはじまり

法定相続制度の導入により、農地や自宅など分割の難しい資産までもが相続人間で共有・分割されるようになります。これによって、土地の細分化や売却による換金が相次ぎ、戦前のような「代々続く地主」や「資産家」の存続が難しくなっていきます。これが、後の空き家問題や農地放棄地問題の遠因ともなっています。
5.相続制度の変化がもたらした社会的影響

家督相続制度が廃止され、法定相続制度が導入されたことで、確かに個々の相続人の権利は保護されるようになりました。しかしその一方で、財産の継承がスムーズにいかず、家庭内の争い(争続)が増えたり、税負担に耐えられない相続人が不動産を手放したりする事態も発生しています。さらに、誰も引き取り手のない不動産が増え、地方では空き家問題が深刻化しているのが現状です。
■まとめ
戦後の民法改正は、日本社会に個人主義と平等の価値観を浸透させる契機となりましたが、同時にそれまで機能していた家制度的な相続の安定性を失わせる側面もありました。この第1回では、その歴史的背景と制度転換の過程を概観しました。次回は、農地改革や財閥解体によって広がった財産分散とその副作用について深掘りしていきます。

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