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【第1回】なぜ遺言書が必要なのか?〜行方不明者や協力拒否の相続人がいる場合〜

2025年10月10日

相続手続きでは「遺産分割協議」が必要ですが、すべての相続人の協力が得られないと、手続きが前に進まなくなるリスクがあります。特に、行方不明者がいる場合や、感情的に対立している相続人が協議に応じてくれないケースでは、相続財産を動かすことが極めて困難になります。本記事では、こうした実務上の問題点を解説し、遺言書の持つ力とその重要性について具体例を交えながらご紹介します。トラブルを未然に防ぎたい方、相続に不安を抱えている方はぜひご一読ください。

【目次】

  1. 相続は「全員の同意」が必要
  2. 実務でよくある2つの困難なケース
  3. 行方不明の相続人がいる場合の法的対応
  4. 感情的に協力が得られない相続人の存在
  5. 遺言書があることで何が変わるのか
  6. 書くなら「公正証書遺言」を
  7. まとめ:リスクに備える遺言のすすめ
  8. 【無料相談実施中】あなたの相続、今のうちに備えませんか?

1. 相続は「全員の同意」が必要

 相続が発生した後、遺言がなければ相続財産は法定相続人の共有状態となります。この状態を解消するには、「遺産分割協議」が必要ですが、これは相続人全員の合意が必要という点が極めて重要です。
 1人でも署名・押印しなければ、協議は成立しません。すなわち、たった1人の行動が、すべての手続きに影響を及ぼすのです。

2. 実務でよくある2つの困難なケース

 遺産分割協議ができない典型的な2つのケースをご紹介します。

  • ケース1:行方不明の相続人がいる
    長年音信不通だった兄弟、海外に移住して連絡が取れない親戚などが該当します。
  • ケース2:感情的に対立している相続人が協議に応じない
    離婚後に親と疎遠になった子どもなど、法的には相続人でも、協力を得るのが難しいケースです。

 このような状況では、相続登記ができず、預貯金の解約もできず、財産の凍結状態が続きます。

3. 行方不明の相続人がいる場合の法的対応

 行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます。さらに、7年以上消息がつかめない場合は、「失踪宣告」の制度を使うこともできます。
 しかし、これらは時間と費用がかかり、また裁判所の判断も絡むため、速やかな相続手続きとは言えません。対策をしないまま相続が発生すると、想定外の手間とストレスを強いられるのが現実です。

4. 感情的に協力が得られない相続人の存在

 例えば、再婚した親とその前配偶者との子ども。親と長く交流がなく、感情的なしこりがある場合、たとえ連絡が取れても、遺産分割協議に協力してくれないことがあります。
 「遺留分の請求」などの権利行使をするケースもありますし、最悪の場合、弁護士を通じた交渉や調停にまで発展することもあります。円満な相続のためには、事前に協議の必要性を排除できる手段が重要なのです。

5. 遺言書があることで何が変わるのか

 これらの問題に対して有効なのが、「遺言書」です。
 遺言書で「誰にどの財産を相続させるか」を明記しておけば、遺産分割協議そのものが不要になります。すなわち、他の相続人の同意を得る必要がないのです。
 行方不明者がいても、感情的対立があっても、遺言書があれば単独で手続きが進められるのは、非常に大きなメリットです。

6. 書くなら「公正証書遺言」を

 遺言書にはいくつかの形式がありますが、最もおすすめなのは「公正証書遺言」です。
 これは公証役場で作成され、原本が保管されるため、偽造・紛失のリスクがなく、家庭裁判所の検認も不要です。手続きもスムーズで、信頼性が高いため、実務上も多くの専門家が推奨しています。

7. まとめ:リスクに備える遺言のすすめ

相続は、思わぬところで手続きが止まることがあります。
行方不明の兄弟、疎遠な子ども、協力的でない親族…。
どれも珍しくない現実だからこそ、遺言書という「備え」が力を発揮します。

自分が亡くなった後に、残された家族が困ることがないように。
そして、大切な財産が円滑に承継されるように。
元気なうちに、「未来への手紙」としての遺言書を準備しておきましょう。

【無料相談受付中】

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行方不明者への対応、感情的対立を見越した相続対策、遺言書の種類の選び方まで、実務経験豊富な司法書士が丁寧にサポートいたします。

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