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【第5回】遺言がある場合の相続人調査のポイント ~「遺言があるから安心」では済まない、相続登記での注意点~

「親が公正証書遺言を残していたから、相続手続きは簡単だろう」と安心している方は多いかもしれません。
確かに、遺言書があることで遺産分割協議が不要となるケースもありますが、相続人調査そのものが不要になるわけではありません。
特に相続登記を行う際は、たとえ全財産を特定の人に相続させる遺言が存在していても、他の相続人の有無を確認し、その範囲を確定する必要があります。
この記事では、遺言がある場合における相続人調査の具体的なポイントや注意点、遺言の種類ごとの扱いの違いについて、司法書士の立場から解説します。
■ 目次
- 遺言書があると遺産分割協議は不要になる?
- 相続人調査が必要な理由とは
- 遺言の種類と効力の違い
- 公正証書遺言と相続登記の関係
- 自筆証書遺言・秘密証書遺言の注意点
- 相続人に廃除や相続欠格者がいる場合
- 遺留分と登記の関係
- 実務でよくある誤解とトラブル例
- まとめ:遺言があっても、相続人調査は「必須」
- アイリス国際司法書士事務所からのご案内(CTA)
1. 遺言書があると遺産分割協議は不要になる?

一般に、法的に有効な遺言書がある場合、その内容に従って相続手続きを行うことができます。
たとえば、「全財産を長男に相続させる」と記された公正証書遺言があれば、遺産分割協議を行わずとも長男単独で登記が可能となります。
ただしそれは、相続人の存在が明確であることが前提です。
遺言があっても相続人の存在を明らかにするための調査――すなわち戸籍収集などは必要となるのです。
2. 相続人調査が必要な理由とは

相続登記の際には、「この遺言書に書かれている人物以外に法定相続人がいない」ことを客観的に証明する必要があります。
そのため、遺言書の有無にかかわらず、以下の調査は必須です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得
- 相続人全員の戸籍・除籍・改製原戸籍の確認
- 相続関係説明図の作成
これは、後から相続人が現れて登記を無効にされるリスクを防ぐための重要なステップです。
3. 遺言の種類と効力の違い
遺言には以下の3種類があります。それぞれに効力の強さと登記時の手続きの手間が異なります。
- 公正証書遺言:公証人が関与するため、形式的な不備がなく、家庭裁判所の検認も不要。登記手続きがスムーズ。
- 自筆証書遺言:本人の手書き。法改正により一部パソコン印字も可能になったが、家庭裁判所の検認が必要。
- 秘密証書遺言:存在は証明されるが内容は秘密。利用は少なく、登記には検認を経たうえで遺言内容の確認が必要。
4. 公正証書遺言と相続登記の関係
最もスムーズに相続登記が可能なのが公正証書遺言です。
登記申請時には以下の書類が必要となります。
- 公正証書遺言(原本と謄本)
- 被相続人の出生~死亡までの戸籍
- 相続人の住民票・印鑑証明書など
- 不動産の固定資産評価証明書など
このように、公正証書遺言があっても、戸籍調査や書類の収集は必須となります。
5. 自筆証書遺言・秘密証書遺言の注意点

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所での「検認」手続きを経なければ、登記申請に使うことができません。
さらに、記載内容に曖昧さがある場合には、遺産分割協議が必要になるケースもあります。
また、法的に無効と判断されることも多いため、事前の確認が大切です。
6. 相続人に廃除や相続欠格者がいる場合
遺言書によって特定の相続人を「廃除」することも可能ですが、家庭裁判所の審判を経なければ効力は生じません。
また、法律で相続欠格に該当する行為があった相続人がいても、その事実を証明する戸籍や資料の収集が求められます。
つまり、どのような事情があっても、登記手続きには相続人の全体像の把握が欠かせないのです。
7. 遺留分と登記の関係
たとえ遺言書が「全財産をAに相続させる」としていても、他の法定相続人には遺留分侵害額請求をする権利があります。
ただし、これは登記に直接影響するものではなく、後日民事紛争となる可能性があります。
登記の時点では、請求の有無にかかわらず、遺言の内容に沿って進めることは可能です。
8. 実務でよくある誤解とトラブル例

- 「遺言書があるから他の兄弟の戸籍は不要」と思い込み、登記申請時に却下された
- 自筆証書遺言に不備があり、遺産分割協議が必要になった
- 廃除された相続人の証明書類が不十分で、申請を受理してもらえなかった
このように、「遺言があるから大丈夫」と安易に考えてしまうと、却って手続きが長引くケースが少なくありません。
9. まとめ:遺言があっても、相続人調査は「必須」
相続登記義務化の時代において、遺言書は相続手続きを簡素化する強力なツールですが、それでも戸籍を通じた相続人調査を省略することはできません。
誤解やトラブルを防ぐためにも、遺言の有無に関係なく、相続人の範囲を正確に把握する手続きが必要であることを、ぜひ覚えておいてください。

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