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【第3回】こんな時に活用できる! ~所有不動産記録証明制度の具体的な利用場面と留意点~

2026年2月に導入される「所有不動産記録証明制度」は、相続や成年後見、不動産調査の現場で活用が期待される新制度です。全国の登記簿から対象者が名義人として登記されている不動産の情報を一括で確認できる制度であり、登記所ごとの照会を不要にする点が画期的です。
本シリーズの第1回では制度の概要を、第2回では具体的な申請方法や必要書類について解説してきました。最終回となる今回は、「この制度をいつ・どんなときに活用すればよいのか?」という視点から、典型的な利用場面を整理するとともに、制度利用上の注意点や他制度との違いも解説します。
◆目次
- 利用場面①:相続発生後の遺産調査
- 利用場面②:成年後見人による財産把握
- 利用場面③:相続放棄の判断材料として
- 利用場面④:遺言執行の際の不動産確認
- 他制度(名寄帳・固定資産課税台帳)との違い
- 制度利用にあたっての注意点
- まとめ
1. 利用場面①:相続発生後の遺産調査

被相続人の財産のうち、不動産は重要な資産ですが、相続人が全ての所在を把握していないことも少なくありません。
この制度を使えば、被相続人の名義で登記されている不動産を全国から一括で洗い出すことが可能となります。
特に、遠方に不動産がある可能性があるケース(出身地に空き家がある、転勤が多かった等)では非常に有効です。
2. 利用場面②:成年後見人による財産把握
成年後見人が就任した際には、被後見人の財産目録を作成し、定期的な報告義務があります。
所有不動産記録証明を取得することで、登記簿上の所有不動産を短期間で網羅的に確認することができ、財産の漏れや調査ミスを防げます。
この制度は「財産管理を適切に行うためのスタート地点」としても有効で、今後の後見業務の基盤整備に資するものです。
3. 利用場面③:相続放棄の判断材料として

相続放棄は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。その間に財産内容を精査する必要があるものの、預貯金や不動産の情報収集は容易ではありません。
所有不動産記録証明制度を活用すれば、不動産に関しては網羅的に状況を把握できるため、他の財産とあわせて「相続すべきか否か」の判断材料になります。
4. 利用場面④:遺言執行の際の不動産確認
遺言書に「全ての不動産をAに相続させる」といった記載がある場合、執行者はその不動産を特定して相続登記等を行う必要があります。
この制度を使えば、故人の不動産を全国一括で洗い出せるため、遺言の内容を正確に執行するための基礎資料となります。
5. 他制度(名寄帳・固定資産課税台帳)との違い
不動産の所在を調べる手段として、以下のような制度もありますが、それぞれに限界があります。

所有不動産記録証明制度は、登記簿に記録された情報を法務局本局が一括で確認するため、精度と効率性が極めて高いのが特徴です。
6. 制度利用にあたっての注意点
- 未登記不動産は対象外:登記されていない山林や私道などは反映されません。
- 過去に所有していた不動産は対象外:既に売却済の不動産情報は出てきません。
- 共有名義の場合も表示される:共有者の1人であっても記録に記載されます。
- 住民票の記載住所と登記住所が異なる場合:過去の住所を基に登記されている場合、照会が通らない可能性があります。
これらの点を踏まえ、証明書取得後には、個別の登記事項証明書での詳細確認が不可欠です。
7. まとめ
所有不動産記録証明制度は、特に相続や成年後見の現場で非常に有用な制度です。全国一括照会が可能という利点は、これまでの不動産調査の労力や時間を大幅に削減します。
ただし、制度には対象となる不動産の範囲や申請時の注意点もあるため、正しく使いこなすためには一定の知識が必要です。
「自分たちで調べるのは不安」「専門家に任せたい」という方は、司法書士などのプロに相談することをおすすめします。

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