香川県の相続手続きで、見落としがちな"落とし穴"に気づいていますか?登記・相続税・遺産分割で後悔しないために、香川県 高松市の司法書士・税理士による無料相談会(毎月第3水曜開催)でプロに相談しましょう。90分対応・完全予約制。
【第3回】「こんなはずじゃ…」を防ぐ!相続で困らないためのデジタル遺産・生前整理術 ~ネット銀行、仮想通貨、サブスク…今からできる7つの備え~

近年、ネット完結型の金融サービスやサブスクリプションの普及により、「デジタル遺産」の相続問題が急増しています。特に、ネット銀行や仮想通貨、クラウドサービスの契約情報は紙の通帳も郵便も残らず、家族に気づかれないまま放置・消滅するリスクがあります。
「自分が亡くなった後、家族が困るのではないか」と心配している方は、生前の備えがとても重要です。
この記事では、相続トラブルを防ぐために、生前から取り組める「デジタル遺産整理」の実践方法を7つご紹介します。
目次
- デジタル遺産とは?生前整理の必要性
- 財産リストを作成する(紙またはデジタル)
- ログイン情報の管理・共有方法
- サブスクリプション契約の整理
- クラウド・ストレージの使い方と整理方法
- 家族への伝え方の工夫
- 任意後見・遺言書との連携
- まとめ:整理は「自分のため」「家族のため」
1. デジタル遺産とは?生前整理の必要性

「デジタル遺産」とは、ネット上に存在する資産や権利、契約情報のことを指します。例としては以下のようなものがあります:
- ネット銀行・ネット証券の口座
- 仮想通貨(暗号資産)
- PayPay・LINE Payなどの残高
- 有料サブスクリプション契約(Netflix、Apple Musicなど)
- クラウドストレージ(Google Drive、iCloud、Dropboxなど)
- SNSアカウントや電子書籍などの非金銭的資産
これらは**通帳も請求書も届かないため、遺族に気づかれず消失することも珍しくありません。**だからこそ、生前から「見える化」しておく必要があります。
2. 財産リストを作成する(紙またはデジタル)

まず第一にやるべきは、財産の一覧を作ることです。
ネット銀行や暗号資産などは、銀行名や取引所名だけでも記録しておくと、相続人がスムーズに調査できます。
【財産リストの例】

形式は手書きでもExcelでも構いませんが、定期的に更新し、存在を家族に伝えることが重要です。
3. ログイン情報の管理・共有方法
ネットサービスにはログインIDとパスワードが不可欠ですが、「家族にすべて教える」のは心理的ハードルが高いものです。そこで活用したいのが以下の方法です:
● パスワード管理アプリ
1Password、KeePass、LastPassなどのアプリにすべて登録し、マスターパスワードだけを家族に伝えることで、一定のプライバシーを保ちながら共有が可能です。
● 紙のリスト+封筒保管
IDとパスワードを書いたリストを封筒に入れて信頼できる人に預ける、または自宅金庫に保管する方法も。
「死後開封可」「○○の机の引き出しにある」などのメモを残しておくと確実です。
※エンディングノートなどにまとめておくと便利です。
4. サブスクリプション契約の整理

サブスクは放置すると、死亡後も自動的に課金が続きます。
特にApple IDやGoogleアカウントに紐づいているものは、家族がすぐに解約できないことも多いため、契約一覧を作っておくことが有効です。
また、「使っていないサブスクは今のうちに解約する」こと自体が整理にもなり、節約にもなります。
5. クラウド・ストレージの使い方と整理方法
Google DriveやiCloudなどに「大切な書類」「契約書のスキャンデータ」などを保存している方は、フォルダを分かりやすく整理し、「ここを見るとわかる」状態にしておくと安心です。
例:
- 「財産_一覧.xlsx」
- 「遺言書(下書き).pdf」
- 「暗号資産_口座情報」
Googleには「アカウント無効化管理ツール」という機能があり、一定期間ログインがなかった場合に、指定の家族へ通知・共有ができる仕組みがあります。
6. 家族への伝え方の工夫

「死ぬ準備をしていると思われたくない」「あまり重くならずに伝えたい」——そんな方は、「もしもの時ファイル」「デジタル遺産ノート」などを作り、"家族へのメッセージ"として伝える形が有効です。
例えば、
- スマホに「デジタル資産ノート」という名前で保管
- エンディングノートの1ページにネット口座のメモを記載
- 「メールが来たら開けて」などの伝言をしておく
など、小さな一歩でも大きな助けになります。
7. 任意後見・遺言書との連携
認知症や突然の事故に備えて、任意後見契約や遺言書に「デジタル資産に関する条項」を盛り込んでおくと、相続人がスムーズに手続きできるようになります。
- 遺言書に「ネット証券は○○証券で、IDは〇〇、パスワードは別紙参照」と明記
- 任意後見人に「ネット口座の管理権限」も委任
- 成年後見制度と連動して、クラウドにアクセスする権限を確保
など、司法書士に相談しておくことで、"見落とされない財産"として明文化できます。
まとめ:整理は「自分のため」「家族のため」
デジタル遺産の生前整理は、単に家族のためだけでなく、自分自身の人生や資産を見直す良い機会でもあります。
- 財産の全体像が把握できる
- 不要な契約を見直せる
- いざという時に家族が困らない
今やっておけば、「いざ」という時に"ありがたかった"と言われる備えになります。

次回(第4回)は、**「デジタル遺産と法的トラブル」**をテーマに、家族間での争いや、アクセスに関する法律問題、放置された資産の消滅リスクなどを詳しく解説します。
最新のブログ記事
近年、ネット完結型の金融サービスやサブスクリプションの普及により、「デジタル遺産」の相続問題が急増しています。特に、ネット銀行や仮想通貨、クラウドサービスの契約情報は紙の通帳も郵便も残らず、家族に気づかれないまま放置・消滅するリスクがあります。
相続が発生した後、相続人が直面するのが「財産の全体像が把握できない」という問題です。特に近年では、ネット銀行や仮想通貨、オンライン証券、各種サブスクリプションなど、通帳や書類が一切ない**デジタル遺産(デジタル資産)**の存在が、相続手続きを困難にしています。
インターネットが生活に浸透した現代、相続財産の中身も大きく様変わりしています。かつては預貯金や不動産、株式といった"目に見える"資産が中心でしたが、近年では通帳も契約書類もない「ネット完結型」の資産――すなわち**デジタル遺産(デジタル資産)**が急増しており、相続時の財産調査や手続きが非常に困難になりつつあります。

