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【第2回】「正論は後出し」が信頼を生む ~伝え方の順番を変えるだけで関係性は変わる~

「正しいことを言っているはずなのに、なぜか相談者の反応がよくない」「誠実に説明しても、納得してもらえない」。
そんな悩みを持つ士業や専門家の方は少なくありません。
前回の記事(【第1回】正しいことを言っているのに、なぜ届かない?)では、正論が時として相談者との間に"壁"をつくってしまう理由を解説しました。
今回は続編として、「伝え方の順番を少し変えるだけで、関係性がスムーズになる」方法をご紹介します。
正しいことは、タイミングと順序を工夫して伝えることで、初めて相談者の心に届きます。
そのための"ちょっとした技術"を、実際の相談対応での実感を交えながらお話ししていきます。
■目次
- いきなり「正論」で入ると損をする理由
- まずは「その人の世界」に入る
- 「聞く→共感→整理→提案」の流れが鉄則
- 正論は"後出し"が一番効果的
- 相談者の心に届く"正しさ"の伝え方とは
- 次回予告:第3回では「専門家としての信頼の築き方」へ
1. いきなり「正論」で入ると損をする理由

相談者が話し始めて数分で、「それは〇〇ですから、こうすればいいですよ」と答えたことはありませんか?
法律上は明確で、解決策も単純に見える。だから、つい最短ルートを教えたくなる…。
しかし、それは**「相談者の納得プロセス」を飛ばしてしまっている**ことが多いのです。
いきなり「正論」を提示すると、
- 「上から目線だ」と受け取られてしまう
- 「自分の話をちゃんと聞いてくれなかった」と不満が残る
- 「この人には相談しにくい」と距離を取られてしまう
こうしたリスクがあります。専門家としては「間違っていない」のに、結果的に損をしてしまうのです。
2. まずは「その人の世界」に入る

相談者が語る内容には、事実と感情が混ざり合っています。
ここで大切なのは、**"まずは相談者の世界に入る"**こと。つまり、「その人が見ている景色」に寄り添うことです。
たとえば、「兄が勝手に不動産を使っていて納得できない」という相談があったとしましょう。
専門家としては、「登記名義や法的権利関係はどうか」をすぐに考えたくなります。
しかし、まずは「どうして納得できないのか」「その背景にはどんな経緯があったのか」をじっくり聞くことが大切です。
「それは腹が立ちますよね」「突然そんなことをされたら、不安にもなりますよね」
そうした言葉を返すことで、相談者は「この人はわかってくれている」と感じ始めます。
3. 「聞く→共感→整理→提案」の流れが鉄則

私が相談対応で意識しているのは、次の4ステップです。
①聞く(傾聴)
相手が話し終えるまで遮らず、まずは聴く姿勢を見せる。
②共感する(感情に寄り添う)
「それは大変でしたね」「わかります」など、共感の言葉を添える。
③整理する(事実の把握)
感情が落ち着いた後で、状況を客観的に整理し、相談者にも再確認してもらう。
④提案する(正論の提示)
ここで初めて、法律や制度に基づく"正しい対応"を説明する。
この順番を守るだけで、伝わり方が格段に違います。
正論が「押しつけ」ではなく、「頼れる提案」として受け止められるようになります。
4. 正論は"後出し"が一番効果的

正論は「武器」にもなりますが、「タイミングを間違えると凶器」にもなります。
だからこそ、「後出し」こそが最大の効果を発揮するポイントなのです。
たとえば、相談者が長年もめてきた家族との相続問題について、感情を吐き出したあとに、
「今のお話をふまえて、法律上の整理はこうなります。実はこうした方法も考えられるんですよ」
と伝えると、相談者の受け止め方はまるで違ってきます。
「正論」ではなく、「選択肢のひとつ」として提示することで、
"決めるのはあなたです"というスタンスを取れるのも、信頼を得る大きな要素です。
5. 相談者の心に届く"正しさ"の伝え方とは
「正しいこと」は、実は一番最後に伝えるほうが効果的。
しかも、それは"答え"としてではなく、**"整理された選択肢の一つ"**として提示されると、相談者は主体的に動くようになります。
正論を信じることは大切です。ですが、それを「伝える順番」「伝え方の形」に工夫を加えることで、相談者にとっての「意味ある正しさ」に変わります。
つまり、正論を活かすには、あえて後回しにする勇気が必要なのです。
6. 次回予告:第3回では「専門家としての信頼の築き方」へ
次回の第3回では、「では、正論も伝えたうえで、どのように"専門家としての信頼"を積み上げていくのか?」についてお届けします。
正論を活かすには"人間関係"が欠かせません。信頼される司法書士になるために、
日々の相談対応でできること、信頼を育てる言葉づかいや距離感について、私の実践をベースにまとめていきます。

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