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【第1回】なぜ空き家が増えるのか? 〜現状と背景を読み解く〜

2025年09月15日

「空き家問題」「空き家の増加」「空き家のリスク」といったキーワードが、ニュースや自治体の広報紙などで頻繁に登場するようになりました。
日本全国で年々増加している空き家は、地域の景観悪化や防災・防犯の面でも深刻な問題を引き起こしています。では、なぜこれほどまでに空き家が増え続けているのでしょうか?

本記事では、「空き家が増える理由」や「空き家の現状と統計」、「空き家がもたらす社会的影響」などについて、司法書士の視点も交えながら分かりやすく解説します。
これから5回にわたり、空き家問題の原因と対策、成功事例までをシリーズ形式で取り上げていきます。第1回目の今回は、「空き家がなぜ増えているのか」という根本的なテーマを掘り下げてみましょう。

目次

  1. 空き家とは?〜定義と種類を理解する〜
  2. 空き家が増加する背景
  3. 空き家増加の具体的な原因
  4. 空き家が地域社会に与える影響
  5. まとめ:空き家問題の第一歩は「理解」から

1. 空き家とは?〜定義と種類を理解する〜

 まず、「空き家」とは何を指すのでしょうか?
 総務省の住宅・土地統計調査では、空き家を以下の4つに分類しています。

  • ① 賃貸用の住宅(空室のアパート・マンション等)
  • ② 売却用の住宅(売りに出されている未入居住宅)
  • ③ 二次的住宅(別荘など、たまに利用する家)
  • ④ その他の住宅(誰も住んでおらず、用途もない住宅)

 このうち、特に問題視されているのが「④その他の住宅」、つまり完全に使われていない空き家です。これらは管理されずに放置されることで、地域にさまざまな悪影響を及ぼします。

2. 空き家が増加する背景

 空き家の数は年々増加しています。
 総務省のデータによると、平成30年時点で全国の空き家数は約849万戸、空き家率は**13.6%**に達しています。これはおよそ7〜8軒に1軒が空き家であることを意味します。

 特に地方都市や農村部では人口減少と高齢化が進み、住まなくなった家がそのまま残されるケースが増加しています。加えて、都市部でも相続や転居の後に処分されない空き家が目立ってきました。

3. 空き家増加の具体的な原因

(1)高齢化と単身世帯の増加

 高齢者が介護施設へ入所したり、亡くなった後に空き家となる例が多く見られます。特に独居高齢者が住んでいた住宅は、家族が引き継がず、そのまま放置されがちです。

(2)相続放棄や権利関係の複雑化

 不動産の相続は必ずしも歓迎されるものではありません。地方の築古物件や修繕が必要な住宅は、相続税の負担や維持管理の手間から「相続放棄」されることもあります。
 また、相続人が複数いて、登記手続きがされないまま放置される「所有者不明土地問題」も、空き家放置の一因です。

(3)住宅の過剰供給

 新築信仰が根強い日本では、新たな住宅が建てられ続けています。その一方で、既存の住宅ストックが活用されずに残され、空き家が積み上がっている状況です。

(4)売却・賃貸の困難さ

 築年数の経った住宅は、現行の建築基準を満たしていないこともあり、リフォーム費用がかさむため買い手がつきにくく、賃貸にも向かないケースがあります。
 また、立地が悪い、生活インフラが整っていない地域ではなおさらです。

4. 空き家が地域社会に与える影響

 使われなくなった空き家は、単に景観を損なうだけでなく、以下のようなリスクをもたらします。

  • 倒壊や老朽化による危険性
  • 不法侵入・放火・ごみの不法投棄など、治安の悪化
  • 害虫・悪臭・雑草繁茂による衛生問題
  • 地域の地価下落につながることも

 特に空き家の密集する地域では、「地域の負の資産」となってしまう恐れがあります。

5. まとめ:空き家問題の第一歩は「理解」から

 空き家問題は、単なる住宅の老朽化や放置だけの問題ではありません。
少子高齢化、都市と地方の格差、住宅市場の構造など、日本社会全体の課題が複雑に絡み合っています。

 だからこそ、まずは「なぜ空き家が増えるのか?」を正しく理解することが、今後の対策の第一歩です。
 次回は、**「空き家を放置するとどうなるか?」**について、法的なリスクや税制上の不利益を中心に解説します。
 ぜひ引き続きご覧ください。

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