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28:事前確認の大切さ

2023年07月03日

先日、とある方からの紹介で対応した案件がありました。ご依頼者の方は「いくらかかってもいいから、隣地を買いたい。」としきりにおっしゃられる方で、すでに市役所、裁判所の方に出向き、所有者不明土地・建物管理命令の書類を持参されていました。

依頼者の話では、市役所職員(具体的なお名前を言っていた)が、全員相続放棄しているので、申請は可能であると言っており、裁判所で書類をもらってきたとのことでした。しかし、所有者不明土地・建物管理命令では、管理人は保存行為・管理行為までしかできず、処分行為はできません。

処分行為までできるのは、不在者財産管理人・相続財産管理人の選任も視野に入れなければならないことを引継ぎで伝えられました。

相続人の調査が終盤に差し掛かったときに、相続放棄を本当にしているのか?どうやってそれを確認すればいいのかが問題になってきたのでご依頼者と一緒に市役所にいって、実際に聞いてみることにしました。事前の調べで、固定資産税の関係で相続放棄申述受理証明書などの提出がない限り、固定資産税免除はしないとのことでしたので、どうやって相続人が相続放棄したことを市役所が知ったのかを確認しました。市役所の担当者の方が言うには、相続放棄の書類を出してくれる方もいれば、出してくれない方もいらっしゃるので、公的機関の照会を使って調べていることがわかりました。

そこで、相続人に充てて手紙を書いても、出してくれない恐れがあるということや、そうなった場合、弁護士で対応していただくのがいいことを説明しました。

そもそも、今回の件で具体的な費用を説明していても、「いくらかかってもいいから。」とおっしゃる場面しか見たことがなかったので、予算としていくらぐらい想定しているのかを確認したところ、管理人選任をするには、少し不足している金額を提示されました。

知り合いの弁護士に連絡をして、市内で管理人選任をした場合の費用を聞き、解体業者に建物を解体する場合の費用を確認し、ご本人に伝えると「そんなにかかるの!それじゃやめます。」とのこと。

相続人の調査で戸籍が帰っていない市役所から連絡がタイミングよく入ってきたので、上記のことを伝え、すでに権限がなくなったので「職務上請求書」の返還をお願いいたしました。

結局、依頼者の言葉の真意をきっちり確かめることの重要性を身をもって思い知らされました。

※ご協力いただきました、先輩司法書士の皆様、そして弁護士の方、ありがとうございました。そして、ご迷惑をかけてすみませんでした。

記録として保存しておきます。