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25:先代名義の家屋の相続

2023年05月05日

 「先々代名義の家屋があるのだが、相続人の中に認知症の人がいて、遺産分割協議ができない。どうすればいいのか?」とのご相談を受けました。

 聞くと、家屋は今も手入れがなされており使用しているとのこと。壊して滅失登記を入れたくないとのことでした。

 現行の法令で行きますと、認知症の相続人に成年後見人を就けて、遺産分割協議をすればいいということになりますが、成年後見人を就けるとその方が亡くなるまで費用が発生してしまいます。

 そこで、令和6年4月1日から始まる相続登記義務化により運用が開始する「相続人申告登記」をご案内させていただきました。

国民生活センターHP引用
国民生活センターHP引用

 この相続人申告登記を申請は、対象の被相続人の戸籍とその相続人との関係がわかる戸籍を相続人の一人が代表で提出することで、登記官により付記登記で実行される登記で、相続登記の義務を免れる手法の一つです。当該不動産をその後処分する場合などは、相続登記をする必要性がありますが、相続登記義務化で発生する過料を免れるには、最適の方法だと考えました。その後、頃合いを見て、相続人間で遺産分割協議ができるタイミングで相続登記を申請することをアドバイスいたしました。

 来年にはなりますが、「あの家をまだ使える方法が見つかった。」と喜ばれていました。

(今後の課題)

※ちなみに、表題部しかない建物についても上記のような状態になっているケースを見ることがあります。

 通常は、数次相続が発生している場合には、現在の各相続人全員で遺産分割協議をしていただき承継する相続人を決めてもらったうえで、所有権保存登記を申請していただくのが一番いいやり方です

 しかし、相続人の方に認知症の方がいて遺産分割協議をするにも成年後見制度の利用に踏み切れない方がいた場合、所有権保存登記ができないため、権利部に登記がない状態ですので「相続人申告登記」は、直接することができません。なぜなら、付記登記で実行されるため、おおもとの権利部の登記がなければ付記登記はできないからです。

 この場合は、なかなか厄介な状況になると思います。所有権保存を数次相続後の現状の相続人で法定相続分により登記をした場合、その相続人の中で相続が発生すると、各々相続登記を申請しなければならなくなります。家督相続で次の代に引き継いでいても、すでにその方が亡くなっている場合には、その方名義での保存登記はできませんからね。先例で、共有の表題部所有者の一人が亡くなっている時は、亡くなった方名義を含めて保尊登記ができますが、単独名義の表題部所有者の次の代名義での保存登記は、先例がありません。この辺りを解決できる手順を構築すれば、さらに相談者のお役に立てることができると思いますので、調査していきたいと思います。