相続登記に関する登録免許税の減免措置終了についてのお知らせ
平素よりお世話になっております。アイリス国際司法書士・行政書士事務所から、相続登記に関する大切なお知らせをさせていただきます。
遺産の調査を行う際、特に不動産についての調査は重要です。不動産は高額な財産であり、相続手続きや分割の際に正確な把握が求められるからです。被相続人が所有していた不動産を正確に特定するには、固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書などの書類を使用して調査を進める必要がありますが、これらの書類だけでは不十分な場合もあります。今回は、現行の不動産調査の方法と、2026年2月に施行予定の「所有不動産記録証明制度」について解説します。
目次
1. 現行の不動産調査方法
2. 固定資産税評価証明書による調査
3. 所有不動産記録証明制度の導入
4. 相続登記義務化と不動産漏れの防止
5. まとめ
1. 現行の不動産調査方法
不動産の調査を行う際、まず目につくのは、被相続人の「固定資産税納税通知書」です。これは、毎年各自治体から所有者に送付されるもので、所有している不動産に対して課税される固定資産税の納税額や、対象となる不動産の情報が記載されています。固定資産税納税通知書には、土地や建物の所在地や地番、課税対象となっている不動産の概要が記載されており、相続の際の初期調査として利用されることが一般的です。
しかし、固定資産税納税通知書だけでは不十分なケースがあります。なぜなら、固定資産税納税通知書に記載されているのは、課税対象となる不動産だけだからです。例えば、農地などの固定資産税が課税されない不動産や、税の免除措置が適用されている不動産は、この通知書には記載されません。そのため、相続手続きにおいて、すべての不動産を正確に把握するためには、他の方法での調査が必要になります。
2. 固定資産税評価証明書による調査
相続において、被相続人の所有する不動産の価値を把握するために、固定資産税評価証明書の取得が推奨されます。この書類には、課税の根拠となる不動産の評価額や詳細な情報が記載されており、不動産の価値を確認するのに役立ちます。
しかし、固定資産税評価証明書にも課題があります。この証明書は、各自治体ごとに発行されるものであり、全国一律で名寄せされているわけではありません。つまり、被相続人が複数の自治体に不動産を所有している場合、その全ての不動産を調査するには、各自治体に個別に問い合わせを行い、それぞれの評価証明書を取得する必要があるのです。例えば、被相続人が東京都と大阪府に不動産を所有していた場合、東京都と大阪府それぞれの自治体に対して固定資産税評価証明書を請求しなければなりません。
また、不動産の名義が長期間更新されていない場合、たとえば土地の登記が数世代にわたって変更されていないケースなどでは、実際の所有者を特定するのに時間がかかることもあります。そのため、現行の制度下では不動産調査には手間がかかり、すべての不動産を漏れなく把握するのが難しい状況です。
3. 所有不動産記録証明制度の導入
このような不動産調査の煩雑さを解消するために、2026年2月から「所有不動産記録証明制度」が施行される予定です。この制度が施行されると、法務局でその名義人が所有している不動産を全国的に一括して調査することが可能になります。現行のように各自治体に問い合わせる必要がなくなり、法務局で名義人のすべての不動産が記載された所有不動産記録証明書が発行されることになります。
この制度により、相続登記や不動産の調査が一層効率化されることが期待されています。具体的には、被相続人が全国各地に所有していた不動産について、まとめて一度に確認できるようになるため、不動産の漏れを防ぐことができます。相続登記の義務化に伴い、相続人が全ての不動産を把握して登記を行うことが求められるようになるため、この新しい制度は大きな助けとなるでしょう。
4. 相続登記義務化と不動産漏れの防止
2026年以降、相続によって取得した不動産に対しては、相続登記が義務化されます。これにより、相続人は被相続人の所有していた不動産を全て把握し、速やかに登記を行わなければなりません。しかし、先述した通り、現行の制度では不動産のすべてを正確に調査するのが難しく、特に課税対象外の不動産や、遠方にある不動産などが見落とされるリスクがあります。
しかし、「所有不動産記録証明制度」の導入によって、法務局で一括して全国の不動産を調査できるようになるため、相続における不動産の漏れを防ぎ、確実に相続登記を行うことができるようになります。また、所有者不明の土地問題の解消にもつながり、長年更新されていなかった土地の登記が促進されることも期待されています。
5. まとめ
遺産調査において、不動産の調査は特に重要です。固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書を利用して調査を進めることができますが、これらの書類だけでは不十分な場合があります。現在の制度では、全国各地に所有している不動産を一度に確認することは難しく、各自治体ごとに個別に調査を行う必要があります。しかし、2026年2月に施行される「所有不動産記録証明制度」によって、法務局で全国的な不動産の一括調査が可能となり、相続における不動産の漏れを防ぐことができるようになります。相続登記の義務化も進む中で、この新しい制度の導入は、相続手続きを円滑に進めるための大きな助けとなるでしょう。
平素よりお世話になっております。アイリス国際司法書士・行政書士事務所から、相続登記に関する大切なお知らせをさせていただきます。
令和7年3月19日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
人生の終盤を迎えると、財産や家族への思いをどのように伝えるかが重要になります。その手段として「遺言」は、相続トラブルを防ぎ、遺された家族に対して自分の意思を明確に伝えるための大切な法的文書です。しかし、遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれに法的効力を持たせるための要件や手続きが異なります。本稿では、遺言の種類について説明し、特に自筆証書遺言と公正証書遺言に焦点を当て、それぞれの特徴や作成手続きを詳しく解説します。
相続手続きにおいて、相続人の一部が外国籍である場合、特有の手続きや注意点が存在します。日本国籍を有しない外国人の場合、戸籍が存在しないため、相続人の確認や必要書類の取得において、母国の役所での手続きや翻訳が求められます。また、遺産分割協議書への署名や押印に関しても、在留資格の有無や印鑑登録の有無により、手続きが異なります。本稿では、外国人相続人がいる場合の相続手続きにおける具体的な注意点と実務上の対応方法について解説します。