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令和6年4月19日に内閣府が発表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」は、高齢者やその家族が信頼できる終身サポート事業者を選択するための基準を提供し、悪質な事業者からの被害を防止することを目的としています。このガイドラインは、特に契約書の作成、預託金の保全、身元保証契約に関する注意点を示しています。以下にその要点をまとめます。
目次
1. 契約書の作成
2. 預託金の保全
3. 遺贈や死因贈与を条件とする身元保証契約の回避
1. 契約書の作成
ガイドラインでは、終身サポート事業者が提供する契約書について詳細な指針が示されています。具体的には、死後事務委任契約、財産管理契約、事務委任契約など、各種の契約書の作成が求められています。
死後事務委任契約は、契約者が亡くなった後に、葬儀や財産の処分などの事務手続きについて委任する契約です。この契約書には、具体的な事務内容、委任者と受任者の権利義務、報酬の額と支払い方法などを明記することが推奨されています。契約者が安心して老後を過ごせるように、透明性を確保し、後に紛争が生じないように詳細な記載が必要です。
財産管理契約については、契約者が生前に自身の財産管理を第三者に委任する契約です。この契約書には、管理対象の財産の種類と範囲、管理方法、報酬の支払い条件などを明示し、契約者の利益を保護することが重要です。
事務委任契約は、日常の事務作業や生活支援を委任する契約です。具体的な支援内容や支援の範囲、契約期間、報酬などを契約書に明記することで、契約者が安心して生活を委ねることができるようになります。
2. 預託金の保全
ガイドラインは、事業者が受け取る預託金についても厳格な管理を求めています。特に、預託金の保全措置として信託銀行または信託会社を利用することが推奨されています。
預託金は、将来のサービス提供や事務手続きの費用として事前に受け取る金銭です。この金額は、事業者の倒産や経営悪化時にも保全される必要があります。ガイドラインは、預託金を信託銀行または信託会社に預けることで、その安全性を確保するよう求めています。信託機関は、厳格な監督下にあり、資金の安全性が高いため、預託金の信託保全は、利用者にとって非常に安心できる仕組みです。
※仮に、事業者名義の預金で管理していた場合、破産した場合に差押え等のリスクにさらされることになります。
3. 遺贈や死因贈与を条件とする身元保証契約の回避
ガイドラインでは、遺贈や死因贈与を条件とする身元保証契約を避けることを強く推奨しています。遺贈とは、遺言により財産を譲ることを指し、死因贈与は死亡を原因とする贈与契約です。
これらの契約は、契約者が死亡後にその財産を保証人に譲渡することを条件とするため、悪用されるリスクが高いです。特に、契約者が認知症などの判断能力の低下により、不適切な契約を結ばされる可能性があります。ガイドラインは、こうしたリスクを避けるため、事業者が遺贈や死因贈与を契約条件とすることを禁止し、身元保証契約において契約者の財産を保全する措置を講じることを求めています。
身元保証契約は、高齢者が安心して生活を送るために必要なサポートを提供する契約であり、契約者の生活と権利を保護することが求められます。そのため、ガイドラインは、保証人が契約者の財産を不当に取得しないよう、契約内容の透明性と適切な契約書の作成を強調しています。
4. まとめ
内閣府が発表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」は、高齢者やその家族が安心してサービスを利用できるよう、契約書の作成、預託金の保全、遺贈や死因贈与を条件とする契約の回避について詳細な指針を提供しています。このガイドラインに従うことで、利用者は信頼できる事業者を選び、安心して老後を過ごすためのサポートを受けることができるでしょう。
そして、これらの身元保証サポート事業者の監督官庁はどこかというと、内閣府のHPでも、「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の取組(i)消費者庁において、身元保証や死後事務等を行う身元保証等高齢者サポート事業による消費者被害を防止するため、厚生労働省その他関係行政機関と必要な調整を行うこと。」とされており、事業所の監督官庁による定期的な監査で是正するのではなく、消費者庁に届け出ることにより、ガイドラインに合っていない契約からの消費者保護という仕組みとなっています。
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