平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

2024年05月21日

相続登記を放置することによるリスクについて、具体的に見ていきたいと思います。相続登記をするためには、「遺産の確認」と「相続人の確認」が必要ですが、長期放置している間に遺産は変化ありませんが、相続人の状況は次第に変化してきます。それでは、お話をしていきたいと思います。

目次

1.放置している間に相続人が亡くなると

2.放置している間に相続人が音信不通

3.放置している間に相続人が認知症に

4.まとめ


1.放置している間に相続人が亡くなると

 相続人の中に亡くなった方がいますと、被相続人の方同様に、その方の生まれてから亡くなるまでの戸籍と除籍謄本が必要であることは先にも述べました。

 そしてさらに、その方の子供の中に亡くなった方がいる場合、同じような状況となります。つまり、相続人の範囲が際限なく広がっていきます。その中には、あまり面識のない方もいるかもしれませんし、亡くなった相続人との関係は良くても、その子供との間で親族間のトラブルにより、険悪な状況となっているかもしれません。

 放置するということは、不確定要素が一気に拡大します。相続の取りまとめをしている相続人から、戸籍の附票の最後の住所地宛に手紙を送った場合、返事が来れば、話し合いもできますが、受け取っていても返事がない場合が発生するかもしれませんね。この場合は、遺産分割調停を家庭裁判所に申し出て、解決を図る必要があります。

2.放置している間に相続人が行方不明

 それでは、手紙を出したが、そのままあて先不明でその手紙が戻ってきた場合は、どうすればいいのでしょうか。この場合、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立て、この不在者財産管理人と遺産分割協議をすることになります。この時、不在者の法定相続分の確保が必須要件となりますので、仮に長男名義にしたいが次男が失踪している状態での、不在者財産管理人との遺産分割協議では、長男2分の1、次男2分の1となってしまいます。勿論、代償分割(不動産をもらう相続人が、不在者となっている相続人の持分相当額を支払うことで、自身の名義とする分割方法)はすることができますが、支払う現金を用意できなければ、持分による登記をすることとなります。そして、不在者財産管理人をも推立てる場合、家庭裁判所にその報酬として、数十万円から100万円の予納金を納めることになります。

 失踪期間が7年を超えている場合には、「失踪宣告」の申し立てを家庭裁判所に行い、死亡みなしとすることができます。

3.放置している間に相続人が認知症に

 相続登記を放置している間に、相続人の一人が認知症になってしまった場合、もはや認知症になった相続人は、遺産分割協議を行うことはできません。そこで、4親等以内の親族の方が、成年後見人を家庭裁判所に申し立てて、成年後見人を就任させることになり、その成年後見人と遺産分割協議をすることになります。遺産分割協議が終わったのち、この成年後見人を解任することはできず、亡くなるまで財産管理をすることになります。当然、報酬は亡くなるまでの期間必要となります。

4.まとめ

 現状、相続人全員と意思疎通できる状況にある方は、迷わず相続手続きを進めてください。放置は何の解決策にもならず、後世へ大きな負担を残す結果となってしまいます。

 もしご自身で、何から始めればいいのかわからないようでしたら、専門家に相談してください。無料相談ですと、法務局や市役所、司法書士会などで定期的に開催されています。

 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

 また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

最新のブログ記事

土地の合筆や分筆を行った際の登記識別情報(いわゆる「権利証」)の取り扱いについて、詳しく説明します。土地を処分する際に、売主は、権利証又は登記識別情報を用意しなければなりません。合筆・分筆がなされた土地の場合、どのタイミングのものが必要になるのでしょうか?

土地の合筆・分筆は、不動産管理や相続対策など、さまざまな状況で利用される重要な手続きです。これらの手続きは、土地の形状や利用目的に応じて、複数の土地をまとめたり、ひとつの土地を分けたりするものです。ここでは、合筆と分筆について詳しく解説し、それぞれのメリットや手続きの流れ、注意点について説明します。

相続の際、法定相続分に従って財産が分配されるのが一般的ですが、相続人の中には、被相続人(亡くなった方)の財産形成や維持、または療養看護に特別な貢献をした者がいることがあります。このような場合、その貢献に応じて相続分が増額されることがあります。これを「寄与分」と言います。また、相続人ではない親族が特別な貢献をした場合、相続人から特別な報酬を請求できる「特別寄与料」という制度も存在します。本稿では、寄与分と特別寄与料についての解説と、それらが認められるための要件について詳述します。