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(論点)相続手続きを始める前に確定すべきこと2選

2024年08月22日

相続において最も重要なステップの一つが、「相続人の確定」と「相続財産の確定」です。これらの手続きを適切に行うことで、後のトラブルを避け、スムーズな相続手続きを進めることが可能となります。専門家に相談する際に、専門家の立場からお話をすると、この2点が確定していない状態では、相続手続きを進めることはできません。無料相談で、時間を有効活用することができるようになります。

目次

1. 相続人の確定

2. 相続財産の確定

結論


1. 相続人の確定

a. 相続人とは?

 相続人とは、被相続人が亡くなった際に、その遺産を受け継ぐ権利を有する者を指します。相続人の範囲は民法で定められており、基本的には配偶者と血縁関係にある親族が該当します。具体的には、配偶者は常に相続人となり、これに加えて以下の順位で血縁者が相続人となります。

第一順位: 子(嫡出子、非嫡出子、養子を含む)

第二順位: 直系尊属(主に父母)

第三順位: 兄弟姉妹

相続人の確定は、これらの順位を確認することで行います。なお、第一順位に該当する相続人がいない場合にのみ、第二順位が相続人となり、さらに第二順位の相続人もいない場合に第三順位が相続人となります。

b. 相続人の特定

 相続人の特定作業には、戸籍謄本の取得が必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、全ての相続人を確認することが求められます。これにより、相続人の数やその相続割合を確定させます。

 また、注意すべき点として、相続人が養子である場合や、認知された子がいる場合は、追加の戸籍調査が必要になることがあります。さらに、被相続人が複数回結婚している場合は、前妻・前夫との間に生まれた子も相続人となるため、これらの状況も慎重に確認する必要があります。

c. 相続放棄と限定承認

 相続人の中には、相続を放棄する場合や限定承認を行う場合があります。相続放棄とは、全ての遺産を受け取らない意思を表明することで、家庭裁判所に申立てを行います。限定承認は、相続財産が負債を上回る場合に、その超過部分のみを承認する手続きです。これらの手続きを行うことで、相続人が負うリスクを軽減することができます。

2. 相続財産の確定

a. 相続財産とは?

 相続財産とは、被相続人が死亡時点で所有していた全ての財産を指します。これには、現金や預貯金、不動産、有価証券、車両などのプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金、ローンなどのマイナスの財産も含まれます。

b. 財産の調査方法

 相続財産を確定するためには、まず被相続人の財産の全体像を把握することが必要です。これには、銀行口座の取引履歴、不動産登記簿、保険証券、借入契約書などの書類を収集し、財産をリストアップします。また、被相続人が複数の銀行に口座を持っていた場合や、未公開の株式を所有していた場合など、財産の全容を確認するためには専門的な知識が必要となることもあります。

 さらに、被相続人が賃貸不動産を所有していた場合、賃貸借契約書を確認し、将来的な収益やリスクを考慮に入れる必要があります。この段階で、財産がどのように分配されるべきか、遺言が存在するかどうかも確認することが重要です。

c. 財産の評価と分割

 相続財産の評価は、現実的な市場価値に基づいて行う必要があります。不動産の評価には不動産鑑定士、株式や有価証券の評価には証券会社の専門家が関与することが一般的です。財産の評価が終わったら、相続人間で公平に分配する方法を検討します。遺産分割協議が必要な場合は、相続人全員が同意することが求められます。

d. 注意点と専門家の役割

 相続財産の確定は、法律や税務の知識が必要とされる複雑な作業です。特に相続税の申告期限は、被相続人が死亡してから10ヶ月以内であるため、早期の対応が求められます。相続財産の確定が難航する場合や、相続人間での争いが生じた場合は、司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談することが望ましいです。

※不動産だけに限って言えば、その年度の「固定資産税評価証明書」を取得することで、役場単位での不動産を特定することができます。令和6年4月1日より「相続登記義務化」が始まっています。毎年、固定資産材納税通知書の内容のみを相談時に持参される方がいらっしゃいますが、不動産に漏れがあった場合、再度相続登記をしなければならなくなってしまいます。相談時には、その年度の「固定資産税評価証明書」を取得するようにしてください。 

結論

 「相続人の確定」と「相続財産の確定」は、相続手続きを円滑に進めるための基盤となる重要なプロセスです。これらのステップを確実に行うことで、相続に関するリスクやトラブルを最小限に抑え、相続人全員が納得できる形で遺産を受け継ぐことが可能になります。専門家の助けを借りながら、慎重に進めていくことが肝要です。

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