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(論点)生前贈与で注意すべき点

生前贈与は、相続税の負担を軽減するための有効な手段として広く知られていますが、税務上および法律上のリスクを伴う行為でもあります。生前贈与を考える際には、贈与税の基礎控除額である110万円を超える場合の課税の可能性を踏まえた検討が必要です。また、相続時には遺留分の問題が生じるため、特定の相続人への贈与が「特別受益」として扱われ、他の相続人との間で不公平感が生じる可能性もあります。
目次
1.生前贈与と税務上の注意点
2.贈与税の基礎控除額と課税計算
3.生前贈与を行う際の判断基準
4.生前贈与と法律上の注意点
5.遺留分と特別受益の関係
6.生前贈与におけるリスク回避策
7.まとめ
1. 生前贈与と税務上の注意点

生前贈与は、財産の一部を相続前に受け渡すことで、相続税の負担を軽減することを目指した手法です。しかし、贈与は相続と異なり、贈与税という別の税負担が生じるため、十分な計画が求められます。特に贈与税の課税対象額が基礎控除額を超える場合、その贈与が課税されることを考慮しなければなりません。
2. 贈与税の基礎控除額と課税計算
贈与税の基礎控除額は、年間110万円です。この金額を超える贈与が行われた場合、贈与を受けた人はその超過額に対して贈与税を支払う義務が生じます。具体的な贈与税の額は、以下のように計算されます。
基礎控除額:110万円
課税される贈与額=(贈与総額 - 110万円)
税率:贈与額に応じて、10%から55%までの累進税率が適用されます。
例えば、300万円の生前贈与を行った場合、贈与税は以下のように計算されます。
課税対象額 = 300万円 - 110万円 = 190万円
税率 = 10%(200万円以下の贈与の場合)
贈与税額 = 190万円 × 10% = 19万円
このように、基礎控除額を超える部分に対して贈与税が課税されるため、生前贈与を行う前に、贈与税額を事前に確認し、その額が贈与を行う上で許容できるかどうかを慎重に判断する必要があります。
3. 生前贈与を行う際の判断基準

生前贈与を行うかどうかの判断は、贈与税額だけでなく、将来的な相続税負担や家族間の財産分配のバランスも考慮する必要があります。特に、財産を受け取る相続人が相続税の基礎控除を受けられるか、また贈与を行った結果、相続税負担がどの程度軽減されるのかを計算することが重要です。
また、贈与額が大きい場合や複数年にわたる贈与を計画している場合は、累進税率の影響を十分に考慮し、無理のない範囲で贈与を行うことが望ましいです。複数年にわたって毎年110万円以下の贈与を行う「暦年贈与」を活用することも、贈与税負担を軽減する一つの方法です。ただし、相続発生時からさかのぼって7年分の生前贈与については、遺産に組み戻されますので注意が必要です。
4. 生前贈与と法律上の注意点
税務上の問題だけでなく、法律上の問題も生前贈与には存在します。特に、相続時に遺留分が侵害される可能性がある場合、贈与がトラブルの原因となり得ます。遺留分は、法定相続人に保障された最低限の取り分であり、被相続人がどのような財産処分を行っても、この権利を侵害することはできません。
5. 遺留分と特別受益の関係

遺留分の権利者には、子、配偶者、直系尊属が含まれます。これらの相続人に対しては、最低限の取り分が保障されており、特定の相続人に対して過度な生前贈与を行うと、他の相続人から「遺留分が侵害された」として異議が申し立てられることがあります。
特に、生前贈与が「特別受益」として扱われる場合、相続時にその贈与が考慮され、遺産分割に影響を与える可能性があります。特別受益とは、ある相続人が他の相続人に比べて不当に多くの利益を享受したとみなされる場合のことを指します。例えば、ある子供にだけ高額な生前贈与を行った場合、その子供は他の相続人に対して不利な立場に置かれることがないように、贈与額が遺産に含まれ、再計算されることになります。
6. 生前贈与におけるリスク回避策
生前贈与を行う際のリスクを回避するためには、いくつかの対策を講じることが重要です。
遺言書の作成:遺言書を作成し、生前贈与を含めた全体の財産分配について明確にしておくことで、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。
遺留分放棄の活用:相続人間で合意を得た上で、遺留分権利者に対して遺留分放棄の手続きを取ることも有効な手段です。家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することで、生前贈与の自由度を高めることができます。
家族間の事前調整:家族間で生前贈与に関する計画を共有し、財産分割について合意を形成することが重要です。これにより、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
7. まとめ
生前贈与は、相続税対策として非常に有効な手段ですが、贈与税の負担や遺留分の問題を考慮しなければなりません。税務上の視点では、贈与税の基礎控除額を超える贈与に対して課税が発生するため、贈与税額を事前に確認し、無理のない範囲での贈与を計画することが重要です。
一方で、法律上の視点では、遺留分の権利を侵害しないように生前贈与を慎重に行う必要があります。特別受益の問題や遺留分侵害を避けるために、家族間での合意や遺言書の作成が重要な対策となります。生前贈与を行う際には、税務および法律の専門家と相談しながら進めることが望ましいでしょう。

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