平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

(論点)弁護士法第72条違反行為(非弁行為)について

2024年09月30日

日本における交通事故や離婚などの示談交渉に関しては、弁護士がその役割を担うことが原則です。特に、訴額が140万円を超える場合は弁護士が必要ですが、訴額が140万円以下の場合、認定司法書士も交渉に関わることが可能です。しかし、行政書士は示談交渉を行うことが法的に許可されていません。行政書士の職務範囲は書類作成や契約書の作成支援などに限られており、法的アドバイスや交渉代行はできないことが明確に規定されています。

目次

1. 示談交渉における弁護士と司法書士の役割

2. 行政書士の職務範囲と制限

3. 高知県宿毛市での行政書士による違法な示談交渉

4. 適切な専門家を選ぶことの重要性

5. 結論


1. 示談交渉における弁護士と司法書士の役割

 示談交渉において、弁護士は全ての訴額の事件を担当することができ、特に訴額が140万円を超える場合は必須となります。弁護士は訴訟、交渉、和解の手続きを全面的に取り仕切る法的権限を有しており、複雑な法的トラブルに対応できます。

 また、認定司法書士は、訴額が140万円以下の場合に限り、示談交渉に関与できる法律専門家です。司法書士は、日常的に不動産登記や会社設立の手続きに関与していますが、特別研修を経て認定考査に合格した場合、140万円以下の民事事件においては、示談交渉の代理も許されています。

※司法書士全員が認定司法書士であるわけではありません。

ですので、訴額がはっきりしない場合は、弁護士に相談するのがいいと思います。

2. 行政書士の職務範囲と制限

 一方、行政書士の役割は、書類作成や行政手続きのサポートに限られています。行政書士は法的助言を行ったり、示談交渉の代理を務めることは法的に認められていません。主な業務は、各種許認可申請、契約書の作成、遺言書の作成補助などであり、交渉や法的代理人としての活動はできないため、訴訟や示談交渉が必要な場合は弁護士または司法書士に依頼する必要があります。

3. 高知県宿毛市での行政書士による違法な示談交渉

 令和6年9月9日のニュースで、高知県宿毛市で発生した事件は、行政書士が示談交渉に関与した事例として注目を集めました。この事件では、行政書士が職務範囲を超えて示談交渉を行ったことが問題視され、法的な責任を問われることになりました。行政書士がこうした行為に関与することは、法律に違反しており、顧客にとってもリスクが伴います。

 この事件は、行政書士が示談交渉に関与することの危険性を浮き彫りにしました。行政書士に依頼する際には、彼らの職務が法的書類の作成に限られていることを理解する必要があります。行政書士が示談交渉に関与することは法律に反するため、依頼者としても注意が必要です。

4. 適切な専門家を選ぶことの重要性

 今回の事件は、法的トラブルに直面した際に、適切な専門家を選ぶことの重要性を強調しています。示談交渉や訴訟を必要とする問題に対しては、弁護士または認定司法書士を選択するべきであり、行政書士に依頼する場合は、書類作成などの範囲内での業務に限るべきです。

 法的な代理や交渉は、一般市民にとって複雑な手続きとなるため、法的な専門知識と権限を持つ弁護士や認定司法書士に依頼することで、問題の適切な解決を図ることができます。行政書士に依頼する場合も、彼らの業務範囲を明確に理解し、誤った依頼をしないように注意する必要があります。

5. 結論

 示談交渉を行う場合、訴額に応じて弁護士または認定司法書士に依頼することが最善です。行政書士は、示談交渉や訴訟代理を行うことができないため、誤った依頼をすると法的なリスクを抱える可能性があります。特に今回の高知県宿毛市での事件を通じて、行政書士が職務範囲を超えて示談交渉を行うことがいかに危険であるかが再認識されました。依頼者としては、専門家の職務範囲を理解し、適切な法律専門家に依頼することが重要です。

最新のブログ記事

香川県の相続手続きで、見落としがちな"落とし穴"に気づいていますか?登記・相続税・遺産分割で後悔しないために、香川県 高松市の司法書士・税理士による無料相談会(毎月第3水曜開催)でプロに相談しましょう。90分対応・完全予約制。

現代社会では、「正解」があらかじめ決まっているかのような風潮があります。学歴、収入、職業、結婚、マイホーム…。それらを満たしてこそ「成功」と見なされ、そこから外れると「負け組」とラベルを貼られる。しかし本当に、他人と同じ価値観の中で生きなければならないのでしょうか?この記事では、「他人の物差しに縛られて苦しい」と感じている方へ向けて、自分自身の価値観を取り戻すためのヒントをお伝えします。

昨今の日本社会では、政治への不信感、経済格差の拡大、将来の不安など、暗いニュースが続いています。自殺者数や失業者数の増加も深刻な社会課題となっており、もはや「自己責任」と一言で片づけられる時代ではなくなりました。この記事では、「この社会はどこかおかしい」と感じている方に向けて、その違和感こそが健全な感性であり、生きる力の根源であるという視点から、希望を持って生きていくための第一歩を探っていきます。

「遺言書なんて、うちには関係ない」と思っていませんか?実際には、遺言書の有無で相続手続きの手間や家族間のトラブルの発生率は大きく異なります。本記事では、遺言書があったケースとなかったケースの比較を通して、"遺された人の安心"につながる具体的な効果をご紹介します。