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(論点)外国在住者の相続放棄

最近、外国在住者の方からの相談も増えてきました。その中で、「相続放棄」の手続きを外国からでもできるのかといった質問がありました。手続き自体はできるのですが、相続放棄には期間制限があります。被相続人の所在地の家庭裁判所に申述することになるのですが、提出する書類を集めるのも一苦労します。今回は、外国在住の日本人の相続放棄について、解説したいと思います。
目次
1.相続放棄とは
2.相続放棄に必要な書類
3.どの士業にお願いするのが良いのか?
4.まとめ
1.相続放棄とは

相続放棄は、相続人が被相続人(亡くなった人)の財産を受け取らない決定をする法的手続きです。これにより、相続人は財産だけでなく、負債やその他の義務も放棄します。相続放棄を選択する理由として、被相続人の負債が多いために相続することが不利と考えられる場合や、特定の家庭内事情がある場合などが挙げられます。
①相続放棄の手続き
㋐家庭裁判所への申述:
相続放棄をするためには、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。
㋑必要書類:次項で記載します。
㋒相続放棄の申述に関する照会書の送付:
照会書とは、今回の申述について、申述者の相続放棄の意思の確認と背景状況などを確認するために送付されます。内容が不明瞭や裁判所が確認したい事項がある場合、出頭を求められる場合がありますので、返答に関しましては専門家と相談したほうがいいです。
※原則、相続放棄は書面のやり取りで完結する手続きですが、家庭裁判所へ出頭を求められる場合もあります。
㋓申述の結果通知:
申述書が受理されると、家庭裁判所から相続放棄が認められた旨の通知が送られてきます。
➁相続放棄の効果
㋐全面的な放棄:
相続放棄をすると、その相続人は被相続人の財産や負債を一切引き継がなくなります。
㋑後順位相続人への影響:
相続放棄が認められると、次順位の相続人に相続権が移行します。例えば、配偶者が相続放棄をすると、子供に相続権が移ります。
③注意点
㋐相続放棄の取消:
原則として、一度認められた相続放棄は撤回できません。ただし、詐欺や脅迫による相続放棄は例外として認められる場合があります。
㋑限定承認との違い:
相続放棄は財産も負債も一切引き継がないのに対し、限定承認は相続した財産の範囲内で負債を返済することを条件に相続を承認する手続きです。

2.相続放棄に必要な書類
(配偶者・第1順位の相続人の場合)
①申述人の戸籍謄本
➁被相続人の戸籍謄本 (申述人と同一の戸籍の場合 不要)
③被相続人の住民票除票又は戸籍附票
④第1順位の相続人が孫の場合は,孫の親(被相続人の子)の死亡がわかる戸籍謄本も必要
➄収入印紙 800円分 切手 84円×2枚(本人の持参による提出の場合は, 84円×1枚)
※切手の必要額と枚数については、事前に管轄の家庭裁判所に確認を取ってください。
⑥海外在住者の場合、在留証明書及びサイン証明(署名証明)も必要
※上記ケース以外の必要書類につきましては、裁判所HPを参照してください。
3.どの士業にお願いするのが良いのか?
相続放棄は、特に負債が多い場合や家庭内での複雑な事情がある場合に有効な手段です。しかし、手続きには法律的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。
戸籍等の取得に関しましては、司法書士も弁護士も「職務上請求」により取得が可能です。
今回の前提である、海外在住の日本人の相続放棄の手続きについて考えますと、時間的な余裕があり、ある程度ご自身で行える知識があれば、費用面で見れば司法書士でも構わないと思いますが、司法書士には、裁判所とのやり取りの「代理権」がありませんので、申述書提出後の照会書の受け取り等につきましては、行うことができません。申述書を提出した後、照会書の受領や結果の受領の代理までお願いしたい場合には、費用は掛かりますが、弁護士にやってもらった方がいいと思います。
4.まとめ
外国在住の日本人の方が相続放棄をする場合、戸籍等の取得については、司法書士・弁護士でも問題ありませんが、家庭裁判所とのやり取りを代理してもらう場合には、弁護士の方がいいです。ただし、費用は司法書士にお願いする場合よりもかかります。司法書士にお願いする場合、家庭裁判所とのやり取りは、ご本人で外国からのやり取りとなります。相続放棄は、相続を知ってから3ケ月です。時間的なゆとりがない場合には、弁護士に代理していただくのがいいと思います。

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