①目的の違い
仮登記:将来の権利関係を確定するための準備として、権利の優先順位を仮に保全することを目的としています。
処分禁止の仮処分:財産や権利の現状を維持し、紛争の対象となっている財産が不当に処分されるのを防ぐことを目的としています。
➁手続きの違い
仮登記:登記所に対して申請を行い、必要な書類や費用を納付することで手続きが進められます。
処分禁止の仮処分:裁判所に対して申立てを行い、裁判所の審査を経て命令が発出されます。
③効果の違い
仮登記:権利の優先順位を確保するが、完全な対抗力は持たない。将来的に本登記を行うことで権利が確定します。
処分禁止の仮処分:裁判所の命令により強制力があり、命令に従わない場合には法的な制裁が科されることがあります。
④利用場面の違い
仮登記:主に不動産取引や権利移転の準備段階で利用されます。
処分禁止の仮処分:財産や権利を巡る紛争がある場合に、その財産や権利の現状を維持するために利用されます。
4.結論
仮登記と処分禁止の仮処分は、それぞれ異なる目的と手続きを持ち、異なる状況で利用されます。仮登記は将来の権利関係を確定するための準備として、権利の優先順位を仮に保全する手続きです。一方、処分禁止の仮処分は、財産や権利の現状を維持し、紛争の対象となっている財産が不当に処分されるのを防ぐ手続きです。両者の違いを理解し、適切な場面でそれぞれの手続きを活用することが、法的なリスク管理において重要です。
ちなみに、処分禁止の仮処分の登記での裁判が確定した場合、仮処分に遅れる登記を抹消するには、判決による登記と移転登記を同時に申請する方法があります。遅れる登記がない場合は、処分禁止の仮処分登記抹消の嘱託を書記官に依頼する必要があります。送れる登記の抹消には、仮登記のように相手の承諾証明書は必要なく、「単独申請」で登記申請することが可能です。その際に、添付する書類として「通知証明情報」というものがありますが、これは、抹消される送れる登記の権利者に対し通知をしたことを証する書面となります。名義人の登記簿上の住所地に内容証明郵便により通知をし、これを発した日から1週間経過で到達したものとみなされます。仮登記の承諾証明書よりも手続き上、楽ですし確実です。裁判するのが面倒だから仮登記を安易に選択すると、後に事故の権利の主張ができないなんてことが起こりえますので、専門家に相談することをお勧めいたします。