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登記識別情報(権利証)が提供できない場合、土地や建物の売買や贈与といった取引においては、「本人確認情報」または「事前通知」という手続きが用いられます。これらの手続きは、所有者が正当な権利者であることを確認するためのものであり、不動産取引の安全性を確保するために重要です。以下では、それぞれの手続きの違いと、どのような場合に使えるのか、またそのメリットとデメリットについて解説します。
目次
1. 本人確認情報とは
2. 事前通知とは
3. 本人確認情報と事前通知の比較
4. どちらの手続きを選ぶべきか
5. 結論
1. 本人確認情報とは
本人確認情報は、登記識別情報や権利証が提供できない場合に、司法書士が本人確認を行い、その結果をもとに作成する書面です。具体的には、司法書士が権利者と面談し、本人の身分証明書(運転免許証やパスポートなど)を確認した上で、所有者が真の権利者であることを確認し、その情報を登記申請書に添付します。これにより、登記識別情報がなくても、登記手続きを進めることが可能です。
(本人確認情報のメリット)
迅速な手続き: 司法書士が直接本人確認を行い、手続きを進めるため、時間をかけずに登記を完了させることができます。売買や贈与の取引において、迅速に進めたい場合に特に有用です。
本人確認が確実: 司法書士が面談や書類確認を行うため、正当な所有者であることを第三者に証明できます。取引相手も安心して取引を進めることができる点が強みです。
(本人確認情報のデメリット)
費用が発生: 司法書士による本人確認には手数料がかかります。通常の登記手続きに加えて、本人確認情報の作成費用が必要となるため、コストが増加します。
面談の必要性: 所有者本人が司法書士と対面での面談を行う必要があります。遠方に住んでいる場合や、本人が面談に出向けない状況では、手続きが煩雑になる可能性があります。
本人確認情報が適用されるケース
登記識別情報(権利証)を紛失してしまった場合。
登記識別情報が発行されていない不動産の所有権移転時。
土地や建物を売却または贈与する際に、手続きを迅速に進めたい場合。
2. 事前通知とは
事前通知は、登記識別情報や権利証を提供できない場合に、登記申請者(売主)が登記官に対して登記を申請する際に使われる手続きです。具体的には、登記官が所有者に対して書面で通知を行い、その書面を受け取った所有者が一定期間内に回答することで、所有者本人であることを確認する方法です。登記識別情報の提供ができない場合でも、通知に対する返信が正当であれば登記手続きが完了します。
(事前通知のメリット)
費用が安い: 司法書士による本人確認情報の作成に比べ、費用がかからないか、非常に少額で済みます。そのため、コストを抑えたい場合に有利です。
本人の面談が不要: 所有者本人が司法書士と面談する必要がないため、遠方に住んでいる場合や、面談が難しい場合に有効です。
(事前通知のデメリット)
時間がかかる: 登記官から所有者に対して通知が送られるため、その返信を待たなければなりません。通常は、通知の返信がなされるまでに2週間ほどの時間がかかるため、取引を迅速に進めたい場合には不向きです。
所有者が通知に反応しないリスク: 所有者が通知を受け取らなかったり、返信を怠った場合には、登記手続きが滞る可能性があります。特に、高齢者や転居している場合など、通知を受け取らない事態が生じやすいです。
事前通知が適用されるケース
登記識別情報を紛失してしまったが、取引を急いでいない場合。
費用を抑えたい場合。
所有者が司法書士との面談を行うことが難しい場合。
※金融機関から融資を受けて取引をする場合に、融資後ただちに抵当権を設定する場合は事前通知のように日数がかかる手続きは不適合となり、「本人確認情報」を取引前にしておくようになります。
3. 本人確認情報と事前通知の比較
4. どちらの手続きを選ぶべきか
手続きの選択は、主に以下のポイントによって決まります:
急いでいるかどうか
売買や贈与を急いで行いたい場合は、本人確認情報の手続きを選ぶべきです。司法書士による確認が完了すれば、すぐに登記申請を進められるため、取引を迅速に完了させることができます。逆に、時間に余裕がある場合は、事前通知を選ぶことでコストを抑えることができます。
費用を抑えたいかどうか
手続きを低コストで行いたい場合は、事前通知が最適です。司法書士による面談や書類作成が不要なため、本人確認情報に比べて費用がかかりません。ただし、取引に時間がかかる点には注意が必要です。
面談が可能かどうか
所有者が司法書士との面談を行うことが難しい場合、たとえば高齢者であったり、遠方に住んでいたりする場合は、事前通知が有効です。面談を行う必要がないため、手続きがシンプルになります。一方で、司法書士との面談が可能で、取引を早く進めたい場合は、本人確認情報を選ぶことでスムーズに手続きが進められます。
5. 結論
登記識別情報や権利証が提供できない場合でも、本人確認情報や事前通知の手続きを利用することで、取引を進めることが可能です。それぞれの手続きにはメリットとデメリットがあるため、取引の状況や要件に応じて適切な方法を選択することが重要です。急ぎの場合や面談が可能であれば、本人確認情報を利用し、時間に余裕があり、費用を抑えたい場合には事前通知を利用すると良いでしょう。
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