平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

(論点)ポジショントークに惑わされるな

2024年06月23日

ポジショントークとは、特定の立場や利益を背景に発言や主張を行うことを指します。人々がポジショントークに惑わされる理由は、心理的、社会的、経済的要因が絡み合っており、多岐にわたります。特に、営業などでよく使われる手法ですが、気を付けないと余計なことで時間を使ってしまいかねません。

目次

1. 認知バイアスの影響

2. 専門家への過信

3. 情報の非対称性

4. 社会的証明

5. 感情的な影響

6. まとめ


1. 認知バイアスの影響

 認知バイアスは、ポジショントークに惑わされる大きな要因の一つです。特に確証バイアス(confirmation bias)は、人々が自分の既存の信念や価値観に一致する情報を重視し、それに反する情報を無視する傾向を指します。ポジショントークが自身の信念や利益と一致していると、無意識にその情報を受け入れてしまうことが多いです。

 例えば、株式市場において投資家が自分の保有株を高く評価する意見に固執するのも、確証バイアスの一例です。このようなバイアスは、自分が望む結果を支持する情報に対して過度に信頼を置くことにつながり、客観的な判断を妨げます。

2. 専門家への過信

 人々はしばしば、専門家や権威者の意見に依存する傾向があります。権威への服従(authority bias)と呼ばれるこの心理的傾向は、特定の立場にある人が発言する内容を無条件に信じてしまう原因となります。ポジショントークをする人物が専門家や影響力のある人物であれば、その意見がたとえバイアスがかかっていたり、特定の利益を伴っていても、多くの人々が無批判に受け入れてしまうことが多いのです。

 だからこそ、相談時には、様々な可能性をある程度絞るために、相談者のバックグラウンドを確認し、困りごとの本質についてしっかりと聴取します。そのうえで、解決策を打ち出すようにしております。

3. 情報の非対称性

 情報の非対称性も、ポジショントークが影響力を持つ一因です。情報の非対称性とは、一部の人々が他者よりも多くの情報を持っている状態を指します。この場合、情報の受け手は、その情報がどの程度信頼できるかを判断する手段を持たないことが多く、情報発信者の言葉をそのまま受け入れてしまいます。

 この点も、注意していることで、相談者と専門家との間には、情報の非対称は初めからあります。そのうえで、相談に来られた方にとって、負担が少ない解決策から順番にお話をするようにしております。

4. 社会的証明

 社会的証明(social proof)は、他者の行動や意見を参考にして自分の行動を決定する心理的現象です。ポジショントークが社会的証明として機能する場合、その意見が広く支持されていると感じることで、個人がそれを信じやすくなります。

 ニュースなどでも、専門家と呼ばれる方たちが話されていることがありますが、すぐに信用するのではなく、その証拠となる情報を照らし合わせて、自分で判断をするようにしています。

5. 感情的な影響

 人々はしばしば、感情に基づいて意思決定を行います。ポジショントークが感情を刺激する場合、特にそれが恐怖、希望、怒りなどの強い感情を喚起する場合、人々はその情報に強く引き寄せられます。

 例えば、環境問題について恐怖を煽るようなポジショントークが行われた場合、人々はその発言の背後にある具体的なデータや根拠を十分に検証することなく、その主張を信じて行動を変えることがあります。

自分で自分のことをかわいそうな人だと言っている場合、検証のしようはありませんよね。だからこそ、相談者の情報をしっかり聴取して、公平に判断をするようにしています。

6. まとめ

 ポジショントークに惑わされる理由は多岐にわたり、認知バイアス、専門家への過信、情報の非対称性、社会的証明、感情的影響、時間とリソースの制約などが絡み合っています。これらの要因を理解し、自分の判断がどのような影響を受けているのかを自覚することは、情報社会において健全な意思決定を行うために不可欠です。情報を批判的に精査し、複数の視点から検討する姿勢が重要であり、それによってポジショントークに惑わされるリスクを減らすことができます。

 つまり、最終的な判断は、自分で行うように常に心掛け、客観的なエビデンスで証明できない場合には、相手の話をじっくり聞いていけば、なんとなくわかってくると思います。

 以前、東大生が「世の中で、自分を変えれる唯一の方法が勉強なんだから、なぜみんなは勉強しないの。」という動画をわざわざ出して大炎上していました。東大に合格した本人にとってはそうなのでしょうか、人生を変える方法なんていくらでもありますよ。それを「勉強だけ」としてしまったために、ポジショントークとみなされてしまったのでしょう。

 また、司法書士試験受験生の中には、合格体験記を読んで、合格のコツがつかめるかもと思われている方もいると思うのですが、これも一種のポジショントークです。「基礎問題だけで合格」するわけがありませんからね。

最新のブログ記事

開業して3年目を迎える司法書士として、初年度は積極的に営業活動を行いましたが、主に「不当誘致」の問題に悩まされ、成果を上げることができませんでした。その後、紹介を基盤とする営業へ転換し、異業種の士業と連携することで案件が増加しました。一方、インターネット集客にも力を入れており、現在の課題はコンバージョン率の改善です。これからも計画的に改善を進め、さらなる成長を目指します。

自己分析や企業戦略において、SWOT分析は広く利用されており、自分や組織の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)を把握することが目的とされています。しかし、SWOT分析を通じて弱みを強みに変えることが必須ではないという新しい視点が注目されています。むしろ、強みをさらに伸ばし、弱みは適切に補完することがより効果的であると言われています。本稿では、SWOT分析を活用する際に、「弱みを強みに変える」ことに固執するのではなく、強みを強固にすることの意義や、弱みを補完するアプローチについて考察します。

共同通信の記事によると、2026年から本格化する「電子戸籍」の活用では、マイナンバーカードや新たに導入される「マイナ免許証」が重要な役割を果たすことが期待されています。具体的には、戸籍情報の取得や提供がデジタルで行われることにより、これまでの紙の戸籍謄本の提出が不要になるという利便性が強調されています。