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先日、相談者の方から、「うちの両親はお互いに遺言書を書いているから、大丈夫。」というお話がありました。その内容を聞くと、一見、確かに両親間でうまく遺産を承継させることができるように見えるのですが、「2次相続を想定していない。」遺言書の内容となっていました。2次相続にも対応した遺言書は、どのように作成すればいいのでしょうか?
目次
1.遺言書の効力
2.1次相続・2次相続とは
3.予備的遺言を使った2次相続対策
4.まとめ
1.遺言書の効力
遺言書の効力とは、遺言者が死後に財産や遺産の処分を定めるために書かれた文書が、法律においてどのような法的な効果を持つかを指します。一般的に、遺言書は遺言者の最後の意思を表すものとして尊重され、その内容に基づいて財産の分割や処分が行われます。ただし、効力を発揮するためには、特定の法的要件を満たす必要があります。
公正証書遺言では、公証人が遺言内容の法的効力が有効になるように、条項を作成してくれますが、自筆証書遺言の場合、自分で自筆しなければなりません。ここで、自筆証書遺言において法的効力を有効にするために必要な項目をご紹介したいと思います。
①遺言書の全文,遺言の作成日付及び遺言者氏名を,必ず遺言者が自書し,押印します。
遺言の作成日付は,日付が特定できるよう正確に記載します。
例)「令和3年3月吉日」は不可(具体的な日付が特定できないため)。
②財産目録は,自書でなく,パソコンを利用したり,不動産(土地・建物)の登記事項証明書や通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが,その場合は,その目録の全てのページに署名押印が必要です。
③書き間違った場合の訂正や,内容を書き足したいときの追加は,その場所が分かるように示した上で,訂正又は追加した旨を付記して署名し,訂正又は追加した箇所に押印します。
以上は、全体の要件で、各種条項についても要件を充たいしていないと、有効にならない場合がありますので、専門家に相談することをお勧めいたします。
2.1次相続・2次相続とは
最初の相続(1次相続)で配偶者と子供が相続した後、その配偶者が亡くなったことで発生する二度目の相続のことを2次相続と呼びます。 相続は一般的には両親の死亡に伴って発生します。 父と母、それぞれが死亡したときに相続が発生しますが、このうち一度目を1次相続、二度目を2次相続といいます。
例えば、AB夫婦に子XYがいたとします。AB間で、相互にAの遺言書には「全財産をBに相続させる。」とし、Bの遺言書には「全財産をAに相続させる。」といていた場合、どちらかが亡くなったときは、遺言書の内容で、相互に補完することができます。しかし、この状況は、1次相続の範囲を対象としています。2次相続(A死亡後、Bが死亡したケース)では、この遺言書の内容では、対応ができません。遺言書についてのご相談で、この2次相続を想定していない内容の場合が、散見されます。
3.予備的遺言を使った2次相続対策
それでは、具体的に2次相続にも対応した遺言書の条項はどのようにすればいいのでしょうか。その答えは、「予備的遺言(補充遺言)」を追加しておくことです。
予備的遺言とは、相続人又は受遺者が、遺言者の死亡以前に死亡(遺言者の死亡より先に又は遺言者の死亡と同時に)する場合、相続人が相続を放棄する場合、受遺者が遺贈を放棄する場合等に備えて、遺言者があらかじめ、財産を相続させる者又は受遺者を、予備的に定めておく遺言です。
2の事例で言いますと、仮に1次相続でAが亡くなった場合、Bの遺言書に「第〇条 遺言者は、Aが遺言者の死亡以前に死亡したときは、第□条に相続させるとした財産を長男のX(生年月日、住所)に相続させる。」という項目を追加することで、1つの遺言書で2次相続対応も可能になります。勿論、A又はBどちらが先に亡くなるかなんてわかりませんから、お互いの遺言書に、個の予備的遺言を入れておくことにより、2次相続対策も万全になります。さらに、長男Xも病気で余命宣告されている場合などでも、その孫についても追加することが可能です。
4.まとめ
遺言作成の際に注意すべき、「2次相続も想定した内容」の遺言書作成について「予備的遺言」をご紹介いたしました。相談等で、話を聞いている際、必ず遺言書の条項に予備的遺言があるかどうかを確認するようにしております。
相談者の中には、専門書を読み込んで「これで安心だが、もしかしたらと思い相談に来た。」という方もいらっしゃり、内容を確認すると2次相続を想定していないこともよくありました。
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