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老荘思想とは、老子・荘子が解いた思想です。孔子の儒教とは異なり、個が個としての本来的価値を回復しそれぞれの立場に安住することを理想とする徹底した個人主義,世俗的常識的価値観を根底から覆えす教えです。この思想を基にした「道教」の神様でもある「黄大仙(ウォンタイシン)」とは、少なからずご縁があります。どのような思想なのか、なぜ、私が興味を持ったのか解説していきます。
目次
1.老荘思想とは
2.「上善如水(ジョウゼンミズノゴトシ)」の意味
3.道教の神様「黄大仙」
4.香港での出来事
5.まとめ
1.老荘思想とは
老荘思想(ろうそうしそう、Lao-Zhuang思想)は、中国の哲学者である老子(Laozi)と荘子(Zhuangzi)によって提唱された思想体系を指します。これらの思想家は、古代中国の春秋時代から戦国時代にかけて活動しました。
老子(Laozi):老子は『道徳経』(または『老子』)として知られる著書を伝える人物であり、老荘思想の中心的な人物の1人です。彼は「道」(Dao)という概念を重視し、自然の法則に従って生きること、無為自然、柔軟性、無欲などを強調しました。また、「上善如水」などの有名な箴言も彼の教えの中に含まれます。
荘子(Zhuangzi):荘子は、『荘子』として知られる著書でその思想を伝えました。彼は老子の教えを継承しつつ、さらにそれを発展させ、相対主義、自由奔放、夢遊などの概念を提唱しました。荘子は、人間が自然と一体化し、自由に自己を表現することを強調しました。また、彼の寓話や譬え話は、彼の思想を理解するのに重要な手がかりとなっています。
老荘思想は、道家思想の中心的な一派であり、儒教や法家など他の古代中国の思想とは異なる視点を持っています。老荘思想は、人間や社会に対する自然主義的なアプローチや、相対主義的な価値観、非行為主義、無為自然などの概念を通じて、人々に平和と調和を求める道を示唆しています。
2.「上善如水(ジョウゼンミズノゴトシ)」の意味
「本当に素晴らしい生き方とは水のようなものである。水は万物に利を与えているものの自らを主張することなく、様々な器によって自らの形を変えて争わない。そして皆が嫌がる下の方に身を置く。水のように生きるとは、居場所を良い大地にし、澄んだ淵のように静かな心境で居る。仲間には仁を、語らいには信頼を、良い政治で治め、良い仕事をして、時を失しない。水の偉大なところは万物に準じて争わないところであり、このため咎められることも無いのであるとする。」とあります。
老子の教えであり、正しい生き方を解いている言葉です。しかし、私は、その点は時代によって異なると思っています。年長者を敬えと説く儒教も、時代がマッチすれば善だし、親が子供を殺したりするような時代には悪となりうるので、今こそ老子の思想が生きてくると思えるのです。「人間関係で無理をしない」こと、つまり自分の自然体で生きることが良いと説いているのです。今のZ世代と呼ばれる人たちの生き方は、年長者から見るとおかしく思えるかもしれませんが、本来、個の尊厳を考えれば、納得できる部分もありますからね。
本当に、今の時代は「何か大切なものが壊れている」ように思えてなりませんからね。ですからあえて争わず、自身のやるべきことが見えているなら、それに突き進んでいいと思います。そうすれば、時を失しずに自身の目標達成ができると考えます。
3.道教の神様「黄大仙」
香港の地下鉄の駅に「黄大仙(ウォンタイシン)」があります。妻(香港人)の実家に行くときに気にはなっていたのですが、じっくり観光に行く機会は、なかなかありませんでした。平成31年の司法書士試験終了後に、妻と一緒に香港に行ったときに、初めて訪れることになりました。
寺院のような建物があり、その中は人でごった返していました。そして、中央広場のような場所に、大勢の人が一心に円筒を振っている姿を見て、妻に「何してるんだい?」と聞くと「神様のお告げを聞いてる」とのことでした。早速、受付に行くと円筒を渡されました。円筒の中にいっぱい木の棒が入っており、その先には番号が振られていました。
作法は、設置された座布団みたいな布の上に跪き、目をつぶってその円筒を振ります。時々目を開けて、木の棒が1本落ちていたら、その番号を書いた紙をもらいます。円筒を受付に戻しますが、ここではお金は払いません。そのまま、階下の怪しげな商店街っぽいところに行きます。そこには、番号から神様の言葉を伝達する怪しげなおじさんたちがいます。自分で店を選び、そこでお金を払って占ってもらうというものです。
興味がある方は、是非一度、試してみてください。
4.香港での出来事
①妻の父親の話
もともと中国本土にいたみたいですが、「文化大革命」初期に香港に移住しました。そこで家族を作り、50歳ごろにそれまで信じていた道教から、仏教に鞍替えをしたそうです。道教の神様の一つである「黄大仙」の偶像を家に飾っていたのですが、ある日捨ててしまったそうです。いつもの習慣で、「黄大仙」に出向き占いをすると、神様からのお告げとして「私を捨てるなんて、なんてひどいことをするんだ。」とのお告げがあったそうです。
妻の話を聞いていて、神様も怒るんだな、と思いました。
➁私の話
平成31年度の司法書士試験を終え妻と2人で香港に里帰りをした時に、「黄大仙」に行きました。占い所のおじさんに、私の氏名と生年月日を伝え占ってもらいました。私の興味は、司法書士試験の結果と、いつ開業したらいいのかという点ですが、通訳役の妻は、ずっとおじさんと話し込んでいました。おじさんは私をちらちら見ながら、何かよくわかりませんが、時々私にも何か大声で話していました。いい加減時間がたったので、妻にどうなのか聞いてみると、今年はダメだという話でした。しかし、妻が言うには、私は強運のもとに生まれており、今年の試験はダメでしたが、必ず成功すると話をしていたそうです。私の方は、「はぁ、今年もだめなんだ。」と意気消沈していました。その他にも、将来起こりうる話を何点か聞かされました。「どうせおっさんのたわごとだろう」と思っていたのですが、今にして思えば、当時の司法書士試験の不合格を含め、すべて当たっていました。合格の時期まで言い当てていました。ここまでくると、少し信じてしまいますよね。
5.まとめ
漫画家の山田玲司先生も「老荘思想」で救われたと語っており、「上善如水」を本当に偉い人は水のように下へ下へ流れていき、最後には大海に通じるんですよと言っていました。
また、今の人たちにインストールされている「昭和型OS」では人を幸せにすることもできないし、自分も幸せにならないとも語っています。私もそうなのですが、親や学校から「勝負に勝つこと」至上主義を教え込まれました。でも、私が大学卒業と同時にバブルは崩壊、時代が一変したんです。そんな中で、そのまま「昭和型OS」のまま、アップグレードせずに今に至る方で、幸せになれた方はどのくらいいるのでしょうか?私は、30歳の時に既定路線を完全に外れていますからね。でも、当時は「やっぱり自分は間違っていたんじゃないのか」と思っていましたが、今は「あの時行動しておいてよかった」と思っています。
現在のギスギスした時代に、老荘思想について話をしてみました。でも、もともと日本でも「和を以て貴しとなす」精神だったと思うのですが、いったいどこで間違ったのでしょうかね。
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