(1) 誤った選択肢を確実に排除するため
択一式試験では、複数の選択肢の中から正答を選ぶ形式です。一見正しそうに見える選択肢が複数含まれていることが多いため、全肢検討を行わないと誤答を選んでしまうリスクが高まります。全肢検討を行うことで、各選択肢の正誤を慎重に判断し、誤った選択肢を確実に排除することができます。これは特に午後の択一において、難易度が高くなってくる問題に対して有効です。
(2) 自己の知識の確認と補強
全肢検討を行うことで、自分の知識の確認ができ、理解の曖昧な部分を見直すきっかけにもなります。司法書士試験では、一問一問が重要であり、各問題が自身の知識の正確さを問うものとなります。全肢検討を通じて、自分の理解が正しいかどうかを確認することが、試験全体の正答率を高めるために欠かせません。
(3) 試験問題の作問傾向に対応するため
司法書士試験の択一式問題は、選択肢の作り方に特徴があります。特に、正解を導き出すためには細かい知識が必要な場合が多く、全肢を検討しないと誤解や見落としが発生しやすいです。また、選択肢の中には一部が正しいものや、微妙な違いで正誤が分かれるものもあり、こうした問題に対処するためには、全肢検討が必須です。
4. 時間管理の工夫
午後の択一試験では、記述式試験のための時間を確保する必要があるため、全肢検討を行いつつも効率的に時間を使う工夫が求められます。以下の方法が有効です。
(1) 優先度を決める
全肢検討を行うにあたっても、すべての問題に同じ時間をかける必要はありません。自分が得意とする分野や確実に解ける問題には短時間で取り組み、難しい問題や迷う問題には少し時間を割くというように、優先度を決めて取り組むことが大切です。これにより、時間を効率的に使いながら、全肢検討を行うことが可能になります。
(2) 問題をスキップして戻る戦略
どうしても迷う問題があった場合は、一度スキップして次に進むことも有効です。すべての問題を一通り解いた後、残った時間で改めて迷う問題に取り組むことで、時間を無駄にせずに全体をカバーできます。全肢検討を行う場合でも、まずは問題全体に目を通し、重要度の高い問題や確実に解ける問題から優先的に解答することで、時間を効率化できます。
(3) 時間配分の事前練習
全肢検討を行いつつ、記述試験の時間を確保するためには、日頃から模擬試験や過去問を使って時間配分を練習することが重要です。自分がどれくらいの時間で択一を解き終えることができるのかを把握し、その中で全肢検討を行う余裕があるかどうかを確認しましょう。実際の試験と同じ環境で何度も練習することで、当日も自信を持って取り組むことができます。
まとめ
司法書士試験の午後択一では、時間の制約が厳しくなるものの、全肢検討を行うことは依然として重要です。記述式試験の配点が増えたことで、時間配分のバランスは重要になりますが、択一でのミスを防ぐためにも全肢検討は必要です。確実な得点を狙い、総合点を高めるために、全肢検討を行いつつ効率的な時間配分を身につけることが、合格への近道となるでしょう。