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離婚等に伴う財産分与について(不動産名義変更とその他の手続き)

2024年03月01日

離婚又は婚姻の取り消しにより、一方が財産の分与を請求した時に、その財産の中に不動産が含まれる場合、「財産分与」を原因とする所有権移転登記(名義変更手続き)がされます。今回は、この「財産分与」について解説していきます。

目次

1.財産分与とは

2.財産分与に関する先例

3.離婚手続きの違いによる添付書類と原因日付

4.住宅ローン債務者の変更について

5.まとめ


1.財産分与とは

財産分与(ざいさんぶんよ)とは、法律上の用語であり、通常は離婚などの場面で使われます。これは、共有されている財産を分割することを指します。具体的には、配偶者間での財産分与は、離婚の際に共有財産を公平に分割することを指します。

財産分与は、公正な取り扱いを確保し、関係者間の紛争を最小限に抑えるための重要な手続きです。裁判所の判断に基づいて行われることもありますが、関係者間で協議によって行われることもあります。

 財産分与に関する財産の中に不動産がある場合、当該不動産の名義の変更手続きが必要となります。

2.財産分与に関する先例

 離婚又は婚姻の取り消しをした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができます。(民法749条、768条、771条)

 分与される財産に不動産が含まれる場合、「財産分与」を登記原因とする所有権移転登記ができる場合があります。

※登記原因とは、「売買」「贈与」「相続」といった、権利移転が発生した原因のことを指し、申請書類に記載する事項です。

 内縁解消をし、「被告は原告に対しA不動産につき、年月日財産分与を原因として所有権移転登記手続きをせよ」との判決製本を添付して所有権移転登記を申請する場合、登記原因を「財産分与」とすることができる。(先例 昭47.10.20民三559号)

※本来、「内縁解消」は対象ではなところ、判決文に記載されている内容が財産分与である場合には、財産分与を登記原因として使ってもよいという先例です。


有責配偶者が相手方に財産分与とは別に慰謝料として不動産を給付する場合の所有権移転登記の登記原因は、「代物弁済」である。(登研531号)

※財産分与とは、婚姻している期間に夫婦共同で作り上げた財産を分与することを言います。一方、離婚の慰謝料は、離婚に伴う精神的苦痛や損害の補償を目的として支払われる金銭です。支払う側が債務者となり、受け取る側が債権者となります。つまり、お金の貸し借りに似ていますよね。で、その債務を不動産というもので支払うということで、代物弁済という原因になります。

 この辺りの詳しい話は、必ず専門家にご相談ください。知り合いの法律に詳しい人では、誤った判断をするかもしれません。

3.離婚手続きの違いによる添付書類と原因日付

 まずは、司法書士に依頼する場合の添付書類から、各離婚の手続きの違いごとに必要書類をまとめていきます。

 ①協議離婚の場合

 (財産を分与する側)

  ㋐不動産の登記済権利証(または、登記識別情報通知)

  ㋑印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)

  ㋒印鑑(実印)

  ㋓固定資産評価証明書(紛失されている場合には、固定資産税評価証明書でも可)

  ㋔離婚の記載のある戸籍謄本

  ※財産分与する方の登記簿上の住所(氏名)が、印鑑証明書の住所(氏名)と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所(氏名)変更の登記が必要です。その際は、住所変更の経緯が分かる住民票(戸籍附票)、氏名変更が分かる戸籍謄本などが必要です。

 (財産を受ける側)

  ㋐住民票

  ㋑印鑑(認め印)

上記の他に、登記原因証明情報、および司法書士への委任状(権利者、義務者の双方)が必要ですが、どちらも司法書士が作成したものに署名押印をいただくのが通常です。

 もらう側も受け取る側も、名義変更に参加するため「共同申請」となります。

 ➁調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合

 こちらは、裁判所の手続きにより決まるのですが、「単独申請(もらう側のみで登記手続きができる)」でできる場合と、協議離婚の場合のように「共同申請」でする場合とがあります。

 ポイントは、調停調書等に「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」というような記載がある場合には、「単独申請」でできます。理由としては、調停調書等の文言に分与する側の意思擬制が働くためです。

 しかし、この文言に「申立人と相手方は協力して所有権移転登記をする」というような記載の場合には単独申請ができず、協議離婚と同じ「共同申請」になってしまいます。文言に2人で手続きをしなさいと書いているためです。

  共同申請の場合には、協議離婚と同じ添付書類に加え、判決書正本(確定証明付)、調停調書(確定証明付) 、審判書(確定証明付) も必要です。

 (単独申請の場合の添付書類)財産を受け取る側だけのものになります。

  ㋐登記原因証明情報(調停調書、審判書、和解調書など)

  ㋑住民票

  ㋒認め印

  ㋓固定資産評価証明書(紛失されている場合には、固定資産税評価証明書でも可)

  ㋔離婚の記載のある戸籍謄本

  ※財産分与する方の登記簿上の住所が、調停調書記載の現住所と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所変更の登記が必要ですが、この住所変更の登記についても、分与する方の協力を得ずにおこなうことができます(代位による登記)。

4.住宅ローン債務者の変更について(重要)

 住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。

 たとえば、夫が所有者で、かつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとします。この場合、所有者は妻となりますが、住宅ローン債務者は夫のままです。もしも、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要がありますが、なかなか難しい場合も多いでしょう。

※債権者の承諾を得ていなくても、財産分与による所有権移転登記をしてしまうことは可能です。しかし、借入先に無断で名義変更をするのは、住宅ローン契約に違反する可能性が高いため注意が必要です。必ず、ローンの融資先の金融機関と話し合って決めるようにしてください。また、そこでは保証人の方も考慮する必要性が出てくるかもしれません。

4.まとめ

 今回は「財産分与」による不動産の名義変更手続きと、融資を受けた住宅ローンの手続きについてお話をしてきました。離婚は当人同士の協議、調停・審判、裁判で片が付きます。特に協議書による場合には、今後の養育費等の取り決めをより実行してもらうために、「公正証書」によることをお勧めしております。

 不動産の所有権の名義の変更は、上記の書類があればできるのですが、当該不動産についている住宅ローンの債権を担保している抵当権の変更まで考慮する必要があります。

 財産分与による所有権移転の手続きをする前に、まずは、融資先の金融機関の担当者に相談をしてください。

 また、所有権の名義変更をする際に、現名義人の方がすでに別居されていて住所が異なる場合や、氏名が変更になっている場合には、所有権移転登記の前に、名義人の氏名・住所の変更登記が必要になります。

 詳しくは、専門家にご相談ください。

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