【第3回】“養子縁組”で相続税の基礎控除を拡大する~法的に正しい活用法とは?~
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
遺言書作成のご相談をされる方に、遺産の承継先は決めることができたが、他にいろいろ指定したいこともあるのだが、法律上効力が出る者って何ですか、と質問されたことがありました。そこで、遺言書を作成することで、法律的に効力を発生させることができる事項について解説していきます。これから遺言書を作成するという方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
1.遺言でできることは遺産の引継ぎ先の指定だけ?
2.遺言書にある付言事項の法律的効力は?
3.遺言認知
4.相続排除
5.未成年後見人の指定
6.まとめ
1.遺言でできることは遺産の引継ぎだけ?
遺言書作成サポートのご相談で内容的に多いのは、遺産の帰属先の指定です。そこで、推定相続人間の調整で遺留分で頭を悩ます方がいらっしゃいます。この遺留分につての生前対策の記事は、こちらにまとめてあります。
ご相談者の中には、ネットなどを参考に作成した案を持参される方もいらっしゃいますが、残念ながら民法で法律的効力を生じる事項が定まっています。遺言書に記載できる事項を確認しながら見ていきましょう。
2.遺言書にある付言事項の法律的効力は?
「遺言書を通して、お世話になった人への感謝、家族や自分が大切にしてきたものへの気 持ちや願いなどを伝えることが一般的に行わ れていますが、この感謝や気持ち、願いを伝 える文章を「付言事項」といいます。」(法務省HPより引用)
この付言事項は、法律的な効力はありません。しかし、内容によっては、故人の想いを相続人たちに伝えることで、相続による紛争を防止する効果も期待できるかもしれません。
3.遺言認知
認知とは、結婚していない女性から生まれた子を男性が自分の子であると認めて役所に届出をすることです。実は、遺言書ですることも可能です。これを遺言認知と言います。遺言認知は民法779条、781条第2項に定められており、法律的効力を生じます。
私はまだ経験したことがないのですが、とある先生が、ある日、遺言書の検認をしたら認知の項目があり、認知された方抜きで遺産分割できないか?という相談を受けたそうです。勿論、認知された方は、法律上の相続人になりますので、遺言書の内容どおり遺産を承継するか、その方も含めた相続人全員の同意で遺産分割協議をすることになります。紛争性があると判断して、知り合いの弁護士を紹介したそうです。
4.相続排除
「廃除」とは、虐待・重大な侮辱その他の著しい非行が要件となり、被相続人が生前に特定の者(遺留分を有する相続人)を相続人自体から除外することです。そして排除された方は、相続人ではなくなり遺留分の主張もできなくなります。(代襲相続の対象にはなります)ただし、この手続きは家庭裁判所の審判が必要であり、ハードルはとても高いです。こちらも、遺言書に記載しておくことで法律的効力が生じますが、遺言執行者が家庭裁判所に対して行い、家庭裁判所の審判を通しての判断となります。
5.未成年後見人の指定
未成年後見人とは、親権者がいなくなった未成年の財産管理等を行う者をいいます。(民法839条第1項)通常ですと、家庭裁判所が選任することも可能ですが、遺言で指定することも可能です。(民法839条第1項)父母が両方ともに死亡等でも未成年後見が開始されます。申立人は、未成年者本人、未成年者の親族、その他の利害関係人となっております。
6.まとめ
遺言書に記載できる「付言事項」については、法律効果はありませんが、想いを伝えるという点では、重要な事項だと考えます。また、記載することで法律効果が生ずるものは、「遺言認知」「遺言廃除」「未成年後見人の指定」の3つが挙げられます。
これから遺言書を作成するという方の参考になればと思い解説いたしました。
「相続税が高くて困る…」「できるだけ税負担を軽くして財産を次世代に引き継ぎたい」――
こうした声に対し、"養子縁組"という法的手段を活用する方法があります。
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