平日9時~18時 土10時~15時 時間外対応可能

身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

2024年05月30日

相談の中に、「身元保証サポート」を家族の一人が利用したばかりに、おかしなことになっているというものがありました。以前、身元保証サポートの問題点として、「亡くなった後の遺産がサービス提供者へ渡っている」点をい適していましたが、今回は、ご家族がいるのに、何らかの原因で身元保証サポートを利用するとどのようなことが起こるのか、お話したいと思います。

目次

1.法定代理人とは

2.身元保証サポートのサービス内容

3.今回の相談で問題となったこと


1.法定代理人とは

 法定代理人(ほうていだいりにん)とは、法律によって特定の人(被代理人)のために代理権を付与され、その人の法律行為を代行する権限を持つ者のことを指します。これは、未成年者や成年被後見人など、自己の意思で法律行為を行うことが難しい人々を保護するための制度です。

(法定代理人の役割と権限)

法定代理人は、被代理人に代わって契約を結ぶなどの法律行為を行います。これにより、被代理人の権利や利益を保護し、適切な意思決定が行われるようにします。具体的な役割や権限は、代理人の種類や被代理人の状況によって異なります。

(法定代理人の種類)

①親権者:

未成年者の法定代理人として、親権者(通常は両親)がその役割を担います。親権者は、子供の財産管理や法律行為を行う権限を持ちます。

➁未成年後見人:

親が亡くなった場合や親権を失った場合、裁判所によって選任される未成年後見人が法定代理人となります。未成年後見人は、未成年者の生活や財産の管理を行います。

③成年後見人:

成年後見制度に基づき、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な成人のために選任される法定代理人です。成年後見人は、被後見人の財産管理や日常生活の支援を行います。

(法定代理人の選任方法)

法定代理人は、法律や裁判所の決定に基づいて選任されます。親権者は通常は自動的に法定代理人となりますが、未成年後見人や成年後見人は、家庭裁判所によって選任されます。

(法定代理人の責任)

法定代理人は、被代理人の利益を最優先に考えて行動する義務があります。これには、被代理人の財産を適切に管理し、不利益を避けるよう努める責任が含まれます。法定代理人がこの義務を怠った場合、被代理人やその関係者から責任を追及されることがあります。

まとめると、法定代理人は、法律によって代理権を付与され、自己の意思で法律行為を行うことが難しい人々を保護するために、重要な役割を果たします。親権者、未成年後見人、成年後見人などの法定代理人は、それぞれの状況に応じて被代理人の利益を守り、適切な意思決定を行う責任を負っています。

2.身元保証サポートのサービス内容

身元保証サポートサービスは、主に高齢者や身寄りのない人、障害者などが安心して生活できるように、様々なサポートを提供するサービスです。このサービスは特に、日本において高齢化社会が進む中で重要性が高まっています。以下は、一般的な身元保証サポートサービスの内容です。

① 住居の保証

賃貸契約の保証: 賃貸住宅を借りる際に、保証人がいない場合に身元保証サービスが代わりに保証人となります。

施設入居の保証: 老人ホームや介護施設に入居する際の保証も提供されます。

➁医療機関での保証

入院時の保証: 病院に入院する際に必要な保証人となります。これにより、家族が遠方にいる場合や身寄りがない場合でも安心して医療を受けることができます。

医療費の支払い保証: 入院中の医療費や治療費の支払いを保証します。

③生活サポート

日常生活の支援: 買い物の代行や通院の付き添い、日常的な手続きのサポートなど、生活の質を向上させるための支援を提供します。

緊急時対応: 緊急事態が発生した際の連絡先となり、迅速に対応します。

④財産管理

財産の管理: 高齢者や障害者の財産を適切に管理し、不正利用を防止します。

遺言執行: 被サービス者が亡くなった後の遺言の執行や財産の整理を行います。

➄介護サポート

介護サービスの手配: 必要に応じて、介護サービスの手配や調整を行います。

介護計画の作成: 個々のニーズに応じた介護計画を作成し、適切な介護を受けられるよう支援します。

⑥法的手続きのサポート

契約書の作成と確認: 賃貸契約やサービス契約の作成と確認を行います。

法的代理: 必要に応じて、法的代理人として各種手続きを代行します。

⑦見守りサービス

定期的な連絡: 定期的に電話や訪問を行い、被サービス者の安否を確認します。

緊急通報システム: 緊急時に迅速に対応できるよう、通報システムを設置します。

 以上のように、身元保証サポートサービスは、特に高齢者や身寄りがない人々にとって、安心して生活するための強力なサポートを提供します。住居の保証や医療機関での保証、日常生活の支援、財産管理、介護サポート、法的手続きのサポート、見守りサービスなど、多岐にわたる支援を通じて、被サービス者が安全で快適な生活を送れるようにします。

3.今回の相談で問題となったこと

 身元保証サポートのサービス内容として、生前の財産管理・身上監護、死後の事務委任・遺言執行などが挙げられます。生前のサポートを実現するために「任意後見契約」を締結します。つまり、サービス提供する業者が「法定代理人」となって、財産管理・身上監護を行うことになります。

 そのために、ご家族がいる被後見人の場合、被後見人の病状などの意思の説明義務は、状況にもよると思うのですが、ご家族ではなく法定代理人となり、財産管理のため通帳等は業者が管理することになります。当然、これらの管理の監督は、最終的に家庭裁判所が関係することになりますので、定期的な報告を法定代理人は求められることになります。

 詳しい内容は言えませんが、ご家族に起こった不測の事態で家族が混乱している時に、(この部分は、私の推測)本人が不安になって、あることは話を盛って、ない話も付け加え悪い推測の上で、介護施設関係者等に話をしたために、介護施設関係者等 が事実確認をご家族にしたが、連絡も取れず、結果、話だけが進み、家族の問題が解決したときは、医師からの話も聞けず、ご本人の通帳等も返却してもらえない状況になっているという話でした。

※契約段階で、本人とご家族での話し合いがあれば、このような事態は起こらないのですが、「虐待」等の危険性を施設側が判断した場合には、このような事態になることもあります。 

 ここで言えることは、関係者皆に非がありますが、誰も責めることはできない点です。

 司法書士では、これらのトラブルについて介入することはできません。弁護士を通じて、業者と話し合い、契約の解除をするしか方法はない旨お話をさせて頂きました。

 高齢者の方は、普段と状況が異なると不安になり、一人の場合特に、悪方向に物事を考えてしまう傾向があります。以前施設介護の施設長をしている時も、この類の話はよくありました。定期的に行っている訪問や、連絡については、できる限り、続けるようにすることが、誤解を招かない方法だと考えます。コミュニケーションが不安定になったとき、同じようなことが起こるかもしれませんからね。

最新のブログ記事

土地の合筆や分筆を行った際の登記識別情報(いわゆる「権利証」)の取り扱いについて、詳しく説明します。土地を処分する際に、売主は、権利証又は登記識別情報を用意しなければなりません。合筆・分筆がなされた土地の場合、どのタイミングのものが必要になるのでしょうか?

土地の合筆・分筆は、不動産管理や相続対策など、さまざまな状況で利用される重要な手続きです。これらの手続きは、土地の形状や利用目的に応じて、複数の土地をまとめたり、ひとつの土地を分けたりするものです。ここでは、合筆と分筆について詳しく解説し、それぞれのメリットや手続きの流れ、注意点について説明します。

相続の際、法定相続分に従って財産が分配されるのが一般的ですが、相続人の中には、被相続人(亡くなった方)の財産形成や維持、または療養看護に特別な貢献をした者がいることがあります。このような場合、その貢献に応じて相続分が増額されることがあります。これを「寄与分」と言います。また、相続人ではない親族が特別な貢献をした場合、相続人から特別な報酬を請求できる「特別寄与料」という制度も存在します。本稿では、寄与分と特別寄与料についての解説と、それらが認められるための要件について詳述します。