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認知症が家族の人生を静かに削っていく ― 立て替え・介護・きょうだい間のズレが生む現実 ―

2026年02月04日

認知症に関する相談を受けていると、
ご本人よりも先に疲弊していくのは、
家族であることがほとんどです。

第1回では、
認知症によって「生活が突然止まる」という現実を、
第2回では、
なぜ預金が使えなくなるのかという仕組みをお伝えしました。

第3回では、その結果として、
家族の人生にどのような影響が及んでいくのかを見ていきます。

これは決して、
特別な家庭だけに起きる話ではありません。
香川県では、ごく一般的な家庭で、
静かに、しかし確実に進行している問題です。

目次

  1. 最初は「少しの立て替え」から始まる
  2. 香川県で多い介護と金銭負担の集中
  3. きょうだい間で生まれる見えない溝
  4. 家族の人生設計が後回しになる瞬間
  5. 相続より前に始まっている"争いの芽"
  6. 認知症対策は「家族を守る準備」でもある

1.最初は「少しの立て替え」から始まる

認知症による金銭問題は、
いきなり大きな負担として現れるわけではありません。

多くの場合、

  • 介護保険の自己負担分
  • 医療費
  • 日常生活費

といった、
数万円単位の立て替えから始まります。

家族はこう考えます。

「今月だけなら何とかなる」
「そのうち本人のお金で精算できるだろう」

しかし、預金が使えない状況が続けば、
立て替えは一時的なものではなくなります。

2.香川県で多い介護と金銭負担の集中

香川県では、
認知症の介護と金銭負担が、
特定の家族一人に集中するケースが非常に多く見られます。

  • 地元に残っている子ども
  • 比較的時間の融通がきく家族
  • 「近くにいるから」という理由

こうした条件が重なり、
介護もお金も、その人が担うことになります。

一方、

  • 県外に住むきょうだいは状況が見えにくい
  • 電話や報告だけでは実感が伴わない

というズレが生じます。

3.きょうだい間で生まれる見えない溝

最初は、
「大変だね」「ありがとう」という言葉があっても、
時間が経つにつれて、
少しずつ溝が生まれていきます。

  • 立て替え額の説明が難しい
  • 領収書を残していない
  • 感情的な不満が蓄積する

そして、
「なぜ自分ばかりが負担しているのか」
という思いが強くなります。

この段階で、
家族関係はすでに大きく揺らぎ始めています。

4.家族の人生設計が後回しになる瞬間

立て替えや介護が長期化すると、
影響は家族自身の人生にも及びます。

  • 貯蓄が減る
  • 仕事の調整を余儀なくされる
  • 自分や配偶者の将来設計が後回しになる

特に、
介護を担う世代は、
自分たちの老後を考え始める時期でもあります。

その時期に、
親の問題で身動きが取れなくなることは、
大きな精神的負担となります。

5.相続より前に始まっている「争いの芽」

相続トラブルは、
亡くなった後に突然起きるものではありません。

多くの場合、

  • 介護負担の不公平感
  • 金銭負担の偏り
  • 感情の行き違い

が積み重なり、
すでに家族関係が壊れかけた状態で、
相続を迎えます。

その結果、
「お金の問題」ではなく、
感情の問題として争いが表面化します。

6.認知症対策は「家族を守る準備」でもある

認知症対策というと、
本人のためのものと考えがちです。

しかし、実際には、
家族の人生を守るための準備でもあります。

  • 立て替えが続かない仕組み
  • 介護とお金の負担が偏らない設計
  • 家族関係を壊さないための備え

これらは、
認知症になってからでは整えることができません。

次回は、
多くの人が安心材料として考えている
「よくある認知症対策の誤解」について掘り下げます。

認知症は、
本人だけでなく、
家族全体の問題です。

だからこそ、
誰かが限界を迎える前に、
考えておく必要があります。

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